八尺様♂と男の子くん。

うめしゅ

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はっしゃくさまになら、なにされたって…。

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それから、お兄さんはぼくを膝の上に乗せてブランコを漕いでくれた。
お兄さんの足はとっても長いからブランコを漕ぐのも大変そうで、ちょっと笑ってしまった。


「あのさ、ぼく今日さ、図書館行ったんだ。」
「…ぽ?」
「本がいっぱいある所、お兄さん知らない?」

お兄さんは目をぱちくりさせている。
やっぱり本当に妖怪だから、図書館とか知らないのかな?
構わずぼくは話を続けた。

「んとね、そこでお兄さんみたいな…?人を見つけたよ。お兄さんってさ、はっしゃくさまなの?」
「ぽ…ぽ」
お兄さんが何を言ったのか分からない。
でも返事をしてくれた事が嬉しかった。

「お兄さんのことさ、はっしゃくさまって呼んでもいい?」
「ぽ、ぽぽ。」
「んふふ、ぼくはね、ともやって言うんだー」
「ぽぽぽ」

お兄さんはぼくをちゃんと見てくれる。
さっきとは打って変わって、満たされた気持ちに包まれた。

ゆっくりゆらゆら前後に揺れるブランコ。
はっしゃくさまは膝に乗せたぼくが落ちないように、しっかり腰を掴んでくれてる。

はっしゃくさまの両手はとっても大きくて、ぼくの腰もおなか周りも簡単に包み込んでしまう。

たまにその長い指が、ぼくのおなかをさすさすと撫でている。ちょっぴりくすぐったい。でも嫌じゃない。

ぼくもはっしゃくさまに背中をあずけてみた。
ブランコが揺れるたび、はっしゃくさまの髪の毛がふわふわと揺れている。

いま、はっしゃくさまはどんな顔してるのかな。また優しくぼくを見つめてくれてるのかな。

気になって、視線を上にあげてみた。

そうすると流れるようにはっしゃくさまは、ぼくの顎をそっと持ち上げ固定させた。

もう片方の手は、ぼくの腰とおなかを掴んだままだ。その指が、洋服の上からぼくのおへそをくりくりとなぞる。
指先がおへその上をいったりきたり。とんとんと指で優しく叩かれたり。

「えっと…あの、はっしゃくさま?くすぐったいよ…?」
そう言ったぼくの唇を、顎を固定させた手の指ですりすりと撫でてくる。
たのしいの…かな?

はっしゃくさまは微笑んでる。
まっすぐぼくを見ている。

ぼくだけを、見ている。

その視線になんだか背筋が痺れるような気がした。目が離せない。

「はっしゃく、さ…」

名前を全部言う前に、はっしゃくさまに口を食べられた。
一瞬頭が真っ白になった。
あ、これ知ってる。これはチューだ、キスだ。
ぼくは今、はっしゃくさまにキスされてる。

すこし冷たくて柔らかい感触が、唇越しに伝わってくる。
ぼくはほっぺも耳も首元も熱くなってしまった。

これは好きな人同士がする奴だ、大人がする事だ。

2回、3回…と唇を唇でつんつんされて、はっしゃくさまの顔は離れていった。
はっしゃくさまは、満足そうにうっそりと目を細めていた。

はっしゃくさま、うれしそう…。
はっしゃくさまが嬉しいなら、ぼくも嬉しいな。

思わずぼくも、微笑み返した。

はっしゃくさまは、また指先でぼくの唇を撫でては、ついでとばかりに耳の後ろも撫でてきた。
されるがままになっていた。
はっしゃくさまがしたい事がなんなのか、気になった。

だんだんとぼくの耳の中にも指を入れて、すりすりと撫でてきた。
背中がびりびりする。嫌じゃない。

またそろそろと はっしゃくさまの顔が近づいてきた。
キスをされる。角度を変えて、何度もされる。

はっしゃくさまの舌がぼくの唇をつんつんしてくる。
口を開けてって言ってるみたい。
ぼくはそっと、口を開けた。

はっしゃくさまの、ひんやりとして柔らかい舌がぼくの口に入り込んできた。

「…ぅむ…んっ」
ぼくの舌を、はっしゃくさまの長い舌がにゅるにゅると舐めてくる。
「んゃ……あっ…」
背中からびりびり始まった痺れが、指先やつま先まで広がったみたいだ。

はっしゃくさまの舌は、ぼくの中をどんどん進む。
もしかしたら、喉の奥まで来てるかもしれない。
喉の奥を舌先でこりこりされてる。
目がちかちかしてきた。
耳に入ったままの指から、こすこす音がする。
口でくちゅくちゅ響いてるはずの音が、そのまま頭の中にも響いてる。
喉も舌も、にゅるにゅるくちゅくちゅされてる。
くるしい、やわらかい、きもちい、うごけない、きもちい、うれしい…

目の前が真っ白でチカチカしてきた…。




はっと、気付いたら時ははっしゃくさまに横に抱きかかえられていた。
ぼくを膝にのせて、片手でぼくの頭を支えて、もう片方の手の親指で、ぼくの口元を拭っていた。

Tシャツの襟ぐりが、よだれでびっしょりになっていた。

「ぽ…ぽぽ!ぽぽぽ!!!」
目が合った途端、はっしゃくさまが心配そうにぼくの顔を覗き込んできた。


「あれ、ぼく、その…」
ぎゅっと、はっしゃくさまに抱きしめられた。
ちょっとくるしい。でも、うれしい。

「はっしゃくさま、ごめんね。ぼく倒れちゃったのかな?」
「ぽっ…ぽ!」
「心配してくれたの?大丈夫だよ!」
心配してもらえたみたい、なんだか嬉しくなっちゃった。

「ぽ!ぽぽ!」と言いながら、大きな手でぼくの頭をなでりなでりと撫でてくる。
ぼくは今すごく、幸せかもしれない。


さっきのあれ、ちょっとびっくりして怖かったけど、すごい気持ちよかったな。
またしてくれないかな。
そしたら、またこうやって心配させちゃうのかな。

頭を撫でられつつ、まだ背中がぴりぴりと痺れてる気がした。
はっしゃくさまになら、何されたって気持ちいいのかもしれない。



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