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事の真相
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「ねえ。真相を話す前に聞かせて。どんな噂になってるの?」
自分の知らないところで話のネタになっていることなど、想像もしていなかった。苦い出来事は消してしまいたいところだったのに。
「そうねえ。わたしが聞いたところでは、第一会議室に遅れてやってきた女性新入社員が、髪を振り乱して血を滴らせながら、血だらけで部屋に入ってきて、それを見た女性社員があまりの恐怖に気を失ったとか。それから会議室がパニック状態になったって、会議どころじゃなくなったとか?」
沙羅が楽しげに話してくれた。
大袈裟な感が無きにしも非ずだけど大筋では合ってる。煽り文句が凄かったから、どんなデマが飛んでるかと心配してたけど。
「教えてくれてありがと」
「どういたしまして。で、真相はどうなのよ?」
やっぱり、聞きたいわけね。沙羅の瞳が興味津々にキラキラしてる。
「分かったわよ。話すから」
「うん、うん」
沙羅は身を乗り出すように聞いている。なんか、こんなところもかわいいんだよね。無邪気な表情がまた魅力的。仕事では才色兼備なしっかり者の彼女しか見ないから、こんな一面もあるなんて思いもしなかったけど。プライベートでは普通のかわいい女性って感じ。
美人過ぎるから男性社員達も声をかけにくいらしい。こういう人を高嶺の花っていうんだろうな。ホント、綺麗だもんね。
「ちょっと、何、ぼけっとしてんの? 話はどうしたの。真相を話してくれるんでしょう?」
「ごめん。そうそう」
ぼけっとって……わたし、今沙羅に見惚れてたんだけど? よほど間抜けに見えたんだろうか。それはそれで、落ち込むな。まっ、いいか。
「あの日は朝一の会議があって、会社に来るまですっかり忘れてて、急いで会議室に向かっていたら、ちょっと人とぶつかって、その拍子にピアスが取れちゃって、でも、急いでいたし、怪我してたことなんて全然気づかなくて、会議室に着いたときには会議が始まる寸前で、先輩達が資料を配ってたんだよね」
わたしはそこまで言って一息ついた。
「それから?」
「全員揃ってて、一斉に注目よ。恥ずかしいとか思って、静かに入ろうとしたら、まさか、耳から出血してるなんて思わないじゃない? 一番近くにいた先輩が突然、ぎゃあとかって凄い悲鳴をあげちゃて、ホントに気を失っちゃって倒れるし。すぐに医務室に運ばれたんだけど。『俺、血ダメ』とか言い出して、男性社員の中にも具合悪くなったやつもいたりして、大騒ぎになるし、もちろん会議どころじゃないし。わたしは何が何だかわからなくて、きょろきょろしてたら、みんながわたしを見てるじゃない? 何だろうって思ってたら」
「それで、それで」
「一人の先輩にどこか怪我してるんじゃないの? 服すごいことになってるわよって言われて見てみたら、スーツに血が点々とついていて」
「うあ。それって見様によっては、どんな事件に巻き込まれたのって、もしくは何をやらかしたの? って感じよね」
沙羅はその場面を想像したのか、とんでもないことを言い出した。
いやいや、わたしは事件に巻き込まれてもいないし、何もしてないし、ただ怪我をしたなんだけど?
さっき、彼女はわたしが聞いたところって言ってたけど、他にとんでもない噂が広まっていたら?
いやだー。想像したくなーい。
とにかくここで打ち消しておかなきゃ。
自分の知らないところで話のネタになっていることなど、想像もしていなかった。苦い出来事は消してしまいたいところだったのに。
「そうねえ。わたしが聞いたところでは、第一会議室に遅れてやってきた女性新入社員が、髪を振り乱して血を滴らせながら、血だらけで部屋に入ってきて、それを見た女性社員があまりの恐怖に気を失ったとか。それから会議室がパニック状態になったって、会議どころじゃなくなったとか?」
沙羅が楽しげに話してくれた。
大袈裟な感が無きにしも非ずだけど大筋では合ってる。煽り文句が凄かったから、どんなデマが飛んでるかと心配してたけど。
「教えてくれてありがと」
「どういたしまして。で、真相はどうなのよ?」
やっぱり、聞きたいわけね。沙羅の瞳が興味津々にキラキラしてる。
「分かったわよ。話すから」
「うん、うん」
沙羅は身を乗り出すように聞いている。なんか、こんなところもかわいいんだよね。無邪気な表情がまた魅力的。仕事では才色兼備なしっかり者の彼女しか見ないから、こんな一面もあるなんて思いもしなかったけど。プライベートでは普通のかわいい女性って感じ。
美人過ぎるから男性社員達も声をかけにくいらしい。こういう人を高嶺の花っていうんだろうな。ホント、綺麗だもんね。
「ちょっと、何、ぼけっとしてんの? 話はどうしたの。真相を話してくれるんでしょう?」
「ごめん。そうそう」
ぼけっとって……わたし、今沙羅に見惚れてたんだけど? よほど間抜けに見えたんだろうか。それはそれで、落ち込むな。まっ、いいか。
「あの日は朝一の会議があって、会社に来るまですっかり忘れてて、急いで会議室に向かっていたら、ちょっと人とぶつかって、その拍子にピアスが取れちゃって、でも、急いでいたし、怪我してたことなんて全然気づかなくて、会議室に着いたときには会議が始まる寸前で、先輩達が資料を配ってたんだよね」
わたしはそこまで言って一息ついた。
「それから?」
「全員揃ってて、一斉に注目よ。恥ずかしいとか思って、静かに入ろうとしたら、まさか、耳から出血してるなんて思わないじゃない? 一番近くにいた先輩が突然、ぎゃあとかって凄い悲鳴をあげちゃて、ホントに気を失っちゃって倒れるし。すぐに医務室に運ばれたんだけど。『俺、血ダメ』とか言い出して、男性社員の中にも具合悪くなったやつもいたりして、大騒ぎになるし、もちろん会議どころじゃないし。わたしは何が何だかわからなくて、きょろきょろしてたら、みんながわたしを見てるじゃない? 何だろうって思ってたら」
「それで、それで」
「一人の先輩にどこか怪我してるんじゃないの? 服すごいことになってるわよって言われて見てみたら、スーツに血が点々とついていて」
「うあ。それって見様によっては、どんな事件に巻き込まれたのって、もしくは何をやらかしたの? って感じよね」
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いやいや、わたしは事件に巻き込まれてもいないし、何もしてないし、ただ怪我をしたなんだけど?
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いやだー。想像したくなーい。
とにかくここで打ち消しておかなきゃ。
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