120 / 152
119 渉の謎⑧
しおりを挟む
ここへ来るのは3回目だ。
聳える全面ガラス張りの超高層ビルを見上げて、僕は思った。
壁面に、大きなWASIOの文字とロゴマーク。
この建物の地下通路の多機能トイレで、僕は初めて一ノ瀬渉に出会い、次は1階の奥のトイレで衝撃のあのシーンを目撃し、更には僕自身も被害に遭った。
ただ、被害といっても、恨みはない。
僕自身、内心では楽しんでいたことは確かだったから。
思った通り、日曜日というのに、ビル全体は営業中のようだった。
ガラス壁を透して、各階に照明が灯り、人影が動いているのがわかる。
周囲に気を配りながら、自動ドアをくぐった。
今日の僕は、サマーコートに穴の開いたボデイスーツという、十分に怪しい恰好をしているのだ。
下手に目をつけられたら、警察に通報されかねない。
ロビーは相変わらず、清涼な空気に満ち満ちていた。
営業中とはいえ、さすがに日曜日ともなると、人の姿は少なかった。
受付カウンターが空なのも助かった。
今度こそ、会えるだろうか…。
脇目もふらずに奥の通路に入った。
通路の入り口の案内板を確かめる。
渉が勤務する鷲尾ホールディングスは、8階から12階までを占めている。
案内板によると、保安課は、そのうちの9階だった。
ためらっている場合ではなかった。
僕は1階で止まっているエレベーターの一つに滑り込むと、9のボタンを押すと同時に「閉」のボタンを押した。
エレベーターはかなりの高速だったけど、目当ての階につくまでの時間がひどく長く感じられた。
チン。
澄んだ音がして、箱の上昇が停まった。
開き始めたドアから滑るようにして外に出る。
顔を上げると、目の前に、塵一つない明るい通廊が伸びていた。
左右の壁にはいくつもドアが並んでいて、突き当りのドアの窓に『保安課』のプレートが嵌っていた。
あそこだ。
胸がドキドキした。
あのドアの向こうに、渉が居る…。
ロイヤルホテルでの、兜合わせ。
いきなり蘇ったその記憶に、すでに勃っている陰茎の先が、早速濡れるのがわかった。
躰が覚えている渉の色白の滑らかな肌の感触と、焼け火箸のように熱い性器の感触が生々しい。
来たのはいいけど、これからどうしようー。
トイレの表示を見つけて、とりあえず、そこで待つことにした。
根気よく待てば、一度くらいは渉が用を足しに来るはずだ…。
そう思ったのである。
聳える全面ガラス張りの超高層ビルを見上げて、僕は思った。
壁面に、大きなWASIOの文字とロゴマーク。
この建物の地下通路の多機能トイレで、僕は初めて一ノ瀬渉に出会い、次は1階の奥のトイレで衝撃のあのシーンを目撃し、更には僕自身も被害に遭った。
ただ、被害といっても、恨みはない。
僕自身、内心では楽しんでいたことは確かだったから。
思った通り、日曜日というのに、ビル全体は営業中のようだった。
ガラス壁を透して、各階に照明が灯り、人影が動いているのがわかる。
周囲に気を配りながら、自動ドアをくぐった。
今日の僕は、サマーコートに穴の開いたボデイスーツという、十分に怪しい恰好をしているのだ。
下手に目をつけられたら、警察に通報されかねない。
ロビーは相変わらず、清涼な空気に満ち満ちていた。
営業中とはいえ、さすがに日曜日ともなると、人の姿は少なかった。
受付カウンターが空なのも助かった。
今度こそ、会えるだろうか…。
脇目もふらずに奥の通路に入った。
通路の入り口の案内板を確かめる。
渉が勤務する鷲尾ホールディングスは、8階から12階までを占めている。
案内板によると、保安課は、そのうちの9階だった。
ためらっている場合ではなかった。
僕は1階で止まっているエレベーターの一つに滑り込むと、9のボタンを押すと同時に「閉」のボタンを押した。
エレベーターはかなりの高速だったけど、目当ての階につくまでの時間がひどく長く感じられた。
チン。
澄んだ音がして、箱の上昇が停まった。
開き始めたドアから滑るようにして外に出る。
顔を上げると、目の前に、塵一つない明るい通廊が伸びていた。
左右の壁にはいくつもドアが並んでいて、突き当りのドアの窓に『保安課』のプレートが嵌っていた。
あそこだ。
胸がドキドキした。
あのドアの向こうに、渉が居る…。
ロイヤルホテルでの、兜合わせ。
いきなり蘇ったその記憶に、すでに勃っている陰茎の先が、早速濡れるのがわかった。
躰が覚えている渉の色白の滑らかな肌の感触と、焼け火箸のように熱い性器の感触が生々しい。
来たのはいいけど、これからどうしようー。
トイレの表示を見つけて、とりあえず、そこで待つことにした。
根気よく待てば、一度くらいは渉が用を足しに来るはずだ…。
そう思ったのである。
10
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる