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1 あやまち
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やばい!
つかまる!
僕は駆けた。
でも、足がもつれて、というより、腿と腿の間に違和感があって、思うように走れない。
「待て!」
「止まるんだ、この変態め!」
背後から、歩道を踏みしめる足音とともに警官たちの声が追ってくる。
ヘンタイ…?
ああ、僕のことだ。
歩道に面したレストランのガラス壁に、真っ裸で走る僕自身のあられもない姿が映っていた。
けれど、信じてほしい。
別に、他人に見せる気なんて、なかったのだ。
僕はただ、いつものように、行きつけの公園の林の中で、思いっきりハメを外して…。
「きゃああっ!」
「何、あれ?」
前方から来る女子高生の集団が僕に気づいて、棒を呑んだように立ち尽くす。
「あいつ、全裸じゃね?」
「げえーっ! キッモッ!」
「ガチで変態じゃん!」
口々に悪態を浴びせてくる少女たちに、僕は怒鳴り返す。
「み、見るな! 見ないでくれ!」
がー。
全速力で彼女たちの脇を駆け抜けようとした、まさにその時だった。
「死ねよ、バーカ!」
すれ違いざま、女子高生のひとりが片足を突き出し、僕の脚を引っ掛けたのだ。
「うわっ!」
バランスを崩し、僕は車道側にまろび出た。
ごおーっ!
その瞬間、凄まじい風圧が僕を巻き込んだかと思うと、
ゴンッ!
凄まじい衝撃が全身を襲った。
ボキッ!
どこかの骨が折れ、
ぐしゃ。
躰の中で何かが潰れる音がした。
「やべっ!」
女子高生のひとりが叫んだ。
そしてそれが、この世で僕が聞いた最後の声だったー。
つかまる!
僕は駆けた。
でも、足がもつれて、というより、腿と腿の間に違和感があって、思うように走れない。
「待て!」
「止まるんだ、この変態め!」
背後から、歩道を踏みしめる足音とともに警官たちの声が追ってくる。
ヘンタイ…?
ああ、僕のことだ。
歩道に面したレストランのガラス壁に、真っ裸で走る僕自身のあられもない姿が映っていた。
けれど、信じてほしい。
別に、他人に見せる気なんて、なかったのだ。
僕はただ、いつものように、行きつけの公園の林の中で、思いっきりハメを外して…。
「きゃああっ!」
「何、あれ?」
前方から来る女子高生の集団が僕に気づいて、棒を呑んだように立ち尽くす。
「あいつ、全裸じゃね?」
「げえーっ! キッモッ!」
「ガチで変態じゃん!」
口々に悪態を浴びせてくる少女たちに、僕は怒鳴り返す。
「み、見るな! 見ないでくれ!」
がー。
全速力で彼女たちの脇を駆け抜けようとした、まさにその時だった。
「死ねよ、バーカ!」
すれ違いざま、女子高生のひとりが片足を突き出し、僕の脚を引っ掛けたのだ。
「うわっ!」
バランスを崩し、僕は車道側にまろび出た。
ごおーっ!
その瞬間、凄まじい風圧が僕を巻き込んだかと思うと、
ゴンッ!
凄まじい衝撃が全身を襲った。
ボキッ!
どこかの骨が折れ、
ぐしゃ。
躰の中で何かが潰れる音がした。
「やべっ!」
女子高生のひとりが叫んだ。
そしてそれが、この世で僕が聞いた最後の声だったー。
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