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最後とは ーブリジットーポールー
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アベルがブリジットに会いたがっている。
ブリジットがドアを開けると聞こえてきたのはそんな言葉だった。
わかっていながらもブリジットは青ざめた。
二度も皆の前で引っ叩いたのだ。怒っていて当たり前だ。
誠心誠意謝罪しようと、会う事を申し出た。
そして今度こそ会うのは最後だと。
最後は美しい思い出で終われるなんて、夢のまた夢だった。
許されるはずなどない。
こんな騙していた関係が美しく終わるなど。
ガネット夫人は昼食前に短い時間、応接室で夫人やポールと一緒なら許すとアベルに言ったらしく昼前になると侍女が呼びにきた。
「ブリジット。」
部屋に入れば名前を呼ばれアベルが立ち上がっていた。
ブリジットは少し目を大きくした。
てっきり恨みのこもった目を向けられると思っていたのに、現実はこちらを窺うような目だった。
しかしすぐ気を取り直し謝罪する。
「何故君は謝罪しているんだ?」
低い声で言われブリジットの体は強張った。
何をしでかして何故謝罪しているのかわかっているのか。
そう言われた気がしたのだ。
ところが後に続いた言葉はブリジットの予想外の言葉だった。
「私は怒ってなどいない。謝罪するのは私の方だ。」
怒ってはいない?
いや、そんな訳はない。
いや、でも……
ブリジットは混乱していた。
結果以前辿り着いた結論に戻る事にした。
(最後は綺麗にお別れしたいと思っていらっしゃるんだったわね。)
しかし一転「私は怒っている。」と怒気をはらんだ目で見据えられた。
挙句婚姻解消は了承していないとまで言い出した。
驚いたのはブリジットだ。
婚姻解消は多分にアベルの希望があると思っていたのだから。
「私達の婚姻解消だ。私達が話し合おうじゃないか。」
「君の言葉が聞きたい。」
ドキリとした。
逆に考えればアベルにもブリジットに言いたいことがあると言う事だ。
ブリジットは話し合うことを了承した。
ここで拒否することは誠実でない気がした。
(ずっと騙していたんですもの。最後くらい誠実でありたい。)
そうして正真正銘それが最後で最後。
最後だ。
ーポールー
確かに週末の休みに話し合う事になったよ、なったさ。
そしてそれが最後だと。
だからこれは間違っていない。
間違っていないんだけれども。
週末の話し合いが決まった次の日。
アベルはビジイに会いに来ていた。
仕事の帰りにタウンハウスに寄り、ビジイに一目会い、少し話をして愛おしげに髪を撫でると、名残惜しそうに領邸に帰って行く。
そんな日が続いていた。
誰もが首を捻りながらも、確かに週末会うのを最後にすればそれまではセーフ……なのか?という気分にさせられていた。
まあ一目見ただけですぐ帰るんだからいつの間にかビジイも皆も受け入れていた。
本当お前は面白い弟だよ、アベル。
ここまでになると正直わからないのはビジイの方だ。
アベルに好意など向けれられるはずもないと思っているのは明白だった。
自分が許されるわけがないと思い込み、それが厚い壁となってアベルを跳ね除けている。
もちろんアベルがしてきた事を思えばそう思っていても仕方がないとはいえ、ここまであからさまな好意を向けられても崩れないものなのか。
聡いビジイが気付かないはずないと思うんだけどな。
まあそうなってくると週末の話し合いなんて、意味のないものに思えてくる。
2人はちゃんと話し合いましたという既成事実が出来上がるだけだ。
この様子じゃビジイは婚姻解消を取りやめる気はないだろうし、私達も解消に向けて動いている。
(アベルが納得するためだけの場になりそうだ。)
そう思っていたのに、まさか週末を迎える前に波風が立つ事になるなんて思いもよらなかったよ、アベル。
あんな短い逢瀬でどうして揉める事ができるのか不思議だが、それがアベルなんだよな。
それは週末まであと2日と差し迫った日だった。
その日は私と母上とデイビットがその場にいた。
いつもの様にアベルが来てビジイと少し話した後、名残惜しそうに帰って行く。
そのはずなんだが、今日はいつもより離れ難いようだった。
まあ、もうあと2日だしな。
その位にしか思っていなかったが、少し怪訝そうにアベルを見上げるビジイを見てアベルが柔らかく、フと笑った。
そして、するりと自然にビジイの唇に親指を這わせる。
うん?
母上とデイビットがハッとして立ち上がった時だった。
ガリッ!!
鈍い音が響いた。
ブリジットがドアを開けると聞こえてきたのはそんな言葉だった。
わかっていながらもブリジットは青ざめた。
二度も皆の前で引っ叩いたのだ。怒っていて当たり前だ。
誠心誠意謝罪しようと、会う事を申し出た。
そして今度こそ会うのは最後だと。
最後は美しい思い出で終われるなんて、夢のまた夢だった。
許されるはずなどない。
こんな騙していた関係が美しく終わるなど。
ガネット夫人は昼食前に短い時間、応接室で夫人やポールと一緒なら許すとアベルに言ったらしく昼前になると侍女が呼びにきた。
「ブリジット。」
部屋に入れば名前を呼ばれアベルが立ち上がっていた。
ブリジットは少し目を大きくした。
てっきり恨みのこもった目を向けられると思っていたのに、現実はこちらを窺うような目だった。
しかしすぐ気を取り直し謝罪する。
「何故君は謝罪しているんだ?」
低い声で言われブリジットの体は強張った。
何をしでかして何故謝罪しているのかわかっているのか。
そう言われた気がしたのだ。
ところが後に続いた言葉はブリジットの予想外の言葉だった。
「私は怒ってなどいない。謝罪するのは私の方だ。」
怒ってはいない?
いや、そんな訳はない。
いや、でも……
ブリジットは混乱していた。
結果以前辿り着いた結論に戻る事にした。
(最後は綺麗にお別れしたいと思っていらっしゃるんだったわね。)
しかし一転「私は怒っている。」と怒気をはらんだ目で見据えられた。
挙句婚姻解消は了承していないとまで言い出した。
驚いたのはブリジットだ。
婚姻解消は多分にアベルの希望があると思っていたのだから。
「私達の婚姻解消だ。私達が話し合おうじゃないか。」
「君の言葉が聞きたい。」
ドキリとした。
逆に考えればアベルにもブリジットに言いたいことがあると言う事だ。
ブリジットは話し合うことを了承した。
ここで拒否することは誠実でない気がした。
(ずっと騙していたんですもの。最後くらい誠実でありたい。)
そうして正真正銘それが最後で最後。
最後だ。
ーポールー
確かに週末の休みに話し合う事になったよ、なったさ。
そしてそれが最後だと。
だからこれは間違っていない。
間違っていないんだけれども。
週末の話し合いが決まった次の日。
アベルはビジイに会いに来ていた。
仕事の帰りにタウンハウスに寄り、ビジイに一目会い、少し話をして愛おしげに髪を撫でると、名残惜しそうに領邸に帰って行く。
そんな日が続いていた。
誰もが首を捻りながらも、確かに週末会うのを最後にすればそれまではセーフ……なのか?という気分にさせられていた。
まあ一目見ただけですぐ帰るんだからいつの間にかビジイも皆も受け入れていた。
本当お前は面白い弟だよ、アベル。
ここまでになると正直わからないのはビジイの方だ。
アベルに好意など向けれられるはずもないと思っているのは明白だった。
自分が許されるわけがないと思い込み、それが厚い壁となってアベルを跳ね除けている。
もちろんアベルがしてきた事を思えばそう思っていても仕方がないとはいえ、ここまであからさまな好意を向けられても崩れないものなのか。
聡いビジイが気付かないはずないと思うんだけどな。
まあそうなってくると週末の話し合いなんて、意味のないものに思えてくる。
2人はちゃんと話し合いましたという既成事実が出来上がるだけだ。
この様子じゃビジイは婚姻解消を取りやめる気はないだろうし、私達も解消に向けて動いている。
(アベルが納得するためだけの場になりそうだ。)
そう思っていたのに、まさか週末を迎える前に波風が立つ事になるなんて思いもよらなかったよ、アベル。
あんな短い逢瀬でどうして揉める事ができるのか不思議だが、それがアベルなんだよな。
それは週末まであと2日と差し迫った日だった。
その日は私と母上とデイビットがその場にいた。
いつもの様にアベルが来てビジイと少し話した後、名残惜しそうに帰って行く。
そのはずなんだが、今日はいつもより離れ難いようだった。
まあ、もうあと2日だしな。
その位にしか思っていなかったが、少し怪訝そうにアベルを見上げるビジイを見てアベルが柔らかく、フと笑った。
そして、するりと自然にビジイの唇に親指を這わせる。
うん?
母上とデイビットがハッとして立ち上がった時だった。
ガリッ!!
鈍い音が響いた。
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