天秤の絆 ~ベル・オブ・ウォッキング魔法学園~

LEKI

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本編

本編ー16.5

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 疑問ではあった。
 だが、質問するのは簡単だけれども、曲がりなりにも一応研究者の端くれ。まず自分であれこれ考えてみた結果、単純に、本人――もとい、本精霊の力の強弱が関係している可能性が高いと言う結論に至った。
 過去の資料や、会話が可能な精霊達から話を聞いた限り、地名などをそのまま名前として冠する精霊達が多いから、が理由だ。

「五大陸の大陸王族はそれぞれの大陸統括大精霊から祝福を貰ってて、ウチのクソババアも貰って……や、アレは貰うっつーか押し付けられた、だよな?んでフォルス……カペラ家、と。俺の知ってる中だと七件しかないけど、それでも事例としては十分多いよなぁ……」
≪まず、大陸王族が大陸統括大精霊に祝福されていると知っている者も少ないからな。夢物語程度の認識でしかない≫
「リアルさで言ったら、やっぱうちの大ババが一番か」

 夜。ユヅキ達と分かれて寮の自室に戻ったナギトは、いつも通り、自分の研究に没頭していた。
 パーティ用アイテム、パルス・ウォークスや、赤いイヤーカフ状態になっているヴェルメリオをベッド脇に置かれたサイドチェストの小物入れ用の小物入れに置いて。
 耳に装備していないと効果を発揮しないパルス・ウォークスとは違って、会話が成り立つヴェルメリオは、一人で研究する事の多いナギトの話し相手であると同時、相談相手を兼ねていた。
 紙の余白にカリカリと文字を書き込みつつ、ため息交じりにナギトはローテーブルに頬杖を突き、息を吐く。備え付けの勉強用のテーブルは使わず、ベッドに背中を預ける形で床の上に座り、ローテーブルの下で胡坐を掻く。
 そんなナギトの周囲には沢山の紙や書物が散らばり、文字通り足の踏み場もないと言った状況。
 けれど、部屋の主であるナギト本人から言わせてもらえれば、どこに何が置いてあるか把握しているらしいのだから、真偽のほどは不明。
 中心を開けたまま、紙の上半分に五大陸の大陸王家、大ババ、カペラ家と三つの名前を書いていく。それぞれを何重にもぐるぐると丸を描いて囲んで、中央に向けて矢印を描いて、矢印が集中した先に書く文字は、契約祝福。
 そこから下に向けて矢印を書いて、首を傾げて考える素振りをしながら、契約祝福の文字の下に仮説を書き込む。
 検証材料がもっと欲しい、なんて我儘だとわかっていても零してしまうのは、ナギトが研究者故に。それでも、ある一つの仮説を導くには十分か。

 契約祝福の下には、一定の強さを持つ精霊は、精霊術師と契約していなくても人間との会話が可能であり、姿を認識させる事も可能、と、疑問符付きで。

「グラールと初めて逢った時……覚えてナイんだよなー……。覚えてたら、話してたかどうかわかるのによー……」
≪正直、を明確に覚えていたら、オマエの記憶力に感服しているところだ。まだ五歳の幼児だった上に、何よりもは死ぬ寸前だったんだ、普通は無理だろう≫
ってヤツだわな」

 ため息交じりに呟き、左手で持っていた万年筆をインク壺に放り込む。胡坐を掻いていた足を正面に投げ出し、ベッドに背中だけでなく、部まで預け、見上げる天井。再度吐き出す息は重く床の上を転がり、どこか疲れたような気配すら漂わせている。
 まあ、ずっと頭を使い続けていたのだ、疲れていても当然だけれど。
 天井の、照明用の魔道具を見つめ、それから、目を閉じて、思い出す。

 当時まだ幼く、自分は五歳、ユヅキは二歳だった頃の、

 違和感、だったんだろうか。
 ソワソワとして落ち着かなくて、不安になる。迷子になるとは、また違う感じ。幼い子供の語彙力では、上手く語れず。それ以前に、ナギト自身、当時の記憶が飛び飛びである事に気付く。
 それだけ衝撃的で――衝撃的の一言で片付けて良いのかわからないくらいの、出来事だった。

 ナギトが眉を顰め、黒い眼帯をしている右目を右手で押さえる。
 痛みはない。もう十年以上も前の話だ、痛みを感じたとしても、それは幻肢痛のようなものだと、ナギト自身わかっている。勘違いだ。
 それでも、右目が疼いているように感じるのだから、これでイライラしない訳がない。だからと言って、誰かに八つ当たりをする事はないのだから、まだマシだと言える。
 不愉快そうに眉を顰めていたナギトだが、しかし途中であ、と声を上げ、体を起こして振り返る。見るのは、イヤーカフ型のヴェルメリオが載っている小物入れ。真っ直ぐに見つめるのは――当然ヴェルメリオ。

「でも、まだゆづと契約してないハズなのにヴェルメリオの声は聞こえてたのははっきり覚えてる。断言出来る」
≪ああ……俺は人由来の精霊だからな。契約してなくても人間の言葉はわかるし、会話も可能だ≫
「そこが大きいよなぁ。てか、そもそもが存在するのも衝撃的だったわ」
≪魔剣の精霊自体は知られていたが、基本的には噂の域を脱しない状態だったな。噂と言うよりもそれこそおとぎ話か何かだと思われていた気がする≫

 そりゃそうだ、なんて。ベッドに両腕を乗せてバランスを取りながら頷くナギト。
 だってそもそも、人が精霊を生み出すだなんて誰が想像出来るだろう。まあ、精霊と言う呼び名でなければ、可能性は――と考えたところで、あ、とナギトは声を上げる。
 体を起こし、きょろきょろと室内を見渡す。記憶の片隅、色々読み漁った本の中に、引っ掛かる記述があった気がする。大図書館から借りたもので、まだ返却した覚えはない為、室内にある筈だ。

「確かアレ、ジョサニアの記述だったよなー」

 言うとナギトは、ベッドの脇から立ち上がり、僅かな床の隙間に足を置き、部屋の中を進む。その動きを見ていたヴェルメリオが思わず、器用だなと零してしまうくらいには、本当にナギトは器用に足の踏み場がない程に散らかっている室内を歩いていた。
 そうして辿り着いた、ジョサニア大陸関連の書物を置いている辺り。適当に本を積んで出来ている本の山の一つ。上から三番目の本を手に取り、左手で本を開きつつ、右手で本の山を崩さないように元に戻す。

「えーっと……あー、コレだコレ。ジョサニア大陸だと、『ツクモガミ』が、ヴェルメリオみたいな『人由来の精霊』と見るコトは出来るかもな」
≪ふむ……?≫
「長く……この本だと百年くらいか?使い古された道具……に、魂が宿って、ヨーカイ……多分コッチで言うモンスターだな、それか神になる、みたいな考え方だ。ジョサニア大陸は『精霊』を『神』として捉えてるコトを考えると……この『ツクモガミ』が『人由来の精霊』の可能性は高い。ジョサニアは他の大陸との交流がほとんどなくて、自分の大陸内でなんとかしなきゃいけなかったからな、それで物は大事に扱えって考えを広める為に、そんな話が出来たのかもな」
≪……この惨状の中、よく本を読みながら歩けるな……≫

 左手で本を開き、目で文面を追い、零す独り言。そのまま、さっきまで自分が居たベッドの横まで戻り、ローテーブルの下に両足を滑り込ませながら腰を下ろす。面白い事に、この間ナギトは一度も本から顔を上げておらず、周囲を確認する事無く座ったのだ。器用にもほどがある。
 後日ヴェルメリオが話の種として語ったところ、ナギトが使う寮の部屋の状態を知らないミナギには首を傾げられたが、惨状を知っているユヅキは生で見たかったと悔しがっていた。
 まあ、その話をきっかけにミナギがナギトの寮の部屋を訪れる事になるのだが、それはまた別の話。

「他の大陸だと話の伝え方も違うから、まだ見落としあるかもなぁ。くっそたいぎい」
≪なんて言いながら、楽しそうじゃないか≫

 ベッドに背中を預ける形で床に座っているナギトの顔を、サイドチェストの上に居るヴェルメリオが見る事は難しい。見えたとしても、後頭部しか見えていない状態だ。
 それでも、今のナギトが楽しそうな顔をしているとわかるのは、付き合いの長さゆえに。
 楽しそうだと言われた事は否定せず、軽く肩を竦めるだけで返すナギト。
 ローテーブルを引き寄せ、本を右手に、左手に万年筆を握り、新しい紙にツクモガミを人由来の精霊と仮定した場合の理論を素早く書き記していく。
 あくまでも仮説だし、確証なんてないけれど。仮にそうだと仮定すると、魔剣の精霊の存在に説明はつく。ヴェルメリオ以外にも魔剣の精霊は居ると言われているし、他にも人由来の精霊の存在はいくつか確認されている――らしい。
 ただ、明確なものはナギトが知る限り一件のみで、それ以外は実際に見て見ないとなんとも言えないのが現状。

「今すぐジョサニア行きたい。一ヵ月くらい」

 思わず真顔でナギトがぼやいてしまうのは、ある意味仕方ない。
 けれど実際問題、それは難しい。理由は、いくつか存在する。大陸間の移動方法は確立されていて、人の行き来もあるものの、まだ学生の身分であるナギトにジョサニア大陸への移動はハードルが高い。かなり。
 一ヵ月もの長期間学園から離れるなら、特殊な指名クエストを発行してもらう必要があるが、それは実績を積み、学園内外で一定以上の評価を得た熟練の学生パーティでなければ不可能なわけで。
 ネグロ・トルエノ・ティグレ討伐や、出待ち賊の捕縛に、ゴブリン・パレードの阻止と、一年生だけのパーティにしては桁外れの実績を積んでいるものの、だからと言ってジョサニア大陸に行く為の特別指名クエストが発行されるかどうかと考えれば、可能性は限りなくゼロ。
 ナギトが一人だけで行くにしても、結局、あの学園長であるセシリアに頭を下げる必要がある。

≪あの人に借りを作ると面倒なんじゃないのか?しかも、特殊な指名クエストになれば、余計に面倒だろう≫
「そう!!ソコが問題!!あの大ババに頼み事したら、絶対後からたいぎいコトなる!!」

 ヴェルメリオの言葉に、ぐるんっとナギトが振り返りながら叫ぶ。
 その顔は鬼気迫る表情で、ジョサニア大陸にはめちゃくちゃ行きたいけど、あのセシリアに借りを作るような真似は絶対にしたくない、と何よりも饒舌に語っている。苦労するなとヴェルメリオが苦笑してしまうのも、当然。
 同時に、こう言う時は本当に研究者らしい表情を見せるなと目を細める。イヤーカフ姿のままだけれども。

≪行きたいのはジョサニアだけか?≫
「チェルシェニー大陸も行きたいな。アッチは『精霊』を『妖精』として捉えてるから、多分感覚的には近い。あ、でもソグルロナ大陸も行きたい。フォルスの契約祝福に関して、直接カルブンクルスから話聞きたい。一応『契約』してるわけだから、精霊術師じゃなくても会話が成立するハズだしな」

 ユヅキに頼めば、仮に相手が未契約の精霊でも会話は可能。それはナギトも重々承知。けれど、実際精霊と話をする時は、通訳してもらうその時間すら惜しいと思ってしまう。ヴェルメリオを筆頭に、会話が成立する精霊達が傍に居れば、尚更。

 贅沢になってしまったものだ。
 精霊術師でもなく、未契約の精霊を見る力も、会話する力も持たない魔法剣士。そんな自分が精霊に関する研究者をやっている時点でおかしな話なのに。ユヅキの通訳なしで会話をしたいだなんて。
 ユヅキの言動メモを見た彼女が、「コレ面白いな!論文として報告してみたらどうだい?」なんて言い出さなければきっと、今こうして本の山に埋もれている事もなかっただろう。人生どう転ぶかわからないものだ。
 まあ、まだ十歳そこらの子供の書いたものを論文として提出しようなんて酔狂な事を考える人間なんて、早々居ないだろうけど。

 はーやれやれと、自分に向けて零すため息一つ。
 結局、なんだかんだと言って今でも精霊や精霊術、精霊術師に関する事をあれこれ調べているのだから、楽しんでいるのかもしれない――と、冷静に自分の事を分析しつつ、また万年筆をインク壺に放り込む。
 そして部屋を見回して、右手でがりがりと頭を掻くナギト。
 また研究のメモや走り書きが増えて来た。これを纏めて研究書として報告するのに、どれだけの時間が必要だろう。
 今までのクエスト報酬を授業の単位に変えている為、多少は余裕があるものの、研究を纏めるのにどれだけの時間がかかるかわからない以上、もう少しクエストをクリアして余裕を持たせた方が良いか。明日ユヅキやミナギと相談しよう。

「あーあ……研究だけしときたい……」
≪だが、実際研究ばかりしていたら、体を動かしたくなるんだろう?≫
「そう。ばちくそに暴れ回りたくなる……て、あー……ヤバイ、アイツ等とおんなじコト言ってないか?」

 両手で顔を覆った後、そのまま前髪を掻き上げるようにして両手を頭の上へ。指の間から零れ落ちたスカイグレーの前髪が、パラパラとナギトの顔にかかっていく。少し、うざったい。
 目を閉じてうーんと考え込んだ後、レッグバッグタイプのアイテムバッグに手を伸ばし、引っ張り出すのは、ヘアゴム。しかも、大きめの白いポンポン飾りが二つと小さな鈴が付いた、どう考えてもナギトが使うには可愛らし過ぎるヘアゴムだ。
 しかしナギトは特に気にした様子もなく、大雑把に前髪を集め、そして飾り付きのヘアゴムで纏める。うん、これで善し。
 そのまま何事もなかったかのように万年筆を手に取るナギトに、それで良いのかと思わず心の中でツッコミを入れてしまったのは仕方ない。

≪……また随分と可愛らしいものを持ってるな≫
「ゆづに『持っててー』て言われたヤツ。多分もうゆづも忘れてんじゃねぇの?」

 忘れている可能性はあるが、だからと言ってそれを普通に使っているのはどうなのか。否まああのユヅキだから、特に文句を言う事もないだろうけれど、可愛いものをそのまま使う事に抵抗がないナギトの方に驚いてしまう。
 本人としては、使えればそれで良いと言う感覚かもしれない。
 ナギトらしいなぁ、なんてヴェルメリオが見守っていると、ふと思い出す事が、一つ。

≪そう言えば、ロディッキ大陸には行かないのか?≫

 ついさっき、ナギトが行きたい大陸として名前を挙げたのは、ジョサニア、チェルシェニー、ソグルロナの三つ。今居る大陸はグラナディールで、唯一名前を挙げていない大陸が、一つだけある。ロディッキ大陸だ。
 なんとなく、本当になんとなく、ナギトが行きたがらない理由は知っているけれど、一応訊いてみるか。

≪さっき、ロディッキ大陸の名前が出ていなかったな≫

 ヴェルメリオが訊いた瞬間響く、ナギトが鼻でハッと笑った声。嘲りと侮蔑の色が濃いそれは、間違いなくナギトから発せられたもの。
 顔は、見えない。ヴェルメリオから見えるのは、ナギトの後頭部のみ。
 それでも、今ナギトがどんな表情をしているか、わかる。燃え上がるような激しい怒りではなく、凍り付くような冷たい怒り。

「ロディッキ大陸なんて、大陸王家自体が契約祝福の存在忘れてんじゃねーの?なんてったって、だからなぁ?」

 グラナディール大陸を筆頭にした、ジョサニア大陸、チェルシェニー大陸、ソグルロナ大陸の四つは、大陸を治め、周辺の諸国とも対等で平等な関係をもって統治している。それに対して、一番大きな大陸であるロディッキ大陸は、圧倒的な武力をもって従わせる体制。
 風の統括大精霊であるシエロの話を聞く限り、既にロディッキ大陸王の――向こうの言い方に合わせるなら、皇帝か。その家臣に、精霊術師が居ないらしい。
 ただの、文字通りの風の噂と流せれば良いが、精霊は嘘を吐かない。吐く必要がないから。それを考えると、既に精霊術師を部下から廃したロディッキ大陸の皇帝は、精霊との交流がほぼゼロとなる。シエロいわく、皇帝本人には精霊術師の素質は何一つ備わっていないらしい。家臣である人間達も、また同じく。
 そうなると、精霊達の扱いが向こうの大陸でどうなっているのか、想像に難くない。とてもじゃないが、ユヅキには話せない。
 だからだろうか。シエロも、他の精霊達に緘口令を敷いていると言うし、グラナディール達も、しばらくは話すつもりはないのだろう。

 まあそもそも、これはいつもの学園で受けるクエストの範疇を大きく越えた話。
 仮にユヅキに話したところで、じゃあどうにかしよう、なんて事は出来ない。もしどうにかしようなんて話になれば、国の政治にまで首を突っ込む話になるから。
 それでも多分、ユヅキは動こうする筈だ。だってユヅキにとって精霊は、家族も同然。ヘタにこの話をすれば、きっと、ユヅキは声を上げる。あの大陸に居る精霊達の為になんとかしようと声を上げる。
 もしそれをやれば負担がかかるとわかっていても、無茶だとわかっていても、あのユヅキはやるだろうから。だからこそ黙っていようと、シエロやグラナディール達と相談した結果、決まった話。

「ミナギがロディッキ大陸出身だって知った時は、どーしたもんかと思ったけど、アイツはその辺話知らんみたいだし、助かったな」
≪知っていたとしても、家の事とあいまって、余計に嫌いになっていただけな気もするが≫

 それはそう、俺でも嫌いになる。そう続く言葉にヴェルメリオも頷く。
 だが、しかし――。

 きっと、このまま行けばいずれあの大陸と向き合う事になるだろうな、と――この時のヴェルメリオの予感は、残念ながら当たってしまうのだった。
 大陸を越えた、一つの国家を根底から揺るがす大事件として。
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