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第一章
第二話
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「美羽、その手の傷……どうしたんだ?」
俺が指摘すると美羽は驚いたような表情を浮かべて少し動揺しながらも答えた
「あっ……えっ……と、これは……うん、なんでもないよ?気にしないで……」
「いや、気にするよ。昨日まではそんな傷なかったはずだけど……何かあった?」
「……君ってさ、明日から退院して学校に通い始めるよね」
「そうだね……ようやく明日から行くよ」
「だから私、精が付くようにって張り切って……」
張り切ってって……美羽のやつ張り切りすぎて、まさかこの弁当に血とか入れてないよなぁ……もし入ってたら普通にドン引きだが
「頑張って料理してたら……手を切ってしまったの」
「いや普通に切っただけかい、何で勿体ぶったんだよ」
「それはっ、夫の君に料理が下手だって幻滅してほしくなくて……」
夫?……そこまでの関係になった記憶はないが……まあ、今はスルーしておこう
「別にそれくらいで幻滅したりはしないよ。それに、こうして面会に来てくれていることには本当に感謝してる……家族以外に面会に来てくれるのはお前くらいだし」
俺がそういった瞬間――美羽は納得できないような表情を浮かべてバツが悪そうに目をそらしながら話し始める
「私、くらい??……ん?……そんな……私だけではなくて……私くらい……って!まさか、あいつらが……だとしたら……!!」
その声はどんどん早く小さくなっていき、途中から聞き逃した俺はたまらず聞き返す――が、
「う、ううん……何でもないよ!こっちの話、さあ!もうお昼の面会時間も終わっちゃうし早く食べよう!!ほらっ、あーーーん!」
「別に自分で食べられるって」
「いいから!いいから!私が食べさせてあげるっ」
「そう、じゃあ……お言葉に甘えて……ん、普通に食べるより……倍美味しい」
「えぇーー!!うれしいこと言ってくれるねぇ、そんな悟には今度私の女体盛りも食べさせてあげる!」
「そ、それは遠慮しておこうかな……」
「何で?良くない?」
「良くない」
「こんなに可愛い幼馴染の女体盛りだよ?」
「自信があるのはいいことだけど、遠慮しとくよ」
何だか勢いでごまかされてしまった気もするが……まあいいか、美羽のあんな表情もあまり見たくないしな
「じゃあ!私もう行くから!」
弁当を食べ終わると美羽は元気よく病室を出ていった
――それと同時に、俺のパスワードを忘れていて開けずにいたスマホが鳴った。
画面を見るとメッセージアプリにDMが届いていた
◆◆
美羽視点――
「悟、今日のお弁当は美味しい?」
私がそう聞くと悟は爽やかに、そして嬉しそうに答えてくれた
良かったぁ……早起きして愛情を込めて甲斐があったみたい
「……幼馴染、か」
やはり悟は記憶が戻っていないみたいで昔のことは全く覚えていないらしい……けど、事故が原因で引き起こされたこの現状自体は私からすれば何かと都合がいい
「そうだよ!私達は恋人同士なんだから!!」
「そう……だったんだよな」
「うん!そうそう!」
お陰でこの話もすんなり信じてくれている
「だから、さ……」
私が悟の腕を強引に掴んで無理やり胸を触らせたら、悟は顔を真っ赤にして反応してくれた。やっぱり動揺している悟も可愛いくて……大好きだ
前ならこんな事をしても嫌がるだけだったのに、今の悟は違う――そう、違うんだ
その後、ちょっと意見が違ったりもしたけど、図らずも入れる事になった私の血が入った弁当も悟は笑顔で食べてくれた
やっぱり今の悟は私を大切に思ってくれている
「別にそれくらいで幻滅したりしないよ……それに、面会に来てくれていることには本当に感謝してる」
そして、こうして優しい言葉をかけてくれる。本当なら感謝なんてする必要ないのに、女である私が男である悟の役に立つことなんて……この世界では当然のこと
なのに褒めてくれる悟はとても魅力的だ――
そんなことを考えていると悟の口から信じたくない言葉が出た
「……実際、こうして面会に来てくれるのはお前くらいだしな」
ん……は?私……くらい!?は?……この病院は私の家が管理している……だから皆には私以外のあの学校の女メスブタ達が悟に接触してこようものなら追い返せと伝えていたのに……なのにっ!
何故!?……これじゃあ、折角事故のどさくさに紛れて悟を淑女学校に転校させて、物理的にもあいつらとの距離をとった意味がないじゃない……!!
まあ、いいわ……いずれにしても、このまたとない悟を完全に、私だけのものにできるチャンス……最大限に生かすためにも誰にも邪魔はさせない……!!!
俺が指摘すると美羽は驚いたような表情を浮かべて少し動揺しながらも答えた
「あっ……えっ……と、これは……うん、なんでもないよ?気にしないで……」
「いや、気にするよ。昨日まではそんな傷なかったはずだけど……何かあった?」
「……君ってさ、明日から退院して学校に通い始めるよね」
「そうだね……ようやく明日から行くよ」
「だから私、精が付くようにって張り切って……」
張り切ってって……美羽のやつ張り切りすぎて、まさかこの弁当に血とか入れてないよなぁ……もし入ってたら普通にドン引きだが
「頑張って料理してたら……手を切ってしまったの」
「いや普通に切っただけかい、何で勿体ぶったんだよ」
「それはっ、夫の君に料理が下手だって幻滅してほしくなくて……」
夫?……そこまでの関係になった記憶はないが……まあ、今はスルーしておこう
「別にそれくらいで幻滅したりはしないよ。それに、こうして面会に来てくれていることには本当に感謝してる……家族以外に面会に来てくれるのはお前くらいだし」
俺がそういった瞬間――美羽は納得できないような表情を浮かべてバツが悪そうに目をそらしながら話し始める
「私、くらい??……ん?……そんな……私だけではなくて……私くらい……って!まさか、あいつらが……だとしたら……!!」
その声はどんどん早く小さくなっていき、途中から聞き逃した俺はたまらず聞き返す――が、
「う、ううん……何でもないよ!こっちの話、さあ!もうお昼の面会時間も終わっちゃうし早く食べよう!!ほらっ、あーーーん!」
「別に自分で食べられるって」
「いいから!いいから!私が食べさせてあげるっ」
「そう、じゃあ……お言葉に甘えて……ん、普通に食べるより……倍美味しい」
「えぇーー!!うれしいこと言ってくれるねぇ、そんな悟には今度私の女体盛りも食べさせてあげる!」
「そ、それは遠慮しておこうかな……」
「何で?良くない?」
「良くない」
「こんなに可愛い幼馴染の女体盛りだよ?」
「自信があるのはいいことだけど、遠慮しとくよ」
何だか勢いでごまかされてしまった気もするが……まあいいか、美羽のあんな表情もあまり見たくないしな
「じゃあ!私もう行くから!」
弁当を食べ終わると美羽は元気よく病室を出ていった
――それと同時に、俺のパスワードを忘れていて開けずにいたスマホが鳴った。
画面を見るとメッセージアプリにDMが届いていた
◆◆
美羽視点――
「悟、今日のお弁当は美味しい?」
私がそう聞くと悟は爽やかに、そして嬉しそうに答えてくれた
良かったぁ……早起きして愛情を込めて甲斐があったみたい
「……幼馴染、か」
やはり悟は記憶が戻っていないみたいで昔のことは全く覚えていないらしい……けど、事故が原因で引き起こされたこの現状自体は私からすれば何かと都合がいい
「そうだよ!私達は恋人同士なんだから!!」
「そう……だったんだよな」
「うん!そうそう!」
お陰でこの話もすんなり信じてくれている
「だから、さ……」
私が悟の腕を強引に掴んで無理やり胸を触らせたら、悟は顔を真っ赤にして反応してくれた。やっぱり動揺している悟も可愛いくて……大好きだ
前ならこんな事をしても嫌がるだけだったのに、今の悟は違う――そう、違うんだ
その後、ちょっと意見が違ったりもしたけど、図らずも入れる事になった私の血が入った弁当も悟は笑顔で食べてくれた
やっぱり今の悟は私を大切に思ってくれている
「別にそれくらいで幻滅したりしないよ……それに、面会に来てくれていることには本当に感謝してる」
そして、こうして優しい言葉をかけてくれる。本当なら感謝なんてする必要ないのに、女である私が男である悟の役に立つことなんて……この世界では当然のこと
なのに褒めてくれる悟はとても魅力的だ――
そんなことを考えていると悟の口から信じたくない言葉が出た
「……実際、こうして面会に来てくれるのはお前くらいだしな」
ん……は?私……くらい!?は?……この病院は私の家が管理している……だから皆には私以外のあの学校の女メスブタ達が悟に接触してこようものなら追い返せと伝えていたのに……なのにっ!
何故!?……これじゃあ、折角事故のどさくさに紛れて悟を淑女学校に転校させて、物理的にもあいつらとの距離をとった意味がないじゃない……!!
まあ、いいわ……いずれにしても、このまたとない悟を完全に、私だけのものにできるチャンス……最大限に生かすためにも誰にも邪魔はさせない……!!!
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