僕は家畜人 ~”連続絶頂” どうせ逝くなら、君の手で~

ヤミイ

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94 堕ちた天使④

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 焼けた鉄のように熱くなった男根をこらえきれず握りしめた、まさにその時だった。
 トイレの入口に、突然人影が現れ、僕は扱きかけたその手を止めた。
 姿を現したのは、警備員の制服を着た巨漢である。
 身長180センチを優に超えていそうで、胸周りや四肢はレスラーのように逞しい。
 まずい!
 とっさに首を引っ込め、便座の上にうずくまる。
 が、隣の個室では、相も変わらず卑猥な行為が続いているらしく、渉と男の喘ぎ声がやまないままだ。
 パンパンパンッ!
 肉が肉を打つ乾いた音に混じって、
「アアアアアアアア…」
 渉が感極まったハスキーヴォイスで鳴いている。
 心臓がドキドキして張り裂けそうだった。
 このままでは二人とも捕まってしまう。
 渉を犯している同僚の男は自業自得だとしても、勤務中の性行為ということで同罪にされたら、被害者である渉のほうが浮かばれない。
 そんなことを考えながら、息を殺してじっとしていると、厚底のブーツがリノリウムの床を踏む音が近づき、やがて、
 ドンドンドン!
 巨漢が隣の個室の扉をこぶしで乱打する音が響いてきた。
「おい、出てこい。きさまら、そこにいるのはわかってるんだぞ」
 やっぱり…。
 冷たいものが背筋を伝う。
 あの警備員、最初から挙動不審だった渉たちを監視していたに違いない。
「ち、そうきたか」
 渉の同僚が悪びれたふうもなく、そう答えるのが聴こえてきた。
 ガチャリ。
 扉の内鍵が外される音。
 がー。
 その後に続く会話は、およそ僕には理解し難い内容だった。
「混ぜてほしいんだろ? だったら最初っからそう言えよ」
「つべこべ言わず、早く出ろ」
「個室の外でやるのか。誰かが入ってきたら、どうするんだ?」
「大丈夫だ。入口の前に『清掃中』の看板を出してきた」
「ふっ、計画的だな」
「3Pはさすがに個室では難しいだろう?」
「特にてめえみたいなでかいのが仲間に入るとな」
「ぐははは、まあ、そう言うなよ。たっぷり楽しもうぜ」
 どういうことだ?
 僕は混乱した。
 あの警備員、ふたりを拘束しに来たんじゃなかったのか?
 計画的?
 仲間? 3P?
 3Pって、まさか…。
 もう我慢できなかった。
 僕は便座から降り、そっと個室の扉を開いた。
 薄く開けた隙間から、洗面台のほうを盗み見る。
 瞬間、燃えるように頬と股間が熱くなった。
 居た。
 正面の壁が、全面鏡になっている洗面台の前。
 まずは、白磁の洗面台に両手をつき、太腿の間から肉色の生殖器官を淫猥に反り返らせた全裸の渉。
 次に、その尻に股間を押し当てたままの、下半身むき出しの男。
 そして、今まさに制服のズボンを脱ごうとしているあの巨漢が…。

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