リサシテイション

根田カンダ

文字の大きさ
42 / 46

第42話 ソロモンの軍団

しおりを挟む

ーーーシャムシール、アルファス、レライエの《シマー》コンソールを特定。
 《シマー》メインサーバーから切り離し、私との接続完了しました。
 今後彼等は、《シマー》メインサーバーの干渉を受ける事なく活動可能です。ーーー


[わかった。彼等のデータを全て見せてくれ。]


 『見せる』とは言ったが、実際はインストールだ。
 嶋はモルテやシャムシール達の大陸での戦闘データを、『アリサ』を経由してインストールさせていた。
 モルテ達は最前線で戦っていたが、それはどちらかと言えば人類側に立っての戦闘だった。
 韓国軍に対しては兵士への直接攻撃を行っていたが、中国軍に対しては兵士への攻撃を、まったく行っていなかった。
 モルテ達だけでなく、他にも人類側への攻撃は行わず、《シマー》軍への攻撃を行っているグループが、多数確認も出来た。
 その事について嶋は、モルテ達に質問をした。


「他のPK達と、自分の国が攻撃されてるって気付いたユーザー達ですね。
 一応は僕達と連携はしてるチームもいましたが、奴等には本物の軍隊がいて、ほとんどが数に押されて…。」


「君達は、なぜBANされないのだ?」


 チート行為やプレイヤー・キラー等、ゲームを楽しむユーザー達への妨害行為を行うユーザーは、運営側から『BAN』と呼ばれるアカウント停止やアカウント消去の制裁をされる場合があるのだが、モルテ達は制裁を受けてはいなかった。


「僕達だけでなくて、他の連中もBANされてませんよ。
 理由は僕達もわかりません。」


「君達だけでなく、他のPK達も日本へ来てるのか?」


「来てました。中国、韓国のユーザーもいました。」


[『アリサ』、美保子を呼んでくれ。]


 《シマー》がどの様な仕様になっているのか、美保子に詳しく聞く必要があった。
 中国での戦闘で味方である《シマー》軍を攻撃してもBANされず、破壊の限りをつくされた朝鮮半島と中国のユーザー達もいたならば、《シマー》コンソール単体を破壊しても、《シマー》軍が消滅しない可能性があるからだ。
 それに、たまたま《シマー》コンソールが破壊されなかったとしても、通信手段がない筈だった。
 それなのに実体化して現れている。それは《シマー》に何かの秘密がある様に思えていた。
 

ーーー美保子様は、マスターと同等の天才です。
 マスターに隠し事ではなく、天才であるが故に、画期的な発明も御本人には気にもとめない程度の事なのだと推察されます。
 マスター自身、同様な事象は多数存在しております。ーーー


[そんな事あるのか?俺にも?]


 嶋で言えば、ナノマシンの能力だった。
 嶋のナノマシンは人体1体分のナノマシンで、原子力発電機1機の1割もの電力を発電している。確かに戦闘ともなれば、相当量の電力エネルギーを消費してしまうが、通常生活ならば消費量は微々たる物で、例えば嶋1人の発電量では5万世帯程の電力を賄える程の発電力が有った。
 電力業界で言えば、世界中の電力会社が倒産してしまうレベルの発明ではあるが、嶋はそれ程の電力を発電しているにも関わらず、『アリサ』から指摘された時も


「あぁ、そうなんだ?」


 で終わっていた。嶋はCPU工学以外にまったく興味を示さず、それに付随した発明も、『おまけ』程度にしか考えていなかったし、美保子も同様だった。

 程なく美保子も『海岸』に現れ、嶋はモルテ達に紹介した。


「私の妻の美保子です。彼女が《シマー》開発者です。」


 モルテ達は驚き過ぎて声も出せなかった。
 嶋は美保子にモルテ達の事を説明し、モルテ達がBANされない事と、破壊の限りを尽くされた中国と朝鮮半島のユーザー達が、今も《シマー》にログイン可能な事に関しての理由と可能性を尋ねた。


「ゲームした事ないから、わからないよ…。」


 モルテ達は更に驚いた。《シマー》によってゲームの世界は無限に拡がったが、その開発者がゲームをプレイした事が無いのが信じられなかったからだ。


「ただ《シマー》の強度は、外装がチタンだからかな?
 強度はかなりあるから、中のCPUが損傷しない限りは、稼働出来ると思う。
 通信は…、ニュートリノかな?衛星もケーブルも、電力も無しで稼働してるとしたら、電力を持ったニュートリノが《シマー》を稼働させてるのかも?
 稼働してる個体とニュートリノをやり取りして、稼働電力と通信を可能としてるのかも?
 まあ、私は物理学はわからないから本当はどうなのか?わからないけどね。
 可能性だね!」


「いい加減だな…。」


 嶋は呆れて言ったが、美保子も『アリサ』も、嶋の方がいい加減と思っていたが、嶋には言わなかった。


「あの…。」


 モルテが申し訳無さ気に、美保子に質問をした。


「ニュートリノとか、《シマー》は通常のCPUじゃないんですか?」


 通常のCPUならば、ニュートリノ発生どころか、まったく関係が無い。


「《シマー》単体は、光量子CPUだよ。」


「!オーバーテクノロジーだ!」


 大学でCPU工学を学んているモルテからすれば、《シマー》は既に最先端のCPU工学を超越していると理解が出来た。


「存在してるんだから、オーバーテクノロジーじゃないよ?」


 確かにそうではあるが、《シマー》もナノマシンも、それが数百年後としても存在してはならないテクノロジーだ。
 その存在の為に悪用され、国をも滅ぼす大虐殺が起きてしまった。


「この戦争を、終わらせなければならない。」


 嶋の雰囲気に、モルテ達はただ頷くしか出来なかった。
 

「君達がこの戦争がゲームではなく、現実だと気付いたのは、朝鮮半島後と言う事だが、なぜその後も参加しているんだ?
 拒否しようと思えば、出来るんじゃないのか?事実日本では、参加していないユーザーが多い様に感じる。
 なぜ自分の意志で不参加を決めないのだ?
 それが私には理解出来ない。」


 確かにそうだった。
 なぜログインするのか?日本の《シマー》ユーザー達の多数は、ゲーム界の境が取り払われてから怪しげな集団が現れてからは、ログインを控えていたユーザーが多い。
 真一や夏菜達もログインを控え、様子を見ていた。
 自分の意思で不参加を決められる筈だ。


「信じてもらえないかも知れませんが、僕達に自由はありませんでした。
 リクルーター、僕達は『リクルーター』と呼んでるんですが、奴等が現れて誘いに乗った時に、新しいオープン・バースに移動させられました。」


「オープン・バース?それは何だい?」


 嶋は『オープン・バース』と言う言葉を知らなかった。


「ここの世界みたいな空間です。
 メタ・バースとかオープン・ワールド、マルチ・バースとも呼ばれてます。」


 嶋はそれらの名称を聞いた事はあったが


「バーチャル空間は、バーチャル空間だ!」


 と、受け入れていなかった。
 『メタ・バース』と言う言葉と空間が発表された当時、すでに嶋は『アリサ』を構築し、現実以上の仮想空間を実現させていた。
 その為、『メタ・バース』のクオリティが余りにも低すぎる事から、古い呼び名ではあるが、『バーチャル空間』以外の名称を受け入れなかったのだ。
 だが嶋は今はモルテ達に合わせ、続きを促した。


「奴等のオープン・バースへ入ってから、侵攻が始まると勝手にログインさせられ、侵攻が終わるまでログアウト出来なくなりました。
 侵攻開始時に出掛けていても、部屋に戻った瞬間にログインです。」


[最悪だな…。]


 ログインを嫌い、自宅にもどらなかったり、自分の部屋でくつろいだり眠る事が出来ない事は、人間にとっては耐え難いストレスになる。
 数日ならば外泊も出来るだろうが、長期は経済的にも限界が来てしまう。


「ログインしても、戦場に行かないとかは出来ないのかな?」


 自身のサロンや、オープン・バースに居続ける事が出来れば、戦争に参加せずにすむ。
 

「出来ません。オープン・バースで数時間待機はあったりしますが、侵攻が開始されれば、強制的に戦場に転送されます。
 抵抗出来る事と言えば、PKか戦闘には参加せず後方で隠れている事くらいしかありません。」


 嶋は美保子を見た。美保子がそんなシステムを組み込む筈がないと思いながらも、確認をする為だった。
 美保子も嶋の思考を読み取り、黙って首を振った。
 その後すぐにモルテ達に


「私はそんなシステムを組んでいません。
 ユーザーの自由を奪って、殺戮に参加させるなんて、そんなシステムはあってはなりません!」


 美保子は《シマー》が乗っ取られた事も伝えた。


「野崎…。名前はわかりませんが、確かにリクルーターの集団に日本人が1人いました。
 結構な年齢だったと思います。リクルーター達もその日本人の前では敬礼してましたから。」


 野崎に間違いなかった。
 『アリサ』は、モルテ達の記憶データから日本人の画像を掘り出し、嶋と美保子へ転送した。
 その顔はチェンだった。嶋と美保子がインドで『リサシテイション』開発中だった頃、『チェン』と名乗っていた野崎であった。
 嶋と美保子は、『チェン』を無能と評価していた。
 それは嶋と美保子からの視点であり、インドへ呼ばれた以上は、一般的以上である天才の部類で間違いはなかった。


「インドに呼ばれてた以上は、やはり天才ではあったんだね。」


 天才ではあったが、一般的な天才であり文化や文明を変化させてしまう程の天才ではなかった。
 なかったが故に、嶋や美保子の発明に嫉妬しながらも、利用する事しか出来なかったのだ。
 美保子とアリサが実体化した後のセキュリティーの穴を利用し《シマー》サーバーを掠め取り、その掠め取ったサーバーに嶋の開発したセキュリティー・ウォールでロックを掛ける。
 文化文明をも変えてしまう程の嶋と美保子に出会った事によって、それまでの自信は砕け散り、元々が公安警察官と言う人を信用せず、騙し、監視し、ある程度近しくなった者すらをもなんの感情も抱かずに裏切れる捻れた性格が、更に卑屈さを増大させていたのだ。
 卑屈な人間が世界をも変え得る文明を手に入れた時に考えつく事は、誰も同じ。
 世界征服だった。
 だが、1人で世界征服を目指す器量もない野崎は、同じく卑屈な大統領を利用した。
 有能な政治家が少ない時代に大統領になったタイラーは、国民から次の時代までの間に合せ大統領と呼ばれていたのだ。
 それを気にしていたタイラーに野崎は近付いたのだ。
 それからアメリカの敵国への壊滅作戦が始まった。



「最初の内はすべてのゲームユーザーが、同一のオープンバースでプレイ出来るって話だったんだけど…。」


 モルテ達は表情を曇らせた。
 確かにあらゆるゲームの装備のユーザー達が集まり交流していたが、やはり統一性がないためか混沌と化していった。
 やがてその混沌に付け入る様に、『マスター』を名乗る集団が現れた。


「奴等はそのオープン・バースの運営者を名乗り、ユーザー達をまとめ始めたんだ。
 特に現実世界に不満や絶望していた人をそそのかして、過激なグループをつくり出したんだ。
 現実世界で身体的ハンデキャップを持ち、差別に晒されて来た人達をそそのかし、ロシアや中国に濡れ衣を着せられ政治犯に仕立て上げられた人達を取り込み、従軍によってPTSDを負った兵士達を取り込んで行ったんだ。
 僕達は不信感しかなかったんだけど、ある日ゲームの準備が整ったと言われて送り込まれたのが、韓国だったんだ。」

 
 シャムシール達も、苦々しい顔で頷いた。


「現実の韓国を攻めていた事に、僕達は気づけなかった。
 現実で人を殺していた事に、気付けなかったんだ!」


 『アリサ』や《シマー》の創り出す世界は、現実とまったく見分けが付かず、更にゲーム世界のままで現実世界で活動出来るナノマシンの存在を知らなければ、誰にもそれが現実だとは気付かなかっただろう。
 嶋はモルテ達だけでなく、野崎とタイラーに踊らされたユーザー達を被害者として捉え、申し訳なく思っていた。


「ログアウトしてから、韓国の惨事を知ったんだ。
 それから僕達は《シマー》をゲームコンソールから外したんだけど…。」


「関係を断つことが、出来なかった?」


 嶋の問いに、モルテ達は黙って頷いた。


「ニュートリノとブロックチェーンだね…。」


 光量子CPUである《シマー》コンソールからは、常にニュートリノが出入りしている。
 そのニュートリノが稼働エネルギー供給と通信を可能とさせていた。
 物理学においては、電子ニュートリノにあたるが、理論だけで実際に発見はまだされていなかった。
 《シマー》の発生させる電子ニュートリノと嶋のナノマシンがあれば、世界のエネルギー問題やECO問題は、一気に片付いてしまうが、それに気付く前に既に軍事利用されてしまった。


 モルテ達は《シマー》に抵抗は試みたが無駄に終わり、強制ログインさせられた挙句、更に強制的に戦場へと送られた。
 唯一抵抗出来たのは、プレイヤー・キラーとしての行動だった。
 自身も不死の兵であり、同じ《シマー》兵へ攻撃し倒す事も出来た。
 ならばモルテ達はプレイヤー・キラーとして、《シマー》兵を攻撃するだけだった。
 そんなモルテ達と同じ思いを抱いた者達は、自然とモルテ達と同じく《シマー》兵達への攻撃を始め、やがてお互いに気付き、連携する様になっていった。


「僕達は元々プレイヤー・キラーだったけど、韓国戦からプレイヤー・キラーに転身したユーザーは、たくさんいました。
 僕達と連携したユーザーは50人くらいでしたけど、他にも反《シマー》ユーザーの大隊規模のチームが結成されたって、連携したユーザーが言ってました。」
 

 大隊規模ならば約500名程だが、実際の戦闘経験者ならば日本には心強い。


「連携してるユーザーや、その大隊と連絡は取れるのかい?」


「取れます!」


[『アリサ』彼等のナノマシンを。]


 モルテ達は嶋のナノマシンを与えられ、嶋と共に現実世界への戦場へ戻り、
美保子もニュートリノ検出へと戻った。








 


しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

兄貴のお嫁さんは異世界のセクシー・エルフ! 巨乳の兄嫁にひと目惚れ!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
ファンタジー
夏休み前、友朗は祖父の屋敷の留守を預かっていた。 その屋敷に兄貴と共に兄嫁が現れた。シェリーと言う名の巨乳の美少女エルフだった。 友朗はシェリーにひと目惚れしたが、もちろん兄嫁だ。好きだと告白する事は出来ない。 兄貴とシェリーが仲良くしているのを見ると友朗は嫉妬心が芽生えた。 そして兄貴が事故に遭い、両足を骨折し入院してしまった。 当分の間、友朗はセクシー・エルフのシェリーとふたりっきりで暮らすことになった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~

アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」 中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。 ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。 『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。 宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。 大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。 『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。 修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。

異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通
ファンタジー
 ネットオークションに、異世界転移魔方陣が出品されていた。  三千円で。  二枚入り。  手製のガイドブック『異世界の歩き方』付き。  ガイドブックには、異世界会話集も収録。  出品商品の説明文には、「魔力が充分にあれば、異世界に行けます」とあった。  おもしろそうなので、買ってみた。  使ってみた。  帰れなくなった。日本に。  魔力切れのようだ。  しかたがないので、異世界で魔法の勉強をすることにした。  それなのに……  気がついたら、魔王軍と戦うことに。  はたして、日本に無事戻れるのか?  <第1章の主な内容>  王立魔法学園南校で授業を受けていたら、クラスまるごと徴兵されてしまった。  魔王軍が、王都まで迫ったからだ。  同じクラスは、女生徒ばかり。  毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫など、毒はあるけど魔法はからっきしの美少女ばかり。  ベテラン騎士も兵士たちも、あっという間にアース・ドラゴンに喰われてしまった。  しかたがない。ぼくが戦うか。  <第2章の主な内容>  救援要請が来た。南城壁を守る氷姫から。彼女は、王立魔法学園北校が誇る三大魔法剣姫の一人。氷結魔法剣を持つ魔法姫騎士だ。  さっそく救援に行くと、氷姫たち守備隊は、アース・ドラゴンの大軍に包囲され、絶体絶命の窮地だった。  どう救出する?  <第3章の主な内容>  南城壁第十六砦の屋上では、三大魔法剣姫が、そろい踏みをしていた。氷結魔法剣の使い手、氷姫。火炎魔法剣の炎姫。それに、雷鳴魔法剣の雷姫だ。  そこへ、魔王の娘にして、王都侵攻魔王軍の総司令官、炎龍王女がやって来た。三名の女魔族を率いて。交渉のためだ。だが、炎龍王女の要求内容は、常軌を逸していた。  交渉は、すぐに決裂。三大魔法剣姫と魔王の娘との激しいバトルが勃発する。  驚異的な再生能力を誇る女魔族たちに、三大魔法剣姫は苦戦するが……  <第4章の主な内容>  リリーシア王女が、魔王軍に拉致された。  明日の夜明けまでに王女を奪還しなければ、王都平民区の十万人の命が失われる。  なぜなら、兵力の減少に苦しむ王国騎士団は、王都外壁の放棄と、内壁への撤退を主張していた。それを拒否し、外壁での徹底抗戦を主張していたのが、臨時副司令官のリリーシア王女だったからだ。  三大魔法剣姫とトッキロたちは、王女を救出するため、深夜、魔王軍の野営陣地に侵入するが……

処理中です...