僕は家畜人 ~”連続絶頂” どうせ逝くなら、君の手で~

ヤミイ

文字の大きさ
9 / 139

8 ソウルフーズ

しおりを挟む
 だけど、いつまでも余韻に浸っているわけにもいかなかった。
 僕は自分の置かれている状況を思い出し、焦って衣服を身に着けた。
 きょうはアルバイト初日なのである。
 多機能トイレを飛び出し、元来た経路を逆にたどって地下鉄の駅に降りた。
 折よく列車がやってきたので飛び乗ると、今度はいい具合に空いていて痴漢被害に遭う危険性はなさそうだった。
 僕のアルバイト先は『ソウルフーズ』なる名前の食品会社である。
 最近伸びてきた新興企業で、人気商品には健康機能飲料の『ネクタル』などがある。
『ネクタル』は”完全栄養飲料水”を謳う、飲むヨーグルトタイプの商品だ。
 小さい割に高価なので飲んだことはないけれど、ネットではその独特の風味が評判になっていた。
 地下鉄を降り、地上に出た。
 『ソウルフーズ』の本社はJR駅前のツインタワーの中に入っている。
 白状すると、僕はまだ正式に採用になったわけではなかった。
 書類選考と面接は通ったのだけど、配属先を決めるテストがまだ残っているのだ。
 『ソウルフーズ』は大手企業なので、工場勤務といってもさまざまな種類があるらしく、作業効率化のための適材適所を徹底するべく、アルバイトの採用にすら、必ず適性検査を行うのだという。
 高速エレベータに乗り、いかにも”できる”といったスーツ姿のサラリーマンやOLたちに囲まれながら、上階まで昇る。
 『ソウルフーズ』はひとつのフロアを独占していて、僕が目指すのは人事課だ。
 下宿を早めに出てきたのに、あの痴漢男のせいで、時間はすでにギリギリだった。
 ピカピカに磨かれたような廊下をドキドキしながら進み、見覚えのあるドアの前に立った。
 こちらからアクションを起こす前に、ガラス壁越しに僕の姿を認めた女性社員のひとりが立ち上がり、
「アルバイトの適性検査の方ですか?」
 にっこり微笑んで事務所の中に導き入れてくれた。
「こちらへ」
 案内されたのは、奥の殺風景な部屋である。
 突き当りの壁に等身大の鏡があり、右手はスチールの棚、左手は手洗い場になっている。
 隅になぜか簡易ベッドが置いてあり、そこに腰かけて待っていると、5分ほどしてドアが開き、
「お待たせしました」
 丸眼鏡をかけたおでこの広い男性が姿を現した。
 僕の躰を眼鏡越しに頭の先からつま先までひと渡り眺めると、やにわに意味不明の言葉を口にした。
「矢風さんですね。私、検査官の鰐部と言います。ではさっそく、服を脱いでいただきましょうか」
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

処理中です...