リサシテイション

根田カンダ

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第11話 CIA

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 真一を撥ねた工作員達は、外堀通りで用意されていた車に乗り換え、靖国通りを首都高上野線に向かってていた。

「湾岸線から横須賀だな。首都高上がる前に確保する!」

 ボディーガード達はツーマンセル3チームで、工作員達の確保に動いていた。

「『アリサ』奴らはレクサスだ。オートパイロットをハッキングして会社の地下駐車場」


 ボディーガード達から通信を受けた『アリサ』は、工作員のレクサスをハッキング、車内からは窓すら開けられないよう完全にロックした。
 嶋の秋葉原オフィスの地下駐車場に誘導し、確保する。

 レクサスはまだ予定のコースを走っており、工作員達はハッキングに気付いていなかった。が…

「ハンドルが!」

 万世橋の交差点を右折して中央通りから靖国通りへ入る予定が、万世橋を左折して再び秋葉原方面へ向かってしまった。

「アクセル、ブレーキも…、窓も!」

「エマージェンシー!」

 ドライバーの叫びにナビシートの男が、緊急通信用のチャンネルを使い発信したが、応答は無し。

「エマージェンシー!エマージェンシー!救援もとむ!」

 だが、通信機からの応答は無かった。

「支局が用意した足だ…使い捨てにされたか…?クソッ!」

 ドライバーの男がハンドルを叩いた瞬間、前方に黒の4WDが割り込んだ。
 ルームミラーを見ると、すぐ後ろに同じ黒の4WDが2台。

 ナビシートの男は、シートの間から身を乗り出して後ろを確認。

「俺達を付けて奴らじゃねえが、秋葉原のセキュリティーの連中だ…。」

「どう思う?俺らは会社に使い捨てにされ売られたか?
 それとも奴らが何かしたか?」

 ドライバーは口惜しさを滲ませて言った。

「どっちもあるよな…」

 工作員2人は、CIA工作員と言えど日本人だ。
 CIAが外国人エージェントを見捨てるのは、作戦の許容範囲だった。
 アメリカ国籍の白人エージェントならは、どれだけの犠牲を払おうと救出されるが、外国人や黒人だと見捨てられる事も多い。
 自由と平等の国に、人種差別が無くなる事はない。差別など無ければ、自由と平等をわざわざ叫ぶ必要もないからだ。
 その証拠に日本では、自由と平等を叫ぶ声は少ない。

「秋葉原のトップは、ペンタゴンやNASAすらハッキングする奴だって話だ、車がハッキングされたのかもな…」

「そう願いたい…俺は命あったら、もう絶対に旧車しか乗らねえ。オートパイロットやCPU制御の車なんか、乗らねえよ。」

 2020年代から普及し始めたCPU制御のオートパイロットは、今や高級車だけでなく小型の軽自動車にまで、ほぼ全車種に普及していた。


 工作員達のレクサスを含めた4台は、すぐに嶋のビルの地下駐車場へ到着した。
 ボディーガード達が4WDを降り、ティザー銃を構えた直後、レクサスのドラロックが解除された。
 工作員達は両手をあげて降りてきて

「なっ…何なんですか?!僕達は…警察!警察を呼んで下さい!助けて下さい!」

 工作員の2人は一般人を装い、膝をついて助けを求めたが

「「「「「「…」」」」」」

 ボディーガード達はただ、ティザー銃の照準を合わせたまま黙っていた。

「警察!警察を…て、無駄か(笑)丸腰だ。抵抗はしねぇよ(笑)」

 とぼけても無駄と悟り、両手を上げて立ち上がった。



 工作員達は拷問や自白剤の訓練も受けている。

[民間人如きに、俺らに口を割らせる事なんか出来ねえよ(笑)]


 捕らえられてはいたが、有り余る余裕を見せていた。


「いい子だ(笑)じゃ、ねぇか(笑)いい子なら、俺らに捕まる事はしねぇ(笑)」


 工作員達よりも、ボディーガード達の方が余裕を持っていた。
 人数の有利さもあるが、ボディーガード達には尋問をする気もなく、ましてや拷問や自白剤などはあり得ない。
 元々が軍人や警察官達であり、経験値に上乗せされた身体能力。生体ナノマシンにより、格闘だけでなくあらゆる体術、ライフル弾すら捉える動体視力に、その全てに反応する反射神経等、常人の数倍までに引き上げられていた。
 嶋ですら、丸腰のこの2人の制圧は可能だと思われる。

 ボディーガード達は、2人が1階グランドフロアに上がり、4人はそれぞれ捕らえた工作員達の両脇を固め、エレベーターで更に地下へと向かった。

 地下3階、『アリサ』本体のあるフロアの2フロア上の階。
 真っ白な壁と廊下に、陰影が起こらない様に配置された照明のせいで、遠近感が狂い広さが把握出来ない。

 
 ボディーガード達は工作員2人を、これも真っ白で影の出ない部屋に残し出て行った。

 部屋にはカメラもスピーカーもなく、ただ椅子が2脚。

「何もねぇな…?カメラもねぇし、スピーカーやマイクも…。マジクミラーでもねぇよな…。」

 工作員の1人が、壁を360度叩いてまわった。

 コンクリートの硬く無機質な音がするだけで、隠し部屋や空間のある様な響きは無かった。床も。

 とりあえず2人は椅子に座ったが

「何分たった?」

 1人が聞いたが

「時計もねぇし…真っ白だしよ…感覚狂っちまって…わかんねぇや…。」

 それから2人はまた黙って座っていた。

「待たせやがるな…。焦らし作戦か?
無駄な事しやがって!俺らは訓練受けてんだ!何日だって耐えてやるよ!」

 強気の発言ではあるが、それは余裕ではなく、焦りからの発言だと言うのを、2人共気付いていなかった。

 その時嶋は、工作員を待たせて焦らすつもりもなく、真一とバーチャル世界にいた。

 工作員の尋問より優先するべきは、当然真一。
 何より嶋の頭の中に、工作員の尋問と言う行為は無かった。

 訓練を受けた工作員。それも最高峰のCIA。
 どうせ本当の事は言わないし、嶋の尋問で白状するくらいならスパイ失格だ。
 そもそも工作員2人がエレベーターに乗った時点で、『アリサ』によって脳内スキャンは完了し、誰が2人に命令したかなど、CIAの作戦のすべてが筒抜けになっている。

 嶋はボディーガード達に、適当にあしらって帰す様に伝えていたくらいだった。

「社長はああ言ってたけど、奴ら何か…ムカつくよな?朝までほったらかしで、いいんじゃねぇ?」

「いいんじゃねぇか?井上さんを殺そうとしたんだしよ!」

 その場に居た4人のボディーガードの1人柴田の発言に、その場で1番古株の古田が答えた。
 他のボディーガード達も、同じ考えだった。

 モニターの向こうの2人の工作員は、退屈そうに椅子の背に身体を預け、生あくびをしていた。

 工作員達がいる部屋には、カメラもスピーカーもなかったが、実は壁全体がナノマシンで構成されており、壁や床や天井すべてがカメラであり、スピーカーとマイクだった。


 
 人間は、影も出来ない真っ白な部屋に長時間放置されると、まず時間感覚が狂い次いで視覚や聴覚に変調が現れる。
 精神の弱い者だと、数時間で発狂してしまう者もいる。
 CIA工作員の様な訓練された人間でも、長時間その様な状態に置かれれば、何かしらの変調を起こし発狂はしないまでも、脳に深刻な後遺症を残し、工作員としてどころか、人としての生活にも支障をきたす事になる。



「ああ。いくら上からの命令でも、民間人を狙うのは許せねぇ!CIAも落ちたもんだな。
 俺が居た頃は、民間人狙う様な作戦はゲスと言われて許可が出なかったんだけどな。」

 日本で活動する中国人スパイを監視作戦行動中に身元がバレ、襲撃され命を落としたレオンと呼ばれる日系アメリカ人のボディーガードが言った。

「そういやレオン、お前CIAだったな。奴らを見た事はある?」

「無いな。工作員は一般職員と違って、連絡員以外他の工作員と接触はねぇんだ。奴ら自身も、相棒をこの作戦で初めて知ったんじゃねぇかな?」

 工作員やスパイは、その特殊な業務から機密性が最高ランクに近く、同じ組織に属しながら、定期的に接触のある連絡係の職員と直属上司以外、存在は隠されている。
 更に作戦によっては、敵と認定され調査していた相手が、同じ組織のスパイだったた場合もある。
 スパイや工作員の上司達も、他の同僚指揮官達に作戦内容を伝える事はないからだった。



「奴らも日本人てだけで選ばれたんだろ。」

「おっ?もう限界か?(笑)」

 ボディーガード達が工作員2人を閉じ込めてから約束30分。
 工作員の1人が貧乏ゆすりを始め、もう1人は立ち上がって部屋の中をうろつき出した。

「CIA、大した事ねぇな(笑)レオン、どう思うよ?」

 それまで黙ってニヤけてただけの本田が、少し意地悪そうにレオンに聞いた。

「奴ら、ダメだな。新人だろ?日本は安全だから、新人は日本の政治家とか、危険度の低い作戦にまず付くんだよ。
 危険て言えるかどうかわかんねぇけど、せいぜいが暴力団の監視くらいだからな(笑)」



 その頃嶋は、真一の再生が終わり真一や飯塚達と共にオフィスへ移動していた。

 工作員を確保し地下3階の、本来はテロや災害時のシェルターやパニックルームとしての部屋の1つに軟禁してる事は、ボディーガード達からの通信で知っていたが、脳の記憶データも『アリサ』がスキャン完了し保存している為、特に関心は無かった。
 ボディーガード達にも、適当にあしらって帰す様伝えていた。
 ただ、帰す時にはまた尾行に付き、工作員がどこへ向かうか?
 横須賀基地の輸送機は、工作員達が拘束された事がわかると、エンジンを止め格納庫へ引き上げたことから、横須賀以外の何処か、アメリカ大使館か他の米軍基地、またはセーフティハウスか?
 工作員の行き先を掴む様に伝えていた。

 『アリサ』から、工作員の確保前に横田基地に着陸した米軍大型輸送機で、嶋に接触しようとしたアメリカITベンチャーの代表が降りたったと報告が入っていたからだった。
 アメリカITベンチャーはCIAの隠れ蓑企業との調査結果であり、それを裏付ける様に、ベンチャー企業の代表が民間機でなく軍用輸送機で米軍基地へ着陸した。

 日本での法人設立に嶋に協力要請をして来たCIAが、嶋と関わりを持った真一の命を狙った事の矛盾が、嶋にはどうしても理解出来なかった。

 CPUやハッキング以外に興味の無かった嶋には、米軍基地はどれも〝アメリカ軍”の基地で、それが海軍なのか空軍なのか?違いがわからなかった。
 軍を統括管理するのはペンタゴンではあるが、それぞれに命令系統が違う事を知らず、CIAについても、命令系統により親密さの差がある事も知らなかった。

 ベンチャー代表がアメリカ空軍基地の横田に降り立ち、工作員2人は海軍基地の横須賀へ逃げようとしていた。


 嶋には、それの違いの意味する所を理解出来ないどころか、違いがある事への意識すらなかった。
 ただ

[井上さんを襲った事の責任は取ってもらう!インドに行く前に!]

 それは例えアメリカであろうとも、嶋の絶対に譲れない怒りだった。

「そう言えば井上さん、《シマー》がもう2次予約開始したの知ってます?」

 真一にインドから現在までの話をした後、2次予約を開始した《シマー》の事を嶋は尋ねた。

「一気にブレイクした事で、初期ロット生産時に製造ラインを増やしてたらしくて。
 結局初期で1億5000万台生産してて、あと5000万台くらいなら半年あれば生産出来るって話ですよ?
 合計2億台になるでしょ?それでユーザーも飽和状態になる見込みだって話です。」

 ゲームユーザーだけで言えば、全世界で2億人程度。
 ゲームコンソールは1人で複数メーカーのコンソールを所有し、真一は《プレイポート》《スマッシュ》《Z-BOX》の3台を所有していた。
 3機種のトータル販売数は3億台を超えるが、真一の様なヘビーユーザーはほぼ3機種揃え、通常のゲームユーザーですら《プレイポート》と《スマッシュ》の2台持ちユーザーが大半だった。

 その為に《シマー》ユーザーも約2億台で飽和状態になるとの予想だった。

 嶋は腑に落ちなかった。

[これほど短期で飽和状態にする理由はなんだ?]

 2019年から2020年代初頭の半導体不足ではないにしろ、2億台分の半導体確保は、容易ではない。

[俺でも一気に2億台も製造せず、初期で5000万台に抑え、毎年5000万台ずつくらいで出し、あえて飽和状態にはさせない!その方が、経営戦略としては有効だ。
 別の目的があるのか?]

 美保子、《シマー》が目指しているのは現実世界に復活する事以外にもある気がして、嶋は更に不安になって行った。



 その頃地下3階、工作員達を軟禁している部屋では

「奴ら何してやがんだよ!早くこいよ!退屈じゃねえか!」

 工作員の1人は、かなりイライラしていた。

「落ち着けよ。奴等の作戦だろうよ!俺達は最強CIAだ。日本の民間人ごときに、ガタガタ言うんじゃねぇよ(笑)」

「でもよ…」

「いいから、座ってろよ!」




「奴ら、ダメダメだな(笑)1階から連絡もねぇし、救出にこねぇって事はCIAは奴らを捨てたな(笑)
 またあんな奴らじゃ、救出の価値もねぇな(笑)」

 元CIAのレオンが、笑いながら行った。



 事実CIAは2人が捕らえられた事は把握していたが、特に救出作戦を立ててはいなかった。
 相手は日本の民間人。平和な日本の民間人に捕らえられ、ましてや命を無くす様であれば、工作員としての価値などない。
 自力で脱出して当然だと思っていた。


 それから10分程は工作員は2人共おとなしくしていたが、さすがに影も音もない真っ白な部屋で感覚が狂い始めたのか、落ち着いていた方の男も少し落ち着きがなくなっていた。

「こいつら…(笑)よう、こいつらに調教付けちゃダメかな?
 せめて井上さんの半分でもやり返さねえと、俺納得できねぇわ!
 それに、身の程を弁えさせねぇとな(笑)」

 柴田も笑っていた。

「社長からの指示もねぇし、適当にあしらって帰せって言われてたしな(笑)
 あしらっちゃうか?(笑)」

「おう!あしらっちゃおう!(笑)誰が行く?ジャンケンしよ!ジャンケン!
 最初はグーからな!」

 ボディーガード達は、子供の様にはしゃぎながら、ジャンケンを始めた。
 2回のアイコの後、ずっとグーを出し続けていた柴田が勝った。

「よ~し、よし、よしっ!ちょっと行ってくらぁ(笑)」

 手を振りながら、スキップをする様に部屋を出て行った。

「ずっとグーって…」

 レオンと古田と本田は、呆れた様に肩をおとした。
 2対1で柴田がヤラれるかも?とかはまったく心配していない。
 工作員2人の格闘技術はわからないが、全身ナノマシンの彼らには、例え2人がボクシングの世界チャンピオンだとしても、かすり傷すら柴田に付けるのは不可能と確信しているからだ。

 モニターを見ていると、真っ白な壁にドアの形に線が入り横にスライドすると、満面笑顔の柴田が仁王立ちしていた。

「ハロー!ボーイズandボーイズ!オジサンが君達に、稽古を付けてあげよう(笑)
 さあ、遠慮なく掛かって来なさい!」

「なんだと?なめてんのか?」

工作員の2人は、柴田の態度に眉をしかめた。


モニター越しのボディーガード達は

「あっはっはっ!柴田、北斗神拳やるぞ!最近息子と、北斗神拳ごっこしてるらしいからな(笑)」

 1980年代に連載開始され、50年以上経っても人気の衰えない、拳法を題材としたアニメ北斗の拳。

 柴田は少し斜に立ち、左腕を力を抜いた状態で前に出し、右腕は顔の横に脱力した状態でユラユラと揺らしていた。

「ほぁあぁぁおぉうぅぅ…」

 北斗の拳主人公の発する声を真似ながら、軽くステップを取る。

「なめてんじゃねぇ!ジジィ!」

 イラ付きが激しかった方の男が、空手の構えでスリ足で近付き、レバー辺りに左リードパンチを打ち込んだが、柴田は右手で掴み、怒りの表情で

「テメェらの血は何色だぁーっ!」




『おい!それは、南斗聖拳レイのセリフだ(笑)』

 壁からから古田の突っ込みが聴こえて来た。

「テメェら!やっぱ見てたのか!」

「北斗神拳に敵はいない!」

『あっははははっ!おいガキ共、シカトされてるぞ!
 頑張れよ、おい!(笑)』

 頭に血が昇った工作員達は、同時に柴田に襲いかかったが、柴田はそのことごとくを避け、無数のパンチを叩き込んだ。

「あ~たたたたたたっ!あ~たたたたたたっ!あたぁ~あっ!
 北斗百裂拳!」

『でたーっ!百裂拳!(笑)』
 
「お前はもう、死んでいる!」
 
「ふざけんなっ!死んでねぇしっ!」
 
2人共膝を付いて柴田を見上げたが、柴田は腕を高く上げ、天井を指差し

「天に還る時が来たのだ!」

『あっ…』

 柴田の真後ろの壁に線が入り、音もなく横にスライドすると、嶋が立っていた。

 モニターを見る古田達は気付いたが、柴田は気付いていない。

「何やってるんですか?」

 柴田はポーズを決めたまま、ゆっくり振り向くと

「あっ…あっ…社長!これは…」

 嶋の登場に、柴田は工作員達に背を向けてしまった。
 その隙を狙って工作員達は柴田の左右をすり抜け、嶋に襲いかかる。

 1人は嶋の右腕を背後にまわし関節を決め、片方の腕を首に回し羽交い締めにした。

 もう1人は廊下へ出て出口をさがしたが、真っ白な壁でドアの様な物は無かった。

「エレベーターのドアがある筈だ!どこだ?」

 壁を手探りで探すが、何も無かった。
 諦めてドアの前に戻り

「こいつの命が欲しかったら、出口教えろ!どこだ!」

 柴田は苦笑いしかしなかった。

「何笑ってんだ!こいつが死んでもいいのか!」

「出来るなら、やってみなよ(笑)」

 羽交い締めにされ、人質の筈の嶋が言うと

「社長、怒ってます?」

「うん、怒ってますね(笑)こいつらに(笑)
 こいつらが井上さんを?」

「そうです。」

 柴田が返事をした瞬間、嶋を羽交い締めにしてた男が宙に舞った。
 嶋はすかさず、呆気に取られてるもう1人の髪の毛をつかみ、部屋の中へ引っ張りこんだ。

「こいつら、俺がやります!」

 嶋は掴んだ髪の毛を離さず、投げ飛ばされて、倒れて床から立ちあがろうとした男の顔面を蹴り上げた。


〝ガッ!”

 という音の後、男は声も無く倒れた。

[社長、本気で怒ってる…]

 ボディーガード達全員が思っていた。

 嶋は続いて、髪の毛を掴んだ男の膝を、横から踏みつける様に下へ向かって蹴りつけた。

〝ボキッ!”

「ぐあ…あああああっ!」

 膝が砕け、男は叫び声をあげて膝を押さえうずくまった。

「まだまだだ。井上さんの受けた傷は、こんなもんじゃねぇ。」

 嶋は気を失い倒れている男の脛を、思いっきり上から踏みつけた。

〝ボギッ!”

「があああああっ!」

 痛みで意識が戻り、脛を押さえてのたうち回る。

 続いて膝を砕いた男の残りの脚、続いてもう1人の男の膝。と、交互に真一が受けた傷と同じ傷を付けていった。

 2人が涙と鼻血、血を吐いて声も出せなくなった頃

「お前らの上司に会いに行こうか。」

 ボディーガード達はすぐに部屋へやって来て、2人を抱え車へと運んだ。



























 

 








 












































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