残り一日で破滅フラグ全部へし折ります ざまぁRTA記録24Hr.

福留しゅん

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Interlude1 アレクサンドラのその後

宰相嫡男ロベルトの後悔

 次に向かった先の患者は寝具に横になったまま苦しそうにうなされていた。どうも切り付けられた箇所から厄介な毒だか病気を貰ったらしく、彼の体を蝕んでいるそうね。回復の見込みは五分五分だって医者は言ってた。

 彼、宰相嫡男ロベルトは私を見るなり目を血走らせて睨みつけてきた。

「アレク、サンドラ……!」
「妃殿下を付けなさいよこのデコ助」
「私のデコは広くないっ……ごほっ!」

 無理して怒鳴ったせいでロベルトは咳き込んだ。傍目からも分かるぐらい厄介な咳き込み方で、ノエリアが水の入った器を彼の口元に近づける。ロベルトはあおるように水を飲み干して一息ついた。

 まあ、彼ったら元々体力無かったものね。だから風邪作戦が通用したんだし。

「貴方ほど頭脳明晰な人が付いていながら蛮族にしてやられたのね」
「うるさい! 連中が常識はずれなことばかりしてくるせいでいいようにやられて……でも次はこうもいかない」
「次の聖戦に同行できる体力が戻れば、の話でしょうよ。今日貴方を訪ねたのはお知らせがあってなのよ」
「むざむざと生き恥を晒してる私達への追撃か?」

 事前に受けた報告からロベルトはちっとも懲りていないとは分かっている。学生時代のまま私を敵視してルシアにぞっこんのままなんだから、容赦はしないわ。

「宰相閣下は辞意を表明されて自分の領地に戻っていったわ」
「なっ……! そんな馬鹿な! 引退するにはまだ早すぎる!」
「バルタサルの父君の大将軍と同時にね。意味分かるでしょう?」
「今回の聖戦の敗北を受けての引責辞任か……!」

 聖戦の総大将になった元王太子アルフォンソの罰を少しでも軽くしようと、文武両方から宰相と大将軍が責任を取った。息子達が側近を務めていたんだもの。無傷とはいかなかったでしょうけど辞めるとまで踏み込むとはね。

 あと、バルタサルとロベルトがアルフォンソ様と結託してルシアを持ち上げて私と敵対していたのは周知の事実。アルフォンソ様が失脚して私が王太子妃になったことも勢力図に影響を及ぼしているんでしょう。

「ところで貴方の祖父は国王陛下の叔父にあたり、その多大なる功績から宰相閣下も公爵のままになってるでしょう。けれど、辞任にあたってとうとう爵位は返上するみたいよ」
「……そんなのは言われるまでもない。王家から離れた王族が公爵でいられるのは基本一代限り。三代続けて公爵でいられるとは最初から思っちゃいなかった」
「よろしい。そんな貴方に選択肢をあげる」
「選択肢……?」

 眉をひそめて睨んでくるロベルトに私は笑いかけてやった。
 さあて、『どきエデ』逆ハーレムルートバッドエンディングと違って死なずに済んだ宰相嫡男ロベルト。貴方にとどめを刺してあげる。

「一つは弟さんに次の当主の座を譲って伯爵家の者になること、もう一つはそのまま当主の座をついで子爵になるか、よ」
「はぁ!? この私が子爵だと!? ありえ……ごほっごほっ!」
「貴方がアルフォンソ様と仕組んだ断罪劇は失敗、聖戦は敗北。男爵令嬢に過ぎないルシアに魅了されてるのも知れ渡ってるし、貴方はもう信用を失ってるの。重宝するわけないでしょう」
「一体何様のつもりだ……!」
「何様か? 王太子妃様ですが何か?」

 私は部屋にだけ響くぐらいに抑えて高笑いを上げた。ロベルトは怒りのあまり私へ飛び出そうとするも、病気に蝕まれた身体は無惨にも寝具から転げ落ちるだけだった。騎士達に命じて寝具の上に戻してやる。

「次の宰相には王弟殿下が就任されます。もはや王宮に貴方の居場所はございません」
「私からルシアや王太子殿下のみならず、私自身まで奪うつもりか……!」
「私から何もかも奪おうと画策した方が何を今更。私が勝ち、貴方が負けた。その結果を大人しく受け入れなさい」
「くそ、くそ……! あの日の前日までは上手く行ってたのに、どうして……!」
「それじゃあお達者で。貴方ぐらい優秀ならまた成り上がれるかもしれないわね」

 嘆くロベルトを尻目に私は部屋を立ち去った。
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