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間章 I
別人
しおりを挟む「いけるか?」
「やってみる!」
そう言って、見様見真似で魔力を小さくそしてたくさん、ばら撒く様に相手の見えない所で盤面を支配するんだ。
「俺なら出来る、俺なら」と自分に強く言い聞かせる。
しかし、最初はうまく行かないものだ。
沢山生成するのにはまだ時間が必要、そして見えない攻撃にするためには一段と魔力集中をする必要がある事に気が付いた。今までとはやってる事の次元が違う。
楽しむ魔法から、勝つ魔法に、俺は本格的に1人の一人前のハンターとして進む事の決意をした。
────数日後。
「なかなか上手くは行かんなあ
ルイス、アドバイスとかある?」
「これに関して、俺は感覚派だ、悪いな
数をこなして慣れろとしか俺からは言えん」
「そうだろうな…天才が理論派とか最強すぎだろ」
「そうだな何でもすぐに出来る身体になっちまったもんだからこれに関しちゃ俺ぁ甘えてるな」
ルイスは昔はかなり努力をするタイプの人だった。
それでも初めからできて最強になってしまうと、それ以上を求めるのには、もう一つ刺激が欲しいと言う所か。
でも自分でも自覚していると言う所は流石だ。
最強な自分をさらに磨きをかけると言うのだから。
俺はそれを素直に褒めた。
すると、全く照れる事なく、チラッとこっちをみるだけで何も言わなかった。
「うーん駄目だ!一旦、気晴らしにちょっと外出だ、ルイス!」
「どうした急に、外は嫌なんじゃ無いのか?」
「このままじゃ進まない気がしたから!
俺が前に進むためにも過去は乗り越えないと」
世間はアーノルドが死に伝説となったと称えられ、前より、より一層神話を語る人が増えたとルイス女子軍から聞いた。
俺は、生きてる事を知っている。
しかも、その物語、最近ではやられる話も増えてきているのだそう。
そうなると俺は平常でいられるか、どうか今も怪しい。
それでも、ここ数日で前に進めた。
ならさらにもう一歩進むのは今なんじゃ無いかと思った。
「それなら行くか!着替えは…それで良いな」
早速外に出て、やる事もなく、発展している街を歩く。
この集落は子供が多い。
つまり、あの話がよく聞こえてくると言う事だ。
でもそんなのは関係ない。
「何する?買い物か?それとも…」
「モンスターでしょ!」
「…だよな」
ルイスはイマイチ乗り気ではなかった。
それでも俺はやってみたい試してみたいと言う好奇心が強かった。
街に見向きもせず直進、アーノルドの話をしているのは聞こえたが、もうそんな事気にするほど俺は追い込まれていなかった。
「取り敢えず、マトルフ大森林に行けば、モンスターはいるだろ!」
「あそこに行くのか?」
「勿論!俺が知ってる場所そこしか無いし」
俺は外出経験が少ない、だからモンスターが沢山いそうな雰囲気のした、マトルフに行ってみたかったが、ルイスに止められた。
そこは街から離れた所にあるから、やっぱかなりの強敵が、沢山いる為、有数のハンター達が防衛しているとのことで、自由な出入りは難しいらしい。
「そこまで言うなら仕方ないけど、どこに行くの?」
「街から近くの荒野、そこがまあお前でも楽に倒せそうなモンスターがいるからいくならそっちだ」
「分かった!じゃあそっちにしよう」
俺はすぐに引き返し、その荒野という所に向かうが、数は歩いたとこでルイスの方に振り返る。
「で、この荒野どこ?」
「張り切んな、教えないぞ」
「じゃあ1人で探しに行っちゃうから」
「ああ、勝手にしろ、そして死ね俺は帰る」
「悪い、悪かった、大人しくするから」
ルイスに帰られたら困る。
また俺の居場所がなくなってしまう。
食べ物が無い、雨はこの世界ではそこまで降らないらしいが寒暖差は勿論の事だ。
まだ10になって数ヶ月で荒れた野原で生き延びるのは無理がある。それが出来るのはチートスキルで何をしても何とかなりそうなルイスくらいだろ。
俺はゆっくりルイスの後ろでノリノリで歩く。
「着いたぞ」
「おお!やっと着い……ってここ、俺の家じゃねえか!」
「そうだ、お前の家だ」
荒野に向かうと思ったら、木が茂っている俺の家に来た。
秘境だと言うのにどうしてここが分かったのだろうか、それもこれもこいつのスキルだと言うのか。
「パルナって人に教えてもらった。
絶対にウィルを家に帰してくれってな、取り敢えず入るぞ
話をしたらここの近くに、良い場所がある、ちゃんと連れてくから安心しろ」
「信用できん!」
「とにかく…待たせてる」
俺とルイスは家に入る。
靴は俺のと父のそして二つ、パルナさんと、アイリスの靴だろう。
リビングの電気がついている。
「ちゃんと約束を守ったのね、」
「当たり前だ
俺は良いやつだからな」
「どうして…ここに?」
俺はシンプルに疑問だった。
ここは俺ん家だ。
まず鍵を持っていないはず、それにあの事件から数ヶ月も経っている。自分の仕事も家もあるはずなのにどう言う事なのか、
「良いの、座って話があるから」
そう言われて俺は座る。
前の夫婦喧嘩の時の様にしんみりとしているが、そこには緊迫感は無く、皆やけに落ち着いていた。
それもそうだった。
俺以外みんな状況を理解していたからだ。
アイリスも見ないうちにかなり大きくなって、前の様なよそよそしさも消えている。
「ウィル君の父、アーノルド=ユースメルグからの手紙よ」
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