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報道陣にはスマッシュでもお見舞いしよ
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んー。
何だかおしりと腰が痛い。テーブルから頬っぺを引っ剥がしながら、頭を上げる。
「──ママ、いるの?」
家は二人暮しで、パパは今はアメリカに仕事の都合で行っているからもう一年位は帰ってこない。 そういう私は一人っ子なので、好きなように両親から甘えさせてもらってきた。
なんでいないの? 食欲もなくて何も食べずに準備をして学校へと向かった。その道中いつもの待ち合わせの場所でエリカと会う。
「ツグミーっ、昨日テレビ見たわよ。あれってツグミのママじゃ無かった? 違うと思いたいけど、どことなく似てたから……」
エリカの顔を見ると思わず私は泣き崩れてしまい、彼女の胸に抱きついた。そして顔を上げるとエリカの頬にも涙がつうっと流れ落ちた。
「エ、エリ、エリカっ……実はねっ。まだ戻ってきてないの。昨日買い物に行ったきり戻ってないの」
「そう……。どうするのって言ってもどうしようもないわね。私も父に連絡して捜索してもらえるように頼むから。そうね。今から私達も警察に行きましょ!」
エリカは行動力抜群だ。私はどちらかというと流されやすく、こんな時は特に思考停止になってる。
警察官にはすぐに捜索を始めてくれると言われた。決定的な証拠はテレビで放映されたのだから。しかもあのでんでん虫は更に巨大化しながら街を徘徊しているらしい。
私たちは学校へ向かおうとしたが、
「ツグミ、もしあれだったら今日休んでもいいし、どうする? 一緒に私も休んでもいいわよ。家にいても落ち着かないだろし、でんでん虫探しに行ってもいいし、あなたに任せる!」
しばらく考えたあと、私は休むことにした。学校に行ってもテレビの衝撃的な映像の話で持ち切りだろうし、私はどんな顔で教室の皆と会えばいいのか分からない。
「私休むことにする。エリカは学校行きなよ!」
「待ってて」
エリカはスクールバックからスマホを取り出すと学校に電話を入れてくれた。しかも自分も友達だからと言って休んでくれた。
「でんでん虫を見に行くのは辛いだろうから」
グゥ
私のお腹がなってしまう。エリカはクスクス笑いながら、
「食べてないんでしょ? いつからなの? もしかして昨日から食べてないんじゃないの? 頭も回らないし体も持たないわよ! そうね。まずは食事に行きましょ!」
エリカに手を引かれながら喫茶店に入りモーニングを食べた。温かいコーヒーを飲むと次第に心が落ち着いてくる。
ほんとエリカは親友だよ。マサルがエリカの事気に入ればそれでもいいかもと思ったりもしてくる。エリカは性格がいい。明るくて積極的で勉強も運動も出来る。男子からも人気もあるし、よく不特定多数の男子から告白されているのを見たことがある。
毎回振ってるみたいだけど、そんな子がそもそもなんで私と友達になってくれているのか分からない。
喫茶店を出て私の家でゆっくりしようと思ったら、家の周りに人集りが出来ていた。
「希咲さーん。見えますか?」
「お話を伺いたいのです」
「おい! コラ! さっさと出て来いや!」
私は少し離れた場所で蹲る。エリカはそっと私の肩を後ろから抱き、
「何やってるんですか? 警察呼びますよ! 二度と来ないでくれませんか! 迷惑なんですよ! 人の気持ち考えたことありますか!」
報道陣に向かって怒鳴り散らしてくれている。私は泣くしかなかった。報道陣が沢山玄関前にいた事より、エリカの言葉に胸を打たれて、泣き出した。
彼らは私を見ると集まってきた。エリカは両手を広げて行かないようにしてはいるもののたちまち囲まれてしまう。
「やっとみつけたぞー!」
「さっさと出てこいよ! こっちも忙しいんだよ! 今日中に編集終わらせないといけねーんだよ!」
チラリとエリカの方を見るとどこかに電話している。
「テレビ見ましたか? お母さんは帰ってきてます?」
「今の心境をお聞かせ願えませんか?」
分からない。何を私が話せばいいのよ……。頼むからほっといて。
その時、聞き慣れた優しい声がした。
「ツグミン、助けに来たぜ!」
顔を上げるとサトルの姿が! 私の手を強引に引っ張り走り出す。手に持つバレボールを報道陣目掛けてジャンプしてアタックを繰り出し、見事報道陣の顔面にレシーブを食らわせた。
「行くぞ! ツグの事だと思ったからさ、多分家で泣いてるんじゃないかと思ってきたわけよ! まさに当たりだったな!」
サトルは小学生の頃と余り変わらない屈託した笑顔で私を見ながら力強く私の手を引く。
振り向くと、その後をエリカも追ってきた。男性報道陣の背中にキックをお見舞いして、踏みつけて走っている。
サトルが来てくれた。嬉しいけど、そんな余裕がない。私たちは報道陣が見えなくなるまでとにかくどこへ向かうわけでもなく走った。
何だかおしりと腰が痛い。テーブルから頬っぺを引っ剥がしながら、頭を上げる。
「──ママ、いるの?」
家は二人暮しで、パパは今はアメリカに仕事の都合で行っているからもう一年位は帰ってこない。 そういう私は一人っ子なので、好きなように両親から甘えさせてもらってきた。
なんでいないの? 食欲もなくて何も食べずに準備をして学校へと向かった。その道中いつもの待ち合わせの場所でエリカと会う。
「ツグミーっ、昨日テレビ見たわよ。あれってツグミのママじゃ無かった? 違うと思いたいけど、どことなく似てたから……」
エリカの顔を見ると思わず私は泣き崩れてしまい、彼女の胸に抱きついた。そして顔を上げるとエリカの頬にも涙がつうっと流れ落ちた。
「エ、エリ、エリカっ……実はねっ。まだ戻ってきてないの。昨日買い物に行ったきり戻ってないの」
「そう……。どうするのって言ってもどうしようもないわね。私も父に連絡して捜索してもらえるように頼むから。そうね。今から私達も警察に行きましょ!」
エリカは行動力抜群だ。私はどちらかというと流されやすく、こんな時は特に思考停止になってる。
警察官にはすぐに捜索を始めてくれると言われた。決定的な証拠はテレビで放映されたのだから。しかもあのでんでん虫は更に巨大化しながら街を徘徊しているらしい。
私たちは学校へ向かおうとしたが、
「ツグミ、もしあれだったら今日休んでもいいし、どうする? 一緒に私も休んでもいいわよ。家にいても落ち着かないだろし、でんでん虫探しに行ってもいいし、あなたに任せる!」
しばらく考えたあと、私は休むことにした。学校に行ってもテレビの衝撃的な映像の話で持ち切りだろうし、私はどんな顔で教室の皆と会えばいいのか分からない。
「私休むことにする。エリカは学校行きなよ!」
「待ってて」
エリカはスクールバックからスマホを取り出すと学校に電話を入れてくれた。しかも自分も友達だからと言って休んでくれた。
「でんでん虫を見に行くのは辛いだろうから」
グゥ
私のお腹がなってしまう。エリカはクスクス笑いながら、
「食べてないんでしょ? いつからなの? もしかして昨日から食べてないんじゃないの? 頭も回らないし体も持たないわよ! そうね。まずは食事に行きましょ!」
エリカに手を引かれながら喫茶店に入りモーニングを食べた。温かいコーヒーを飲むと次第に心が落ち着いてくる。
ほんとエリカは親友だよ。マサルがエリカの事気に入ればそれでもいいかもと思ったりもしてくる。エリカは性格がいい。明るくて積極的で勉強も運動も出来る。男子からも人気もあるし、よく不特定多数の男子から告白されているのを見たことがある。
毎回振ってるみたいだけど、そんな子がそもそもなんで私と友達になってくれているのか分からない。
喫茶店を出て私の家でゆっくりしようと思ったら、家の周りに人集りが出来ていた。
「希咲さーん。見えますか?」
「お話を伺いたいのです」
「おい! コラ! さっさと出て来いや!」
私は少し離れた場所で蹲る。エリカはそっと私の肩を後ろから抱き、
「何やってるんですか? 警察呼びますよ! 二度と来ないでくれませんか! 迷惑なんですよ! 人の気持ち考えたことありますか!」
報道陣に向かって怒鳴り散らしてくれている。私は泣くしかなかった。報道陣が沢山玄関前にいた事より、エリカの言葉に胸を打たれて、泣き出した。
彼らは私を見ると集まってきた。エリカは両手を広げて行かないようにしてはいるもののたちまち囲まれてしまう。
「やっとみつけたぞー!」
「さっさと出てこいよ! こっちも忙しいんだよ! 今日中に編集終わらせないといけねーんだよ!」
チラリとエリカの方を見るとどこかに電話している。
「テレビ見ましたか? お母さんは帰ってきてます?」
「今の心境をお聞かせ願えませんか?」
分からない。何を私が話せばいいのよ……。頼むからほっといて。
その時、聞き慣れた優しい声がした。
「ツグミン、助けに来たぜ!」
顔を上げるとサトルの姿が! 私の手を強引に引っ張り走り出す。手に持つバレボールを報道陣目掛けてジャンプしてアタックを繰り出し、見事報道陣の顔面にレシーブを食らわせた。
「行くぞ! ツグの事だと思ったからさ、多分家で泣いてるんじゃないかと思ってきたわけよ! まさに当たりだったな!」
サトルは小学生の頃と余り変わらない屈託した笑顔で私を見ながら力強く私の手を引く。
振り向くと、その後をエリカも追ってきた。男性報道陣の背中にキックをお見舞いして、踏みつけて走っている。
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