命を救った美女令嬢の家でVRMMOをプレイする。いつか彼女と付き合いたい。

茜色 一凛

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二十二話 『ドラゴの嘘つき』

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 メグにゃんが何故か俺にキスをし、エリカはそれを見て嫌そうな顔をしていた。

「どういうことなのめぐにゃん! 私のユウキに何してくれてんのよ!」

 険しい顔をして、早口で捲し立てる。こんなエリカ見たこと無かった。

「ごめんなさい。つい、ムカついちゃって。それにしてもドラゴ何してんの? これはどういう事なの!」

 この女がドラゴの上に被さっているのだから、むしろ怒るべき対象はこの女なのではないか?

「庇うわけじゃないけど、この女がドラゴを襲っているようにも見えるし」
「メグすまん! 俺たち魔物は最初のファーストキスをした相手と結婚する事になってるんだああああああー!」

 ドラゴの上にいる女は、ほくそ笑みながらこっちを振り向き、

「悪いわね! そういう事だから、メグっていったかしら? ドラゴは私のモノよ!」
「そんな話まかり通るわけないだろ!」
「そうよ! ユウキの言う通りだわ、そんなのがまかり通ればアメリカとか他の国だとチュッチュしてるはずだから、子供の時に結婚相手決まっちゃうじゃない!」

 エリカが加勢してくる。

「ドラゴ、そんなのってないよ! 私がどれだけあなたの事が好きなのか分かってるの? そんなルールに縛られるあなたじゃないでしょ。そもそもそんな馬鹿なルール誰が決めたのよ?」

 ──ん? ちょい待て、メグとドラゴって確か、公園でキスしてなかったか?

「二人は今日初対面だったはずよね! その前にメグとドラゴって公園でキスしてたわよ! どういうことかしら、分かるように説明しなさいよ!」

 エリカはドラゴの額に人差し指を突きつける。まるで名探偵のように。

「本当のことを言うよ! 実は俺の方がこのカティに惚れたんだ」

 いや違う。ドラゴはそんなやつじゃない。恐らく庇っているのだ。このままではこの女が皆にボコられるのを避けるために。

「私の事が嫌いになったの? なんでなのよおおおおおおおー!」

 メグは顔を手で覆い号泣する。それと共にドラゴも困った顔をしてオロオロし始める。

 ──このままでは駄目だ。

「ドラゴいいか? 男同士の話をしよう。皆悪いけど二人にしてくれないか?」

 彼女達はしょうがないわねと言いながら部屋を後にする。エリカはカティを掴むと、縄で縛り上げて連れていく。どこでそんな技身につけたんだよ!

 部屋の中は二人っきり、泥だらけのドラゴと俺だけだ。

「何があったか話してくれないか?」
 口を噤んで何も語らないドラゴがおもむろに口を開いた。

「カティが助けてくれと頼んできたんだ! 確かにあいつには酷い目に合わされたんだけど、流石に命まで取られそうとか言われたら、あーする他なかったんだ。まさかメグがいるなんて思っても見なかったし、俺どうしたらいいんだよおおおおおお!」

 頭を壁に何度も打ち付けるドラゴ。壁にポッカリと穴が空く。その肩を俺はガシッと掴み。

「……だと思ったよ。全部丸聞こえだったんだな? 今更だけど俺達の部屋に来たのってドラゴ?」
「メグにゃんに会いたくて、ユウキに頼もうと思ったら、ぶん殴られてここに飛ばされて棍棒男に縛り上げられて、あの女にここに放り込まれたんだ」

「ドラゴ人が良すぎる。この世の中悪人もいるんだよ。やられたのに助けたりしたら本当に大切な物を見失うぞ!」

 やばいいいこと言ったかもしれん。自分で自分の言葉に恥ずかしさを覚えると、ドラゴはふと何を思ったのか部屋のドアを開けて勢いよく飛び出した。

「分かればいいんだよ。青春だ。」

 ──でもプレイヤーとボスとの恋なんて、果たして上手くいくのだろうか。その行き着く先に幸せなどあるのだろうか?

 もしかしたらドラゴはその事を感じて、ここで色々思うところがあったのかもしれない。将来的に幸せになれないのだとしたら、そんな恋は諦めた方がいいのかもと思ったのかもしれない。

 カウンターの方に顔を出すと、ドラゴは

「メグ! 悪いけどそういう事だから、俺達別れよう!」

 鼻の穴がヒクヒクして、感情を押し殺している声。

「はい!」

 メグはハッキリと口に出し優しくドラゴをビンタした。

「やめなさい! あなたたち見てるとイライラするのよ!」

 エリカが、いつになく真剣な眼差しで二人を見る。

「ゲームだからとか、現実だからとかそんなの関係ないでしょ。今の感情を大切にしなさい! ちなみに私はキスしたことない処女だけど……」

 縄でぐるぐる巻にしたカティを足蹴にしながら最もらしいことを言うエリカ。

「ごめん。あれから本気で考えたんだけど、大切に思う気持ちが強くて、これがメグにゃんにとって1番だと思ったんだ」

 そんなドラゴのドロドロの体に抱きつき、

「ほんとバカっ!バカっ、アホおおおおおー!」

 メグは目を擦りながら、ドラゴも目を真っ赤にして泣いている。

 俺たちは道具屋を後にし、カティからはジュエルを返して貰った。

 ──後は二人だけにしておこう。将来とか未来とかよりも、大切なことがある。そう思い、仰ぎみると青く澄んだ空に雲がポッカリと浮かぶ。

「いてっ」

 腕に痛みが走る。

「めぐニャンにキスされて喜ばないで!」

 エリカが俺の腕をつねって、宿屋の方へ逃げていった。

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