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2.彼女は誰?
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後日の放課後。
生徒たちの気配が遠ざかっていく中庭の小道で、私はアルバートの姿を探していた。
彼の姿が見当たらず、胸に生まれた小さな不安を振り払うように、彼が好きだと言っていた中庭の奥へと足を速める。
そして見つけてしまった。
大きな樹の木陰に座るアルバートの姿を。
でもその隣には――――知らない女子生徒が寄り添っていた。
(…………誰なの?)
私の足は地面に縫い付けられたように動かなくなった。
アルバートの表情は彼女に隠れて見えない。
二人の距離はあまりにも近く感じる。
どうしよう、声をかけられない。
見てはいけないものを見てしまった気がして、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
その時、不意に背後から気だるげな声が降ってきた。
「おい、そこで何やってんだ。銅像みたいに突っ立ってると日が暮れるぞ」
「……!レオ……」
振り返ると、ポケットに手を突っ込んだ同学年でA組の幼馴染、レオが呆れた顔で私を見下ろしていた。
「な、なんでここに……」
「別に。お前こそ、あんなの覗き見して趣味が悪いんじゃないか?」
レオの視線が私を通り越し、アルバートたちのいるところへと注がれる。
私は慌てて否定する。
「ち、違う!覗き見なんて……!ただアルバートを探してて……」
「ふうん。で、お前の自慢の王子様は知らない女と逢い引き中ってわけか。こりゃ傑作だな」
「そんなんじゃない!」
思わず声を荒らげてしまう。
レオの嫌味がささくれだった心に突き刺さった。
「きっと、何か相談に乗ってあげてるだけよ!アルバートは誰にでも優しい人だから……!」
「相談ねえ」
レオは鼻で笑うと、面白がるように目を細めた。
「あんな顔寄せ合ってか?相手は確か、同じ学年のリディア・クロフォード嬢だな。物静かだけど、そのミステリアスな雰囲気で男どもを骨抜きにしてるって噂の」
「リディア……クロフォード……」
知らない名前だった。
アルバートから一度も聞いたことがない。
その名前を私が口にした瞬間、まるで何かの合図のようにリディアがアルバートの手にそっと自分の手を重ねた。
そして――――アルバートはそれを振り払うことなく、優しく握り返したのが見えてしまった。
「あっ……」
声にならない声が漏れ、目の前がぐらりと揺れる。胸元のネックレスが急に鉛のように重く感じた。アルバートがくれた私たちの愛の証のはずなのに。
信じられない。
信じたくない。
あの優しい手が、温かい指が私以外の女の子に触れているなんて。
顔面蒼白になった私をちらりと見て、レオは一つ大きなため息をついた。
「……王子様も隅に置けないな。健気なお姫様がこんな所で泣きそうになってるってのによ」
「……泣いて……ないわ」
絞り出した声は自分でも驚くほど震えていた。
もう、一秒だってそこにいられなかった。
レオに背を向けると、何も考えずに走り出した。
追いかけてくる声はない。
夕焼けが目にしみて滲んでいく視界も気にせず、ただひたすらに走った。
生徒たちの気配が遠ざかっていく中庭の小道で、私はアルバートの姿を探していた。
彼の姿が見当たらず、胸に生まれた小さな不安を振り払うように、彼が好きだと言っていた中庭の奥へと足を速める。
そして見つけてしまった。
大きな樹の木陰に座るアルバートの姿を。
でもその隣には――――知らない女子生徒が寄り添っていた。
(…………誰なの?)
私の足は地面に縫い付けられたように動かなくなった。
アルバートの表情は彼女に隠れて見えない。
二人の距離はあまりにも近く感じる。
どうしよう、声をかけられない。
見てはいけないものを見てしまった気がして、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
その時、不意に背後から気だるげな声が降ってきた。
「おい、そこで何やってんだ。銅像みたいに突っ立ってると日が暮れるぞ」
「……!レオ……」
振り返ると、ポケットに手を突っ込んだ同学年でA組の幼馴染、レオが呆れた顔で私を見下ろしていた。
「な、なんでここに……」
「別に。お前こそ、あんなの覗き見して趣味が悪いんじゃないか?」
レオの視線が私を通り越し、アルバートたちのいるところへと注がれる。
私は慌てて否定する。
「ち、違う!覗き見なんて……!ただアルバートを探してて……」
「ふうん。で、お前の自慢の王子様は知らない女と逢い引き中ってわけか。こりゃ傑作だな」
「そんなんじゃない!」
思わず声を荒らげてしまう。
レオの嫌味がささくれだった心に突き刺さった。
「きっと、何か相談に乗ってあげてるだけよ!アルバートは誰にでも優しい人だから……!」
「相談ねえ」
レオは鼻で笑うと、面白がるように目を細めた。
「あんな顔寄せ合ってか?相手は確か、同じ学年のリディア・クロフォード嬢だな。物静かだけど、そのミステリアスな雰囲気で男どもを骨抜きにしてるって噂の」
「リディア……クロフォード……」
知らない名前だった。
アルバートから一度も聞いたことがない。
その名前を私が口にした瞬間、まるで何かの合図のようにリディアがアルバートの手にそっと自分の手を重ねた。
そして――――アルバートはそれを振り払うことなく、優しく握り返したのが見えてしまった。
「あっ……」
声にならない声が漏れ、目の前がぐらりと揺れる。胸元のネックレスが急に鉛のように重く感じた。アルバートがくれた私たちの愛の証のはずなのに。
信じられない。
信じたくない。
あの優しい手が、温かい指が私以外の女の子に触れているなんて。
顔面蒼白になった私をちらりと見て、レオは一つ大きなため息をついた。
「……王子様も隅に置けないな。健気なお姫様がこんな所で泣きそうになってるってのによ」
「……泣いて……ないわ」
絞り出した声は自分でも驚くほど震えていた。
もう、一秒だってそこにいられなかった。
レオに背を向けると、何も考えずに走り出した。
追いかけてくる声はない。
夕焼けが目にしみて滲んでいく視界も気にせず、ただひたすらに走った。
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