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11 旅立ち前の試練②
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「幸い、というべきか、あの木でわかるように、このあたりにはすでに魔王の汚染が認められる。探せば魔物の一匹や二匹、すぐに見つかるはずだろう」
サーシャは身軽に立ち上がると、大股に森の中を行き来し始めた。
「魔王の、汚染?」
「魔王こそ穢れの源。セルダン教会の教えでは、汚染を放置しておくと、この世界の生態系が根こそぎ魔界のものに置き換わってしまうと言われている」
「生態系、ですか?」
サーシャの語彙には、ずいぶんと先進的な言葉も含まれているようだ。
それともこれは、転生と同時に僕に芽生えた異言語翻訳機能のなせるわざなのか。
「でも、確かにここ、蒸し暑いですね。まるでアマゾンのジャングルだ」
そうだった。
この森の中、空気が異様に濃くて、噎せ返るよう。
それだけ植物たちの光合成が盛んなのか。
それともこれも汚染物質の影響なのか。
「本来ならば、ここロドス地方は夏は乾燥、冬は多雨の温帯気候のはず。なるほど言われてみればこの気温と湿度の高さはおかしいな」
サーシャがそこまで言った時だった。
僕らに先行していたシロが、へっぴり腰になって地面に尻を落としたかと思うと、突然バウバウ吠え始めた。
「どうした? シロ」
駈け寄るサーシャ。
その前に、やにわに黒い影が伸びあがった。
「出たな! 化け物!」
敏捷に飛び退るサーシャの元居た位置に、ドバっと何か、ゲロのような液体が飛び散った。
グアアアアアアア。
巨大な口を開け、ホースみたいな長い舌を宙で揺らめかせているのは、ヒグマほどもあるカエルである。
緑色でネバネバの躰は一面イボで覆われ、とてつもない悪臭を放っている。
「ウリオ、今だ! 射精を!」
立ちすくむ僕を振り返って、サーシャが叫んだ。
「そ、そんな…」
僕は泣きそうになる。
できるはずがなかった。
相手はカエルの化け物なのだ。
いくら僕が変態だからと言って、蛙相手に欲情できるほど堕ちてはいない。
サーシャは身軽に立ち上がると、大股に森の中を行き来し始めた。
「魔王の、汚染?」
「魔王こそ穢れの源。セルダン教会の教えでは、汚染を放置しておくと、この世界の生態系が根こそぎ魔界のものに置き換わってしまうと言われている」
「生態系、ですか?」
サーシャの語彙には、ずいぶんと先進的な言葉も含まれているようだ。
それともこれは、転生と同時に僕に芽生えた異言語翻訳機能のなせるわざなのか。
「でも、確かにここ、蒸し暑いですね。まるでアマゾンのジャングルだ」
そうだった。
この森の中、空気が異様に濃くて、噎せ返るよう。
それだけ植物たちの光合成が盛んなのか。
それともこれも汚染物質の影響なのか。
「本来ならば、ここロドス地方は夏は乾燥、冬は多雨の温帯気候のはず。なるほど言われてみればこの気温と湿度の高さはおかしいな」
サーシャがそこまで言った時だった。
僕らに先行していたシロが、へっぴり腰になって地面に尻を落としたかと思うと、突然バウバウ吠え始めた。
「どうした? シロ」
駈け寄るサーシャ。
その前に、やにわに黒い影が伸びあがった。
「出たな! 化け物!」
敏捷に飛び退るサーシャの元居た位置に、ドバっと何か、ゲロのような液体が飛び散った。
グアアアアアアア。
巨大な口を開け、ホースみたいな長い舌を宙で揺らめかせているのは、ヒグマほどもあるカエルである。
緑色でネバネバの躰は一面イボで覆われ、とてつもない悪臭を放っている。
「ウリオ、今だ! 射精を!」
立ちすくむ僕を振り返って、サーシャが叫んだ。
「そ、そんな…」
僕は泣きそうになる。
できるはずがなかった。
相手はカエルの化け物なのだ。
いくら僕が変態だからと言って、蛙相手に欲情できるほど堕ちてはいない。
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