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第二章
家族会議
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ロー・テーブルを挟むように、両親と真弓は向かい合うようにソファに腰をおろしていた。
テーブルの上には今日返却された模試の結果が広げてある。
「う~ん、参ったな」
父親は、腕を組みながら天を仰いだ。そして、頭を掻いた。
「まったく! なにをやってたの! 夏休み中に!」
口調は母親の方が厳しかった。
「父さんが分かんないのは、お前がどっか遊びに行っているわけでもなく、夏休み中も家にいることが多いのに、なぜ成績が落ちるんだ? って、ことなんだ」
真弓は黙って頷いた。他に弁論の余地もないし、父親の言う通りに間違いないからだ。確かに外出はあまりしない。出ていくとしても、駅前の予備校の自習室を利用しに行くぐらいだった。
「むしろ、夏休み中に遊びまくってて、それが原因で成績が下がったっていうなら、納得いくんだがな……」
結果に釈然としない様子で、父親は言葉を続けた。
「他人と比較してはいけないことは承知しているが、仕事柄、お前と同じ年頃の子たちをたくさん見ているけど、皆もっと遊んでいるゾ。でも、それなりに成績も維持しているし……何でだろうな?」
成績が上がらない理由は真弓自身が聞きたいくらいだった。それが分かれば苦労はない。真弓は心で訴えた。
「お前、部屋に閉じこもって……」
その次の言葉を予想はできた。そして、真弓は覚悟した。
「もしかして……、まだV3を……」
ど真ん中直球ストレートだった。一瞬背筋に電気が走った。真弓は返答に困ったまま、固まっていた。そのまま真弓は肯定も否定もせず、ただ黙りこんでいた。
「図星だな」
テーブルの上には今日返却された模試の結果が広げてある。
「う~ん、参ったな」
父親は、腕を組みながら天を仰いだ。そして、頭を掻いた。
「まったく! なにをやってたの! 夏休み中に!」
口調は母親の方が厳しかった。
「父さんが分かんないのは、お前がどっか遊びに行っているわけでもなく、夏休み中も家にいることが多いのに、なぜ成績が落ちるんだ? って、ことなんだ」
真弓は黙って頷いた。他に弁論の余地もないし、父親の言う通りに間違いないからだ。確かに外出はあまりしない。出ていくとしても、駅前の予備校の自習室を利用しに行くぐらいだった。
「むしろ、夏休み中に遊びまくってて、それが原因で成績が下がったっていうなら、納得いくんだがな……」
結果に釈然としない様子で、父親は言葉を続けた。
「他人と比較してはいけないことは承知しているが、仕事柄、お前と同じ年頃の子たちをたくさん見ているけど、皆もっと遊んでいるゾ。でも、それなりに成績も維持しているし……何でだろうな?」
成績が上がらない理由は真弓自身が聞きたいくらいだった。それが分かれば苦労はない。真弓は心で訴えた。
「お前、部屋に閉じこもって……」
その次の言葉を予想はできた。そして、真弓は覚悟した。
「もしかして……、まだV3を……」
ど真ん中直球ストレートだった。一瞬背筋に電気が走った。真弓は返答に困ったまま、固まっていた。そのまま真弓は肯定も否定もせず、ただ黙りこんでいた。
「図星だな」
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