僕の彼女は、男子高校生

ぱるゆう

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番外編 アキノのボディーガード 4

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勇吏は男の両腕と両足を椅子ごと斬った。

頭と胴体だけになった男が床に落ちた。

「ほら、手足がないのに痛くもない。もうお前には、この腕も」
勇吏は2つの腕を取り、
「必要ない」神聖魔法で消した。

「あぁ~」と男は震えた声で言った。

「この足も必要ない」同じように両足も消した。

「わぁ~」と男が叫び声を出した。

天井にぶつけて転がった男に近づいた。一人は既に死んでいた。
「何だよ、運がいいな」

もう一人は気絶しているだけだったので、少し力を入れて、背中を蹴った。

逃げようとした2人を浮かせて、近くに置き、同じように背中を蹴った。

3人が呻きながら目を覚ました。

「楽に死ねると思うな」勇吏は冷徹に言った。

3人は恐怖に怯えた目をしたが、身体は言うことを聞かない。

勇吏は3人も同じように、両腕両足を斬って、目の前で消した。

「どうしてこんな酷いことを!」一人が叫んだ。

「そう、女の子達は言わなかったのか!それを聞いて、お前達は止めたのか!」勇吏は怒気を込めて言った。

男達は黙った。

「これから、お前達を富士の樹海に置き去りにする。まだ野生の獣達がいるらしいから、美味しく召し上がってもらいなさい」勇吏は楽しそうに言った。

「そんな!ここで殺してくれ」

「ダメだ。女の子達が感じた恐怖と絶望と痛みを、たっぷりと味わうんだ。狩られる側の気持ちを、その身体に刻み込め」また怒気を込めて言った。

勇吏は亜空間を作った。
そして、一人ずつその中に放り込んだ。既に死んでいた奴も。

「じゃあ、誰が先にやられるか分からないけど、その隙に逃げるんだよ」勇吏は明るい声で言った。

「うわぁ~、助けてくれぇ」と全員が叫んだが、勇吏は亜空間を閉じた。

「さてと、これで終わりだ」とドアに向かった。

すると、ドアの脇で、案内した男が、体育座りをしながら、オデコを膝につけて、両手で頭を抱えながら震えていた。

この男のことを忘れていた。
「ねぇ」と勇吏が声を掛けると、
「ひぃ~」と男はさらに小さく身を屈めた。

「約束だから、殺さない」

男は少しだけ顔を出した。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
「ホント?」

「だけど、僕のことを覚えてられるのは困る」

「誰にも言わない!もちろん警察にも!」男は顔を上げらながら、土下座になった。

「信じてあげたいんだけど」勇吏は男の額を掴んだ。

「殺さないで」男はまた涙を流した。

「中学生からやり直すんだ」
勇吏は男の記憶を消した。男の目が白目になり、倒れた。

「よし、今度こそ帰るか」

「勇吏、まだやることがある」

「えっ?誰も残ってないよ」

「女の子達の動画を消すんだ。オヤジはそうやった」

「えっ!そんなのどうやって?」

「まぁ、それはナビゲーションシステムを持ってないお前じゃ無理だ。オヤジに頼め」

「ここまでやったのに?」

「勇吏、やるんだ」

「分かったよぉ」

勇吏は亜空間を作った。その先では、貴之がトキノの脇で寝ていた。

「父さん、起きて」と貴之の体を揺すった。

「何だ、終わったのか?」

「うん、懲らしめるまでは終わったんだけど。オリオンが動画を消せって」

「あぁ、そうか。ナビちゃん、頼める?」

「もちろんですよ。マスター」

「うん。勇吏、行こう」

2人は亜空間を通った。

貴之は倒れている男を見つけた。
「そいつはいいのか?」

「最近の記憶を消したから」

「そうか」貴之は興味がなさそうに言って、パソコンのある机に座った。

「ナビちゃん、お願い」

「はい、マスター」貴之の手がキーボードの上で高速に動いた。

「父さん、凄い!」勇吏が感嘆の声を上げた。

「そうだろ、と言いたいところだが、やってるのはナビちゃんだ。僕は何もしていない」

「そうなんだ」

しばらくして、
「マスター、動画の削除及びサイトの閉鎖が終了しました」

「ありがとう。後は」

貴之は机の上や引き出しを物色した。

「何もないな」

「マスター、もしかしたらパソコンの中に保存してるかもしれません。もう一度やります」

「うん、頼んだ」

また貴之の手が高速で動いた。

「まだ、何かするの?」

「女の子の情報や、動画を買った人の情報を探している。完全には消せないが、なるべく被害を少なくするんだ」

「へぇ~、父さんが考えたの?」

「それに関してはそうだ」

「ふ~ん、優しいんだね」

「女の子達は何も悪くない。苦しむ必要はないんだ」

「マスター、両方ありました。購入者に、またウイルスを送りますか?」

「うん、お願い」

またしばらく手が高速で動き、
「マスター、終わりました」

「よし、後は、このパソコンを海に沈めよう」

貴之は小さい亜空間を作り、その中にパソコンを放り込んだ。

「よし、僕達ができるのは、ここまでだ。帰るぞ、勇吏」

「うん」

亜空間で帰った。

「父さん、オリオン、ありがとう」と言いながら、勇吏は指輪を外した。

貴之は受け取って、指輪を目の前に持って来た。
「オリオン、楽しかったか?」

「勇吏は剣の修業が必要だな」指輪は点滅しながら言った。

「まぁ、そう言うな。タクティクスの域になるのは無理な話だ」

「それもそうだな」

「そうだよ。無理な話だ」と勇吏が不満気に言った。

貴之は勇吏の頭を撫でて、
「父さんは守れなかった。お前は、お前のやり方で、ちゃんと守るんだ」

「分かってるよ。もう子供じゃないんだ」勇吏は貴之の手を掴んで、頭から下ろした。

「あぁ、そうだな。おやすみ」

「おやすみなさい」勇吏は寝室を後にした。
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