命を救った美女令嬢の家でVRMMOをプレイする。いつか彼女と付き合いたい。

茜色 一凛

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十九話 『巨乳の戦士』

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「お背中流しますよ! 先程は何も知らずにぶん投げてしまって申し訳ない」

 そう言って、ブタゴリラは俺の背中を布で擦り出す。最初は優しくて心地よかったのだが……。

「イテテっ! いったぁー! むちゃ痛いけど何で擦ってる?」
「日頃の感謝を込めてしっかりとやらさせて頂いております」
「日頃ってあんたは……掲示板でディスってくれて、大雨の中、投げ飛ばされた記憶しかないわ!」

 ガリっ、ガリっ!

 そう言いながら、振り向くと手にしたアカスリ用のトゲトゲが付いた布は赤く染まっていた。

「何やってんだ! このバカ女が!」

 そう叫んでゴリラの首を締め上げる。それにしてもこのゴリラ、何で風呂場でバスタオルなんて身にまとってるんだ? あーそうかタトゥーでも入れてるんだな? しかも頭にはピンクの鉄の兜を被っている。ふざけてんのか!

「オイ! 風呂場でタオルなんて纏っててもしょうがないだろ?」
「いや、別にいいじゃありませんか? 人には隠したいものの一つや二つ誰にだってある!」
「これから親睦を深めるのにタオルなんていらないだろ?」

 俺はなぜこのゴリラがこんなにも嫌がっているのか分からない。もしや若気の至りで恥ずかしい彼女との名前の入ったタトゥーでも背中に入れたとしか思えない。

「ちょちょっ、取り敢えず見せてみろよ! 男同士なんだし」
「本当にやめてくれ! 恥ずかしいんだよ!」
「分かったよ、もうしょうがないなー」

 タオルから手を放して鏡の方を向く、ブタゴリラは安心してアカスリで再び俺の体を今度は優しく擦りだした。しめしめ・・・・・・。俺は振り向くと一気にバスタオルを奪った。

「ギャーーーーーーーーーーっ!」

 天井に響く甲高い声。視線を落としよく見ると筋肉質の体に柔らかそうな男とは違う膨らみが二つある。あれっ? そして、股間にはあるべき棍棒が見当たらない。まさかこいつ太ももに棍棒を挟んでやがるんじゃないか? 見せてみやがれ! 

「しょうがないな! これも親睦を深めるためだ!」

 引き締まり手に吸い付く太ももを両手で力いっぱい拡げようとしたら──右から凄い勢いでビンタが飛んできた。

「ぐほっーーっ!」

 俺の体はまたしても宙に浮かび、温泉の浴槽の奥にある富士山の描かれた壁へとぶち当てられた。──温泉の中にドッボーン。

「フゥフゥフゥ!」

 俺は溺れながらも、泳いで何とか浴槽のヘリに捕まる。まさかこいつ・・・・・・。メスゴリラか?

「やめてくださいと言ったのに!」

 メスゴリラはこっちを見て頬を赤らめている。

「こういう事はもっと仲良くなってからでないと。私はそんな軽い女ではありません……」

 そう言って兜を外すと、金髪のロングの髪が中から現れ肩まで伸びていた。それはとても綺麗で。こいつむちゃ美人だったのか? 顔の形が四角だったから髪で顔の輪郭を隠すことにより綺麗に見えるけど普通に美人じゃないか!

 どっひぇーーー! おいおい嘘だろ。こいつメスだったのか。これ以上仲良くなったらヤバい! 俺にわっ、俺にわっ──エリカがいるから!

 慌てて浴槽から上がり。ドアに向かって走ると、スってーん。ヤバいっ。起き上がろうとして手を伸ばすと、柔らかい物を鷲掴みにしていた。

「やめてもらってもいいですか? 積極的な方なんですね……」

 顔を上げると頬を赤らめて恐らく嫌じゃないと言わんばかりの表情の女性が立っていた。

「ごめん、 誰だよ石鹸落としたの……」

 ハンドタオルで大事なとこを隠しながら一目散にふろ場から出て行った。

 エリカもエリカだよ。メスゴリラを俺にくっつけるなよ。まぁ外見だけで人を判断しちゃいけないってことだよな。それにしても、本当にやばかった。





 俺達の部屋のドアを開けると、ベッドにうつ伏せに横たわるエリカが煎餅を咥え、パキッとかじりながら呑気にテレビを見ていた。

 シースルーの黒のネグリジュに着替えていて、とても似合っている。

「ブタゴリラが、メスゴリラだったぞ!」
「えっ? あの戦士女子なの? 悪いことしちゃったわね! ユウキまさか襲ってないわよね?」
「襲うかよ!」

 風呂場では色々あったけど、そんなことをエリカに話して俺に何の得があるというのか!

 エリカは俺の体を上から下までみると、やっぱりかみたいな顔をして、

「ユウキイイイー! 私のジュエルどこやった? ないんだけど、あなたに渡したよね?」
「あ、あれっ……、あーそうだ。風呂場に置いてきたかもしれん。ちょっと見てくる」


 ──困った。どうしたら良いんだ? 俺のHPは残り半分で。おやっ、全回復してる。もしやあの温泉に入ると回復するのか?

 いやいやそんな訳あるか、これは恐らくスキルなのかもしれない。今までの強烈な戦闘で俺は他のプレイヤーよりも過酷な経験をしてきたんだ。何か一つぐらいラッキースキルが生まれてもいい頃なんじゃないのか?

 どんな顔でメスゴリラに会えばいいのかと思うと、憂鬱だが、歩きながらウインドウを指でサッサっと開きステータスを見ると



 ・ユウキ   魔法使い

 ・スキル ファイアーボール 二段階

 ・極レアスキル ラッキースケベ(中回復)


 ──ヤバい。極レアスキルが俺についてる。でもこれって嬉しいけど人に言えない。なんでこんな恥ずかしい名前にしたんだよ! 運営さん真面目にスキル名考えてくれよ。 しかも発動がイマイチ分からんし、ラッキースケベの文字をタップすると発動条件が書かれている。

 ふむふむ、何々。これは……。まず二人の女性のパンツをラッキーなことに見て、その後、三人目の女性の股間をラッキーで見てしまう事。と記載されている。こんな発動条件無理だろ。恐らくこのゲームで俺は初めてこのスキルを得たのではなかろうか? この先このスキルを手に入れられるプレイヤーが現れることはないだろう……。

 先程、メスゴリラに投げられたが、ラッキースケベの回復があったから、耐えきれたように思う。さらにその後、胸を掴んだことで、もちろん事故だ。それがトリガーとなりラッキースケベが発動して全回復したんだろうな……。

 廊下を歩きながら窓の外を見ると雨も弱まってきている。さあ、この最強スキルで道具屋からジュエルを取り戻しに行くか!

「あっ」


 そして俺は大事な杖を脱衣所に忘れた事に気づき取りに戻った。

 すると、そこにはバスタオル一枚のメスゴリラが男たちに囲まれていた……。
 彼らの目はいやらしく俺はそんな状況を無視して先ほどの籠の中に入っている杖を探した。メスゴリラならなんとか自力で男の数人ぐらい返り討ちにできるだろう。

「やめてください! あっ、丁度いいところにユウキがっ!」
「どうしてくれるんだよ! 俺の服が破れちまってるじゃないか? 体で支払ってもらおうか?」

 コラコラ俺を呼ぶな! あー俺の杖を何でメスゴリラが持っているんだよ!

「一体何があったんですか?」
「間違えて服を着たら、胸に引っかかって破れてしまったんです! 丁度コンタクトが外れてしまって……」

「悪い! 急いでるから行くわ!」

 俺はそう言って杖をひっぱる。いかせまいと杖を握りしめている。

「頼むから行かせてくれ!」
「さっき、私の体を隅々まで見た事、エリカさんに話してもいいんですか? ツグミさんのけんもありますし、ますますユウキの立場がなくなるかと」
「あー。分かったよ。で、どうしろと?」

 
 俺たちを囲む男は四人。田舎のヤンキーぽいやつらだ。こいつらの弱点は分かっている。とにかく威張って相手がすみませんでしたという姿を見たいだけだ。

 俺は床に正座すると。手を前方の床につき頭を下げた。土下座だ。古今東西これをすれば相手は攻撃をすることもなくしかたないと古くから言われる古の技だ。

 それなのに、……

「馬鹿野郎がぁーー!」
「こいつ踏んづけてやりましょう!」
「うわぁーーー!」

 俺は四人から蹴られ踏んづけられ力尽きて倒れた。四人は爽やかな顔をして風呂場から出ていく。
誰だよ。土下座は最強だと言ってたのは──。

「ごめんなさい。私のせいで……。」
 
 バスタオルに包まれたメスゴリラが俺の顔の傍でしゃがみこみ、彼女の両ひざの奥の隙間が目の前に来た。体の痛みが引いていくのを感じていた。

「大丈夫だ。それよりも君に頼みたいことがある」

「はい。なんなりと言ってください」
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