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Interlude1 アレクサンドラのその後
国王ジェラールの即位(後)
「……ええ、私も疑わなかったわ。あの方と添い遂げて共に王国を支えていく未来が来るんだ、って」
「だからアレクサンドラが幸せならそれでいい、って諦めていたのに……兄さんが裏切ったせいで……!」
次に向かったのは食堂だ。朝食の片付けを終えて掃除の手が入っている。私達がやってくると使用人達が作業の手を止めて頭を垂れたけれど、そのまま続けるよう促した。毎日昼食までに埃一つ残さず綺麗にするなんて大変だけれど、お疲れ様。
私はおもむろにある席に腰を落ち着けた。ジェラールは最初何をやっているのか意図を掴めなかったようだけれど、ようやく思い当たった彼は私が思い出した席に座る。それが嬉しくて私はつい笑みをこぼした。
「そんな関係だったのに、あの日に大きく変わっちゃったわね」
「僕は今でも信じられないよ。アレクサンドラがあの兄さんに見切りをつけたなんて。いや、あんな兄さん……アルフォンソだったら当然なんだけれど、それでもアレクサンドラならこだわるとばかり思ってたから」
「本当、アレだけ王太子の婚約者である自分に誇りを持っていたのにね。人生って何がきっかけで変わるか分かったものじゃないわ」
「母上が兄さんを切り捨てたのも驚きだし、まさか僕とアレクサンドラの関係を認めてくれるだなんてさ。夢のようだったよ」
ルシアの虜になったアルフォンソ様にお義母様が危機感を抱き、王太子の地位まで返上させる心積もりだったのは当時の私にとっても想定外だったわ。更に私が今度はジェラールの婚約者として続投するとの宣言もね。
後から聞いた話だけれど、ジェラールの秘めた恋心は両陛下共に薄々察していたらしく、私と上手くいくだろうと判断したからこその言い渡しだったそうよ。当の私達にとっては青天の霹靂だったけれどさ。
次に私達が向かったのは王立学園。学生生活時期が被っていない私達が思い出を振り返るとしたら、あのアルフォンソ様とルシアが仕掛けてきた断罪騒動の他に無い。そんなわけで私達は夜会の会場となった大部屋へと足を運んだ。
「ジェラールったら急に背伸びして男らしくなっちゃうしさ」
「あの時は精一杯だったんだ。兄さんに負けないように、って思ったらああするしか無かったよ」
「格好良かったから許しちゃったわ。あんな可愛かった子が成長しちゃってさ」
「でも、見惚れたでしょう? アレクサンドラのために変身したんだ」
違いない。異性として彼を意識したのは大きくイメチェンしたからだもの。私も単純なもので、白馬の王子様に様変わりした姿は効果抜群だったわ。それこそアルフォンソ様への未練が完全に吹き飛ぶぐらいの衝撃よ。
アルフォンソ様とルシアが私を破滅させようと断罪劇を仕掛けた時も、彼がそばにいてくれたから取り乱さずに済んだ。アルフォンソ様が最期に暴力に訴えてきた時も彼が庇ってくれなかったら顔に大きな傷を残していたかもしれない。
「それからは目まぐるしい毎日を送ったものね。時の流れも早くなっていったし、気がついたらアルベルトはあの時のジェラールより大きくなっているもの」
「……そうか。もうあの子はそんな歳になったのか。そう考えるとあの時からはるか先に来てしまったものだ」
「素直に子の成長を喜ぶべきよ。きっと私達の両親は今の私達と同じ気持ちだったんでしょうね」
「アルベルト達にとって僕らは尊敬する親になれたかな?」
「勿論よ。胸を張って誇るべきよ。そして明日からは立派な国の父になって頂戴」
「そうしよう、明日からの国の母になる僕の妃よ」
その後も卒業後に巡った逢瀬の場所とかを一日中巡った。思い出話に花を咲かせて、今私は幸せなんだと改めて実感した。私をずっと愛し続けてくれる旦那様、私の愛する子供達、そして私を支えてくれる家族に恵まれてるんだ、と。
晩餐は家族一緒に取った。そして月下の夜を夫婦二人でゆっくり過ごし、重要な明日に備えて寝よう……と思ったのだけれど、久しぶりに立場から解放された私達は妙に気分が乗ったのか、久しぶりに愛する人そのものを欲しくなってしまった。
「これからも愛している、アレクサンドラ」
「私も末永く愛しています、ジェラール」
どんな感じだったかというと、翌朝起こしに来たノエリア達に呆れられるほどだった、とだけ記しておきましょう。
そして迎えた次の日、新たな国王ジェラールの戴冠式が執り行われた。
これから私達は国を代表する者として、タラコネンシス王国に君臨する。
「だからアレクサンドラが幸せならそれでいい、って諦めていたのに……兄さんが裏切ったせいで……!」
次に向かったのは食堂だ。朝食の片付けを終えて掃除の手が入っている。私達がやってくると使用人達が作業の手を止めて頭を垂れたけれど、そのまま続けるよう促した。毎日昼食までに埃一つ残さず綺麗にするなんて大変だけれど、お疲れ様。
私はおもむろにある席に腰を落ち着けた。ジェラールは最初何をやっているのか意図を掴めなかったようだけれど、ようやく思い当たった彼は私が思い出した席に座る。それが嬉しくて私はつい笑みをこぼした。
「そんな関係だったのに、あの日に大きく変わっちゃったわね」
「僕は今でも信じられないよ。アレクサンドラがあの兄さんに見切りをつけたなんて。いや、あんな兄さん……アルフォンソだったら当然なんだけれど、それでもアレクサンドラならこだわるとばかり思ってたから」
「本当、アレだけ王太子の婚約者である自分に誇りを持っていたのにね。人生って何がきっかけで変わるか分かったものじゃないわ」
「母上が兄さんを切り捨てたのも驚きだし、まさか僕とアレクサンドラの関係を認めてくれるだなんてさ。夢のようだったよ」
ルシアの虜になったアルフォンソ様にお義母様が危機感を抱き、王太子の地位まで返上させる心積もりだったのは当時の私にとっても想定外だったわ。更に私が今度はジェラールの婚約者として続投するとの宣言もね。
後から聞いた話だけれど、ジェラールの秘めた恋心は両陛下共に薄々察していたらしく、私と上手くいくだろうと判断したからこその言い渡しだったそうよ。当の私達にとっては青天の霹靂だったけれどさ。
次に私達が向かったのは王立学園。学生生活時期が被っていない私達が思い出を振り返るとしたら、あのアルフォンソ様とルシアが仕掛けてきた断罪騒動の他に無い。そんなわけで私達は夜会の会場となった大部屋へと足を運んだ。
「ジェラールったら急に背伸びして男らしくなっちゃうしさ」
「あの時は精一杯だったんだ。兄さんに負けないように、って思ったらああするしか無かったよ」
「格好良かったから許しちゃったわ。あんな可愛かった子が成長しちゃってさ」
「でも、見惚れたでしょう? アレクサンドラのために変身したんだ」
違いない。異性として彼を意識したのは大きくイメチェンしたからだもの。私も単純なもので、白馬の王子様に様変わりした姿は効果抜群だったわ。それこそアルフォンソ様への未練が完全に吹き飛ぶぐらいの衝撃よ。
アルフォンソ様とルシアが私を破滅させようと断罪劇を仕掛けた時も、彼がそばにいてくれたから取り乱さずに済んだ。アルフォンソ様が最期に暴力に訴えてきた時も彼が庇ってくれなかったら顔に大きな傷を残していたかもしれない。
「それからは目まぐるしい毎日を送ったものね。時の流れも早くなっていったし、気がついたらアルベルトはあの時のジェラールより大きくなっているもの」
「……そうか。もうあの子はそんな歳になったのか。そう考えるとあの時からはるか先に来てしまったものだ」
「素直に子の成長を喜ぶべきよ。きっと私達の両親は今の私達と同じ気持ちだったんでしょうね」
「アルベルト達にとって僕らは尊敬する親になれたかな?」
「勿論よ。胸を張って誇るべきよ。そして明日からは立派な国の父になって頂戴」
「そうしよう、明日からの国の母になる僕の妃よ」
その後も卒業後に巡った逢瀬の場所とかを一日中巡った。思い出話に花を咲かせて、今私は幸せなんだと改めて実感した。私をずっと愛し続けてくれる旦那様、私の愛する子供達、そして私を支えてくれる家族に恵まれてるんだ、と。
晩餐は家族一緒に取った。そして月下の夜を夫婦二人でゆっくり過ごし、重要な明日に備えて寝よう……と思ったのだけれど、久しぶりに立場から解放された私達は妙に気分が乗ったのか、久しぶりに愛する人そのものを欲しくなってしまった。
「これからも愛している、アレクサンドラ」
「私も末永く愛しています、ジェラール」
どんな感じだったかというと、翌朝起こしに来たノエリア達に呆れられるほどだった、とだけ記しておきましょう。
そして迎えた次の日、新たな国王ジェラールの戴冠式が執り行われた。
これから私達は国を代表する者として、タラコネンシス王国に君臨する。
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