29 / 40
【番外編・ハロルドとの恋愛エンディング】
04 ダメなこほど可愛い
しおりを挟む
メアリーが王城に一室を与えられ、そこで暮らすことになると、ハロルドの執着はさらに酷くなっていった。
「メアリー、聞いてよ!」
「メアリー、あいつら、絶対に殺す!」
「メアリー! メアリー!」
メアリーは自分の肩の上に乗せられた、ハロルドの綺麗な黒髪を優しく撫でた。
「ハロルド、落ち着いてください。私で良ければ、お話ならいくらでもお聞きしますから」
「メアリーじゃないとダメだ。だって、メアリーはどんなに情けない私を見ても、絶対に敬意を払ってくれるから! メアリー以外にこんな姿は見せられない! ああ、メアリー大好き! ずっと私の側にいて!」
「は……はは……」
乾いた笑いを浮かべたメアリーは『どうしてこうなった?』と再び自問した。
ハロルドの頭を撫でてしまったあの日から、ハロルドは駄々っ子のように毎日抱きついてくる。
(でも私、予想外に情けない殿下が、ちょっと可愛いって思いはじめちゃっているのよね……。別にひどいこともされないし、まぁ、怖いよりかは、こっちの方が良いよね)
メアリーがサラサラの黒髪を優しく撫でていると、ハロルドは急に静かになった。
「そういえば、この前カルヴァンと二人っきりで話していたね?」
「え?」
甘えた声が消え去り、そこには刺すような冷たい響きがある。
「どうしてだろう? メアリーが私以外の男と話していると、君を私以外開けない鳥籠にでも閉じ込めたくなってしまう」
どこか病んだような執着を見せ始めたハロルドに、メアリーは軽く恐怖した。そんなことに一切、気が付いていないハロルドは、「ああ、メアリーずっと私だけを見ていてね」とうっとり耳元で囁いている。
(こ、これは……別の意味で、ちょっと怖い……ぞ?)
ハロルドは、震えるメアリーの頬に優しくキスをした。
「ねぇ、メアリー。カルヴァンとは何を話していたの?」
「えっと……たぶん、それはハロルドからの伝言を受け取ったときのことだと思います。『殿下がお呼びです』とか……?」
あまりおかしなことを言うと、カルヴァンまで危ない目にあってしまいそうだ。
「そうか。じゃあ、メアリーがカルヴァンと話さなくていいように、今日から私の部屋で一緒に暮らそうね」
「……冗談ですよね?」
この国の法律で、王族とその婚約者は、正式に婚姻を結ぶまで、清い関係でいなければならないと決められている。
婚姻前に同じ部屋で過ごすなどあってはならないことだった。
「私は冗談なんて言わないよ」
「でも、王族との結婚は、たくさんの手順やルールが事細かに決められています。『女性は純潔でなければいけない』とか、『婚約者は身体に傷があってはいけない』とか……」
そこでメアリーは『ハッ』と気がついた。
(私の背中、傷だらけ!!)
いくらハロルドが執着しようが、この国の法律でメアリーは王妃になることは出来ない。
(そっか、そうよ! これよ!)
メアリーは悲しそうな表情を作って、ハロルドの手に自分の手を重ねた。
「殿下、今まで失念しておりました。私は殿下に相応しくありません」
ハロルドは「どうして?」と甘く優しく尋ねてくる。
「殿下もご存じですが、私は背中に傷があります。これでは、殿下のお側にいられません……」
「なんだ、そんなこと?」
「そんなことではありません。私は殿下に相応しくありません」
「問題ないよ。聖女候補は、傷を癒す力を持っているよね? その件については、パティに話をつけている。喜んで君の背中の傷を治すって言ってたよ」
(あ……そうきますか……)
メアリーが少し遠い目をしていると、ハロルドは形の良い唇でニコリと笑みを作った。
「ねぇ、メアリー。もしかして、今、私から離れようとした?」
優しい声のはずなのに、ハロルドの目は少しも笑っていない。背筋に冷たいものを感じつつ、メアリーは笑顔をつくった。
「ま、まさか! ハロルドの側が私の居場所です」
ハロルドは、「そうだよね」と言いながら、紫水晶のように綺麗な瞳をこちらに向ける。
「でもね、メアリー。今、私はすごく傷ついたよ」
ハロルドの両手がメアリーの左手を包みこんだ。包み込まれた手から熱が伝わってくる。
「メアリー、君が私のためを思って身を引こうとしてくれたのは分かるよ。でも、そんなにも簡単に私から離れていこうとするなんて……」
「ハロルド、それは誤解です」
「そうかな?」
「そうです!」
ハロルドの顔には、貼り付けたような優しい微笑みが浮かんでいる。
(あ、ああ……ハロルドがマジ切れしている……)
ハロルドがメアリーの両肩をつかんだ。
「ねぇ、メアリー。『愛してる』って言って?」
「あ、愛しています」
「本当に?」
「本当です!」
「信じられない……。やっぱり、どこかにメアリーを閉じ込めて……私から逃げられないように……」
(ひ、ひぃ!?)
メアリーが何とか話題を変えようと考えを巡らせていると、ふと、大変なことに気がついた。
「あっ! そういえば、さっきパティに私の傷を治してもらうっていいましたよね?」
「うん、言ったね」
聖なる力は確かに傷を治せるが、使った後はベッドに寝込んでしまうほど体力が消耗されてしまう。
「それはダメです。傷は自分で治すので、パティに頼まないでください」
「でも、メアリーは身体が硬いから背中まで手が届かないって言ってなかった?」
「はい、だから……身体が柔らかくなるようにストレッチします」
「すとれっち?」
メアリーはハロルドから距離をとると、両手を上に伸ばして身体を斜めにした。
「こういう感じで、身体を伸ばす運動をして身体をほぐすんです。すぐには無理ですが、ずっと続けると、身体は柔らかくなると思います」
「ふーん、なるほど。動いて固まった筋肉をほぐす、みたいな感じかな?」
ハロルドが手招きするのでメアリーが近づくと、「ようするに、こういうこと?」と肩に手を置かれ肩甲骨らへんをハロルドにグイッと押された。
「いたたっ」
「本当だ。メアリーはそうとう身体が固いね」
グッグッと押されるたびに背中に激痛が走る。
「いた、ハロルド、痛いです!」
「……」
「や、やめて……痛い」
「……」
なぜか止めてくれないハロルドを振り返ると、うっとりしながら呼吸を荒くしていた。
「ハロルド!? ど、どういう状況ですか!?」
「いや、痛がるメアリーがすごく可愛くて……。おかしな扉を開いてしまいそうだよ」
「閉めて! その扉は今すぐ閉めて鍵をかけて!」
「閉めたくないなぁ……。でも、メアリーがずっと私の側にいてくれたら開かずにすむかもね」
ニッコリと黒い笑みを浮かべるハロルドを見て、メアリーは思った。
(この人……ダメだ)
そして、なぜかこうも思ってしまった。
(ここまでダメな人の側にいれるのは、もう私だけかもしれない……)
数か月後。ハロルドの献身的な背中マッサージによりメアリーの身体の固さは改善され、無事に背中の傷を癒すことができた。
その間、メアリーの痛がる声が毎晩のように聞こえたので、城内では『メアリー様は、ハロルド殿下に虐待されているのでは?』という噂がたったが、ハロルドはまったく気にしていなかった。
心配していたハロルドの新しい扉は開くことなく、メアリーが背中の傷を治すとすぐに「痛がるメアリーも良いけど、やっぱり笑顔のメアリーの方が良いね」の一言であっさりと終わった。
メアリーは『もしかして、騙されて上手く丸めこまれた?』と思ったが、もうハロルドの側にいると決めた後だったので気にしないことにした。
そして、今日もハロルドは、メアリーを抱きしめながら愚痴を言う。
それは、数年後、ハロルドが王座についてからも変わらなかった。ハロルドは、人前ではまったく隙のない美麗な賢君として王座に君臨し、自室ではメアリーに甘えた。
王妃になったメアリーはすっかり国王が板についたハロルドの美しい黒髪を優しくなでた。ハロルドは気持ちよさそうに目を細める。
「メアリー」
「うん?」
「愛している」
「私もハロルドを愛しているわ」
メアリーは『ダメなこほど可愛いって言うものね』という言葉を飲み込んで、にっこりと微笑んだ。
ハッピーエンド?
「メアリー、聞いてよ!」
「メアリー、あいつら、絶対に殺す!」
「メアリー! メアリー!」
メアリーは自分の肩の上に乗せられた、ハロルドの綺麗な黒髪を優しく撫でた。
「ハロルド、落ち着いてください。私で良ければ、お話ならいくらでもお聞きしますから」
「メアリーじゃないとダメだ。だって、メアリーはどんなに情けない私を見ても、絶対に敬意を払ってくれるから! メアリー以外にこんな姿は見せられない! ああ、メアリー大好き! ずっと私の側にいて!」
「は……はは……」
乾いた笑いを浮かべたメアリーは『どうしてこうなった?』と再び自問した。
ハロルドの頭を撫でてしまったあの日から、ハロルドは駄々っ子のように毎日抱きついてくる。
(でも私、予想外に情けない殿下が、ちょっと可愛いって思いはじめちゃっているのよね……。別にひどいこともされないし、まぁ、怖いよりかは、こっちの方が良いよね)
メアリーがサラサラの黒髪を優しく撫でていると、ハロルドは急に静かになった。
「そういえば、この前カルヴァンと二人っきりで話していたね?」
「え?」
甘えた声が消え去り、そこには刺すような冷たい響きがある。
「どうしてだろう? メアリーが私以外の男と話していると、君を私以外開けない鳥籠にでも閉じ込めたくなってしまう」
どこか病んだような執着を見せ始めたハロルドに、メアリーは軽く恐怖した。そんなことに一切、気が付いていないハロルドは、「ああ、メアリーずっと私だけを見ていてね」とうっとり耳元で囁いている。
(こ、これは……別の意味で、ちょっと怖い……ぞ?)
ハロルドは、震えるメアリーの頬に優しくキスをした。
「ねぇ、メアリー。カルヴァンとは何を話していたの?」
「えっと……たぶん、それはハロルドからの伝言を受け取ったときのことだと思います。『殿下がお呼びです』とか……?」
あまりおかしなことを言うと、カルヴァンまで危ない目にあってしまいそうだ。
「そうか。じゃあ、メアリーがカルヴァンと話さなくていいように、今日から私の部屋で一緒に暮らそうね」
「……冗談ですよね?」
この国の法律で、王族とその婚約者は、正式に婚姻を結ぶまで、清い関係でいなければならないと決められている。
婚姻前に同じ部屋で過ごすなどあってはならないことだった。
「私は冗談なんて言わないよ」
「でも、王族との結婚は、たくさんの手順やルールが事細かに決められています。『女性は純潔でなければいけない』とか、『婚約者は身体に傷があってはいけない』とか……」
そこでメアリーは『ハッ』と気がついた。
(私の背中、傷だらけ!!)
いくらハロルドが執着しようが、この国の法律でメアリーは王妃になることは出来ない。
(そっか、そうよ! これよ!)
メアリーは悲しそうな表情を作って、ハロルドの手に自分の手を重ねた。
「殿下、今まで失念しておりました。私は殿下に相応しくありません」
ハロルドは「どうして?」と甘く優しく尋ねてくる。
「殿下もご存じですが、私は背中に傷があります。これでは、殿下のお側にいられません……」
「なんだ、そんなこと?」
「そんなことではありません。私は殿下に相応しくありません」
「問題ないよ。聖女候補は、傷を癒す力を持っているよね? その件については、パティに話をつけている。喜んで君の背中の傷を治すって言ってたよ」
(あ……そうきますか……)
メアリーが少し遠い目をしていると、ハロルドは形の良い唇でニコリと笑みを作った。
「ねぇ、メアリー。もしかして、今、私から離れようとした?」
優しい声のはずなのに、ハロルドの目は少しも笑っていない。背筋に冷たいものを感じつつ、メアリーは笑顔をつくった。
「ま、まさか! ハロルドの側が私の居場所です」
ハロルドは、「そうだよね」と言いながら、紫水晶のように綺麗な瞳をこちらに向ける。
「でもね、メアリー。今、私はすごく傷ついたよ」
ハロルドの両手がメアリーの左手を包みこんだ。包み込まれた手から熱が伝わってくる。
「メアリー、君が私のためを思って身を引こうとしてくれたのは分かるよ。でも、そんなにも簡単に私から離れていこうとするなんて……」
「ハロルド、それは誤解です」
「そうかな?」
「そうです!」
ハロルドの顔には、貼り付けたような優しい微笑みが浮かんでいる。
(あ、ああ……ハロルドがマジ切れしている……)
ハロルドがメアリーの両肩をつかんだ。
「ねぇ、メアリー。『愛してる』って言って?」
「あ、愛しています」
「本当に?」
「本当です!」
「信じられない……。やっぱり、どこかにメアリーを閉じ込めて……私から逃げられないように……」
(ひ、ひぃ!?)
メアリーが何とか話題を変えようと考えを巡らせていると、ふと、大変なことに気がついた。
「あっ! そういえば、さっきパティに私の傷を治してもらうっていいましたよね?」
「うん、言ったね」
聖なる力は確かに傷を治せるが、使った後はベッドに寝込んでしまうほど体力が消耗されてしまう。
「それはダメです。傷は自分で治すので、パティに頼まないでください」
「でも、メアリーは身体が硬いから背中まで手が届かないって言ってなかった?」
「はい、だから……身体が柔らかくなるようにストレッチします」
「すとれっち?」
メアリーはハロルドから距離をとると、両手を上に伸ばして身体を斜めにした。
「こういう感じで、身体を伸ばす運動をして身体をほぐすんです。すぐには無理ですが、ずっと続けると、身体は柔らかくなると思います」
「ふーん、なるほど。動いて固まった筋肉をほぐす、みたいな感じかな?」
ハロルドが手招きするのでメアリーが近づくと、「ようするに、こういうこと?」と肩に手を置かれ肩甲骨らへんをハロルドにグイッと押された。
「いたたっ」
「本当だ。メアリーはそうとう身体が固いね」
グッグッと押されるたびに背中に激痛が走る。
「いた、ハロルド、痛いです!」
「……」
「や、やめて……痛い」
「……」
なぜか止めてくれないハロルドを振り返ると、うっとりしながら呼吸を荒くしていた。
「ハロルド!? ど、どういう状況ですか!?」
「いや、痛がるメアリーがすごく可愛くて……。おかしな扉を開いてしまいそうだよ」
「閉めて! その扉は今すぐ閉めて鍵をかけて!」
「閉めたくないなぁ……。でも、メアリーがずっと私の側にいてくれたら開かずにすむかもね」
ニッコリと黒い笑みを浮かべるハロルドを見て、メアリーは思った。
(この人……ダメだ)
そして、なぜかこうも思ってしまった。
(ここまでダメな人の側にいれるのは、もう私だけかもしれない……)
数か月後。ハロルドの献身的な背中マッサージによりメアリーの身体の固さは改善され、無事に背中の傷を癒すことができた。
その間、メアリーの痛がる声が毎晩のように聞こえたので、城内では『メアリー様は、ハロルド殿下に虐待されているのでは?』という噂がたったが、ハロルドはまったく気にしていなかった。
心配していたハロルドの新しい扉は開くことなく、メアリーが背中の傷を治すとすぐに「痛がるメアリーも良いけど、やっぱり笑顔のメアリーの方が良いね」の一言であっさりと終わった。
メアリーは『もしかして、騙されて上手く丸めこまれた?』と思ったが、もうハロルドの側にいると決めた後だったので気にしないことにした。
そして、今日もハロルドは、メアリーを抱きしめながら愚痴を言う。
それは、数年後、ハロルドが王座についてからも変わらなかった。ハロルドは、人前ではまったく隙のない美麗な賢君として王座に君臨し、自室ではメアリーに甘えた。
王妃になったメアリーはすっかり国王が板についたハロルドの美しい黒髪を優しくなでた。ハロルドは気持ちよさそうに目を細める。
「メアリー」
「うん?」
「愛している」
「私もハロルドを愛しているわ」
メアリーは『ダメなこほど可愛いって言うものね』という言葉を飲み込んで、にっこりと微笑んだ。
ハッピーエンド?
434
あなたにおすすめの小説
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。