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26.夜空の下で
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週末の夜、アルバートは「君にどうしても見せたいものがある」と私を誘い出した。
彼にエスコートされ、馬車に乗り込む。
しばらく無言のまま揺られていると、アルバートに話しかけられた。
「体調はもう本当に大丈夫? 無理はしていないかい?」
「ええ、もうすっかり平気よ。心配してくれてありがとう」
「……そうか。よかった」
それきり会話は途切れ、沈黙が再び二人を包む。馬車に揺られながら、窓の外を流れる夜の景色をただ黙って見つめる。
隣に座るアルバートの緊張した横顔が視界の端に映った。やがて馬車が止まり、彼に促されるまま外へ降り立つと、澄んだ夜の空気が頬をかすめた。
緩やかな坂を上りきった丘の上。
そこに広がっていたのは手が届きそうなほど近くに瞬く、満点の星空だった。
頭上には数えきれないほどの星が瞬き、銀色の砂を撒いたように夜空を埋め尽くしている。
「ここは僕だけが知っている秘密の場所なんだ。君にこれをどうしても見せたかった」
アルバートは一歩近づくと、星空を見上げる私の瞳をまっすぐに覗き込んだ。
「僕の気持ちはこの星空のように変わらない。君への想いは本物なんだ。あんな過ちを犯してしまったけれど……どうかもう一度、僕を信じてほしい」
熱のこもった声。
私はゆっくりと彼に視線を返した。
「アルバート。ここへ来るまでずっと考えていたの。あなたのこと、私たちのこと……」
「エリス……」
「あなたが心から反省してくれているのはもう十分に伝わった。毎日お見舞いに来てくれたことも……感謝してる」
「じゃあ……!」
期待に輝く彼の瞳を前に、首を横に振った。
「でもね、ごめんなさい。私たちはもう元の恋人同士には戻れない」
彼の瞳から瞬く間に光が失われていく。
「一度失ってしまった信頼は元には戻らないの。壊れてしまったガラス細工はもう二度と元通りにはならない」
「……」
アルバートは声を発することもできず、唇を噛みしめていた。その悲しみに染まった顔を見るのは私の胸をも締めつけた。
「でもね、あなたがしてくれたこと全部を憎んだまま生きていくのは嫌だから。……だから提案があるの」
「……提案?」
「恋人としては無理だけど……その代わり友達としてなら、もう一度やり直してもいいと思ってる」
アルバートは私をただ見つめていた。
「……友達……として……?」
「ええ。ゼロから。いいえ、マイナスからのスタートかもしれないわね。もう一度、もう一度“あなた”という人を知りたいの。それでいいのなら」
星空の下で時間が止まったかのような間が流れた。
やがて彼が出した答えは……
「……わかった。それ以外に君のそばにいられる方法はないんだね」
彼はそっと私の手を包み込んだ。
「ありがとう、エリス。友達として……ううん、君のそばにいることを許してくれて。必ず君の信頼を取り戻してみせる。どんなに時間がかかっても」
私はその手を振り払うことはしなかった。
満天の星空の下、私たちは恋人としての関係に終わりを告げ、新しい関係を始める。夜空に輝く無数の星々だけがその瞬間を静かに見守っていた。
彼にエスコートされ、馬車に乗り込む。
しばらく無言のまま揺られていると、アルバートに話しかけられた。
「体調はもう本当に大丈夫? 無理はしていないかい?」
「ええ、もうすっかり平気よ。心配してくれてありがとう」
「……そうか。よかった」
それきり会話は途切れ、沈黙が再び二人を包む。馬車に揺られながら、窓の外を流れる夜の景色をただ黙って見つめる。
隣に座るアルバートの緊張した横顔が視界の端に映った。やがて馬車が止まり、彼に促されるまま外へ降り立つと、澄んだ夜の空気が頬をかすめた。
緩やかな坂を上りきった丘の上。
そこに広がっていたのは手が届きそうなほど近くに瞬く、満点の星空だった。
頭上には数えきれないほどの星が瞬き、銀色の砂を撒いたように夜空を埋め尽くしている。
「ここは僕だけが知っている秘密の場所なんだ。君にこれをどうしても見せたかった」
アルバートは一歩近づくと、星空を見上げる私の瞳をまっすぐに覗き込んだ。
「僕の気持ちはこの星空のように変わらない。君への想いは本物なんだ。あんな過ちを犯してしまったけれど……どうかもう一度、僕を信じてほしい」
熱のこもった声。
私はゆっくりと彼に視線を返した。
「アルバート。ここへ来るまでずっと考えていたの。あなたのこと、私たちのこと……」
「エリス……」
「あなたが心から反省してくれているのはもう十分に伝わった。毎日お見舞いに来てくれたことも……感謝してる」
「じゃあ……!」
期待に輝く彼の瞳を前に、首を横に振った。
「でもね、ごめんなさい。私たちはもう元の恋人同士には戻れない」
彼の瞳から瞬く間に光が失われていく。
「一度失ってしまった信頼は元には戻らないの。壊れてしまったガラス細工はもう二度と元通りにはならない」
「……」
アルバートは声を発することもできず、唇を噛みしめていた。その悲しみに染まった顔を見るのは私の胸をも締めつけた。
「でもね、あなたがしてくれたこと全部を憎んだまま生きていくのは嫌だから。……だから提案があるの」
「……提案?」
「恋人としては無理だけど……その代わり友達としてなら、もう一度やり直してもいいと思ってる」
アルバートは私をただ見つめていた。
「……友達……として……?」
「ええ。ゼロから。いいえ、マイナスからのスタートかもしれないわね。もう一度、もう一度“あなた”という人を知りたいの。それでいいのなら」
星空の下で時間が止まったかのような間が流れた。
やがて彼が出した答えは……
「……わかった。それ以外に君のそばにいられる方法はないんだね」
彼はそっと私の手を包み込んだ。
「ありがとう、エリス。友達として……ううん、君のそばにいることを許してくれて。必ず君の信頼を取り戻してみせる。どんなに時間がかかっても」
私はその手を振り払うことはしなかった。
満天の星空の下、私たちは恋人としての関係に終わりを告げ、新しい関係を始める。夜空に輝く無数の星々だけがその瞬間を静かに見守っていた。
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