僕は家畜人 ~”連続絶頂” どうせ逝くなら、君の手で~

ヤミイ

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119 渉の謎⑧

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 ここへ来るのは3回目だ。
 聳える全面ガラス張りの超高層ビルを見上げて、僕は思った。
 壁面に、大きなWASIOの文字とロゴマーク。
 この建物の地下通路の多機能トイレで、僕は初めて一ノ瀬渉に出会い、次は1階の奥のトイレで衝撃のあのシーンを目撃し、更には僕自身も被害に遭った。
 ただ、被害といっても、恨みはない。
 僕自身、内心では楽しんでいたことは確かだったから。
 思った通り、日曜日というのに、ビル全体は営業中のようだった。
 ガラス壁を透して、各階に照明が灯り、人影が動いているのがわかる。
 周囲に気を配りながら、自動ドアをくぐった。
 今日の僕は、サマーコートに穴の開いたボデイスーツという、十分に怪しい恰好をしているのだ。
 下手に目をつけられたら、警察に通報されかねない。
 ロビーは相変わらず、清涼な空気に満ち満ちていた。
 営業中とはいえ、さすがに日曜日ともなると、人の姿は少なかった。
 受付カウンターが空なのも助かった。
 今度こそ、会えるだろうか…。
 脇目もふらずに奥の通路に入った。
 通路の入り口の案内板を確かめる。
 渉が勤務する鷲尾ホールディングスは、8階から12階までを占めている。
 案内板によると、保安課は、そのうちの9階だった。
 ためらっている場合ではなかった。
 僕は1階で止まっているエレベーターの一つに滑り込むと、9のボタンを押すと同時に「閉」のボタンを押した。
 エレベーターはかなりの高速だったけど、目当ての階につくまでの時間がひどく長く感じられた。
 チン。
 澄んだ音がして、箱の上昇が停まった。
 開き始めたドアから滑るようにして外に出る。
 顔を上げると、目の前に、塵一つない明るい通廊が伸びていた。
 左右の壁にはいくつもドアが並んでいて、突き当りのドアの窓に『保安課』のプレートが嵌っていた。
 あそこだ。
 胸がドキドキした。
 あのドアの向こうに、渉が居る…。
 ロイヤルホテルでの、兜合わせ。
 いきなり蘇ったその記憶に、すでに勃っている陰茎の先が、早速濡れるのがわかった。
 躰が覚えている渉の色白の滑らかな肌の感触と、焼け火箸のように熱い性器の感触が生々しい。
 来たのはいいけど、これからどうしようー。
 トイレの表示を見つけて、とりあえず、そこで待つことにした。
 根気よく待てば、一度くらいは渉が用を足しに来るはずだ…。
 そう思ったのである。 
 
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