僕の彼女は、男子高校生

ぱるゆう

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アキノのボディーガード 3

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大学がある駅とは違う駅の改札前で待ち合わせをした。

デートというか、女性と待ち合わせをしたことがない勇吏は、先に着いて待つことにした。しかし、身体がフワフワして落ち着かない。ひたすら改札の中をじっと見ていた。

勇吏自身は、余裕もなく気づいていなかったが、周りの女性からチラチラと見られていた。

すると、改札の中に大勢の人が歩いてきた。電車が到着したらしい。

多くの人の中でも、アキノは一際目立っていて、すぐに分かった。

アキノも改札の中から、一際目立っている勇吏をすぐに見つけた。

2人の視線はすぐに合った。

勇吏は歩き出して、アキノが改札を出る前に中に入った。

「おはようございます」と勇吏は緊張気味に言った。

「おはようございます。由紀さんが無理を言ってすいません」とアキノは少し頭を下げた。

「いえ、気にしないでください。でも、僕自身、彼女いたことないんで、何をしたらいいか分からないんですけど」

「えっ!そうなんですか!」

「あれ?聞いてないですか?由紀さんには言ったんですけど」

「好きな人がいるって。てっきり彼女かと思ってました。いないなんて、意外です」

「そうですか?僕にはよく分かんないんですが」

「まぁ、とにかく行きましょうか。講義始まっちゃうんで」アキノは先に歩き始めた。

「はい」勇吏も後を追った。

すぐに来た電車に乗り込む。

「大学、どこなんですか?」

「帝都大です」

「えっ!凄い!」

「そんなことないですよ。勇吏さんはアメリカの大学なんですよね?」

「産まれたのも向こうなんで。両親は日本人なんですけど」

「そうなんですか。英語は話せるんですよね?」

「それは普通に。家は日本語、外は英語。それが当たり前だったんで」

「そんなもんですか?」

「そんなもんです」

2人は少し笑った。

「アキノさん、学部は?」

「法学部です」

「えっ!僕もそこを目指してます」

「あっ、嬉しい!

「ただ、一年では、専門的なものがなくて、3年になったら選択するつもりです」

「アメリカって、そうなんですね」

「えぇ」

2人は気づいていないが、かなり周りから注目されていた。一人だけでも目立つから、仕方ないのだが。

そうして、アナウンスが、次は帝都大のある駅だと告げた。

「どうしたら、いいですか?」と勇吏は心配になって聞いた。

奢らず、逆に卑屈になるわけでもなく、素直に話す勇吏に、アキノは好感を持った。しかも、数多くの告白を断っているに違いない。その中で、私が初めてなのだ、悪い気はしない。

「すいませんけど、腕を組んでいいですか?嫌だったら、断ってください」

「いえ、約束はきちんと果たします。ここまで来て、失敗はしたくないんで」と勇吏はドキドキしながら言った。

「ありがとうございます。なんて呼んだらいいですか?」

「えっ!あぁ、ゆ~くんって母には呼ばれてるんで、それで」

「分かりました。私は、あ~ちゃんって呼んでください」

「はっ、はい、あっ、あ~ちゃん」と勇吏は緊張しながら言った。

「フフフッ、ゆ~くん」とアキノは笑顔になった。

「じゃあ、腕組みますね」とアキノは勇吏の左腕と身体の間に、自分の腕を入れた。

勇吏は左の肘を浮かせた。
「ダメですよ。普通に降ろしててください。不自然です」

「わっ、分かりました」
腕を堕ろすと、アキノの身体が少し密着した。勇吏は固まった。

「ダメ。普通にして。ほら、深呼吸」

「ふぅ~」と勇吏は息を吐いたが、まだ固い。

「お父さん、あんなに女性慣れしてそうなのに」

「あの人は女性関係に緩すぎなんだ」

「そうなの?確かにモテそうだったけど。でも、それは、ゆ~くんも同じだよ」

「えっ!僕は見かけ倒しなんだよ」

電車が止まり、扉が開いた。アキノが腕を引っ張りながら降りる。

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