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谷地都

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桜祭り2

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天と雪菜は家が隣同士であった。静かではあるものの素直で思いやりのある雪菜に天は知らないあいだに好きになってしまった。(同じ静かでも比奈は本が好きでいつも片手に本を持っているような本物の静かな女の子である。)
雪菜は卒業後ここ岩手を出て神奈川の大学に進学するのだ。対する天は地元で家業である農家を継ぐつもりだ。
もしこの機会を逃したら後悔する、天はそう思い桜祭りの帰り告白することを決めたのだ。

時間は進み帰り道、同じ方向は天、雪菜、比奈の3人だ。天はどこで告白をするか悩んでいた!少し離れてるものの比奈の家も同じ住宅街にある。天は悩んでいたとき
『私、今日友達の家に泊まるからまたね』
と右下を向きながら恥ずかしそうに比奈はいきなり言い放ち颯爽と別の方向に駆けてった。比奈なりの気遣いだろう。比奈は人の顔色をうかがう癖がある。静かな性格がゆえなのだが、さらに本が好きな彼女は人の気持ちに敏感なのだろう。さらに気を利かせてか彼女が去った場所は灯籠が鮮やかな神社の目の前だ。天は決めた。ここで告白しよう。
『なぁ雪菜、ずっと好きだった。これか
    らもずっと一緒でいてほしい!』
天はついに告白することができた。
雪菜が口を開くまでに数秒空いた。天にとってそれは時間が止まったような長い長い空白に感じた。
星も神社に咲く桜も灯籠も雪菜の着物姿もぼやけた。

あぁ君は何と言ったのだろうか
もう聞くことはできないのだろうか・・
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