魔法も剣も身長も最低とバカにされている僕が実は世界最強である理由

ぱるゆう

文字の大きさ
15 / 36

会議2

しおりを挟む
 ハルカは城の門の前に降り立った。

 門兵が扉をすぐに開ける。

「先生、恥ずかしいから、下ろしてくれませんか?」

 先生は、僕をギュッと抱きしめてから、下ろした。

「さぁ、行くわよ」先生は顔を背けながら先を歩いた。

 先生、泣いてる?何で?僕は不思議に思いながら後をついて行った。

「ふぅ~」先生は大きく息を吐きだしてから、笑顔を向けた。

「さっ、みんないるから」

「えっ、ハナエ様達だけじゃないんですか?」

「だって、Fランクって珍しいじゃない?」

「僕は珍獣じゃないですよ!」

 先生は無視をして扉を開き、中に入っていった。
 僕は深く溜息をつき、恐る恐る開かれた扉の中を覗いた。

 全員と目があった。僕は反射的に顔を引っ込めた。

「本当に小さい子供じゃないか!」とボソボソ話す声が聞こえた。

 小さい子供!僕は少し腹が立ってきた。僕はこの中の誰にも負けないんだ。

 僕は決心して、中に入った。今度は、誰とも目が合わなかった。

「みんな、ユウタよ」

 また全員の目が向けられた。
「あぁぁ」僕は、腰が引けていた。



「あぁ、ユウタ君」

 僕は声のした方を向いた。そこには覆面を被った男がいた。

 僕は満面の笑みになった。

「もしかして、シノビ様ですか?」

「あぁ、そうだが」

「うわぁ、僕、シノビ様が一番好きなんです!」

「えっ、私を」

「戦闘は、もちろん真似できないですけど、正確な戦略を練る分析力、状況に応じて作戦を捨てる柔軟性、決断力、新たな状況に応じる対応力、そしてメンバーを動かす指示力。僕も必死に勉強して、一つでもできるようになればいいなぁって、目標にしています!」僕は興奮気味に話した。

「フフフッ、私が・・・、フフフッ」みなはもう驚かず、あの覆面の下で、この男は満面の笑みを浮かべているに違いないと思った。
そして、紋様は確かに間違いないのだが、昔一緒に戦った人と、本当に同一人物なのか疑い始めていた。

「うっ、うん」シノビは咳払いをした。

「君はうたを唄うんだよね?」

 僕の笑顔は引き攣った。そして、すぐにハルカ先生の顔を見た。

「豊穣のうたよ」

「あぁ」そうか、そっちかと思い、安心した。

「唄ってみてくれるかな?」

「先生から聞いてないですか?人間には聞こえません」

「うん、分かっている」

「分かりました」僕はこっちなら問題ないと思い、頭の上から声を出し、唄い始めた。

 ツクシとギンノジョウは何かを感じたらしい。その他では、会議室内に置かれていた植物が花を咲かせた。

 僕は唄うのを止めた。
「まさに神様の力です」とツクシは言った。

 僕は声のした方に振り向いた。
「もしかして、ツクシ様ですか?
あぁ、本に書かれている以上に、なんて優しそうで可愛らしいお姿なんですか!
 パーティでは、ツクシ様がいらっしゃるから、みんな負傷することを恐れずに敵に向かっていける。
 本当に素敵な信頼関係!ツクシ様ご自身と同じく、本当に素敵です」とまくし立てた。

「あら?私には神様がいるのに、もう!」ツクシは赤くなった。

「あぁ、また可愛らしい!」

「もう!私には神様がいるから!」


 この僕の行動にビックリしたのは、他でもないハルカ先生だ。
 何よ!私のユウタなのに!  


僕は有頂天になり、視線を移した。そして、すぐに跪いた。
「気づかなかったとは言え、失礼いたしました」と頭を下げた、

「よいよい、私はオマケみたいなものだ」

「いえ、王様が王様としていらっしゃるからこそ、この国は長く繁栄していると、いつも感謝しております」

「おぉ、そうかそうか」王様は満面の笑みを浮かべた。


「うっ、うん」咳払いが聞こえた。

ユウタが顔を向けると、モンドだった。

また僕は立ち上がり、
「うわぁ、モンド様てすよね!この中で一番勇気のある戦士!本より実物のほうが何倍もカッコいいです」

モンドは満足げに頷いている。

「傷を負うことを恐れずに、真正面から魔物に向かっていく勇気!憧れます!
それに、ギンノジョウ様の超身体強化に耐えられる肉体と精神!今度生まれ変わるなら、そんな肉体になってみたい!」

モンドは、褒められ過ぎて、赤くなっていた。
「女の悩みなら、いつでも相談にのるからな」と言った。

いつものこととは言え、子供に言うことじゃないだろ、と他のメンバーは呆れた。

「はい、いつか、そんな時が来たら、よろしくお願いします!」



ハルカは思った。
あぁ、ダメだ。ユウタがこんな人たらしだとは思わなかった。みんなメロメロだ。そう言う私も同じだけど。
同じことを大人が言ったならば、みな裏があると警戒するだろうが、ただでさえ幼い子供の発言なのに、ユウタの目はキラキラと輝いている。
そこに嘘偽りがあるとは誰も思えない。



最後に僕はハナエ様とギンノジョウ様に顔を向けた。

「この度は、僕なんかのために時間とお力を割いていただけること、心より感謝しております」と深く頭を下げた。

「ユウタよ。もう一つのうたを唄ってはくれぬか?」ギンノジョウは優しい声で言った。

僕は下を向いたまま、凍りついた。
やっばり先生は全部話したのか、少しガッカリした気分になった。

「別にお前を捕まえようと考えている人は、一人もおらん。Fランクである理由は、そのうたの可能性が高い。それを確かめたいんだ」ギンノジョウ様の声は、とても優しく聞こえた。

「分かりました。でも、王様達は危険なので、本当に失礼ですが、この部屋から離れていただく必要があります」僕は顔を上げた。冗談で言っていると思われたくなかったからだ。

「危険なのか?」

「魔力と体力がある程度あれば、危険なことはありません」

ギンノジョウ様は王様の方を向いた。

「分かった!用を出してくる」王様と何人かの側近は出ていった。しかし、一人残った。 
「私は王の護衛も務めるボディガー兼秘書です。大丈夫です」

「ユウタ、どうだい?」

「う~ん。この距離だとギリギリだと思いますが」

「自己責任じゃぞ」とギンノジョウは秘書に叫んだ。秘書は頷いた。

「では頼む」

「はい」僕はお腹に力を入れて、低い声で!唄い始めた。

「ぐはぁ」秘書が両手両膝を床について、吐いた。

僕が止めようとしたら、
「もう少し」とギンノジョウが言った。

ハナエは掌の上で魔力を貯めていた。

「うん、もういいぞ」とギンノジョウは言った。

「なるほど、魔法の見た目は変わらないけど、威力は初級魔法以下みたいね」ハナエは言った。

他のメンバーも肩や頭を回していた。

「うむ。やはりそのうたがFランクの原因だ。うたの力を弱めれば、ランクが上げるのは間違いないようだ」

「えっ!ホントですか!」

「それもEやDに変わるのではない。少なくともCは超えられるぞ」

「えっ、ホントですか、やった!人並みになれる!」

「善は急げだ。私としては、ここの水が合わん。一日でも早く立ちたいのだが」

「分かりました。明日の午後にはまた来ます。それでよろしいですか?」

「うむ」

僕はまた深く頭を下げた。
「よろしくお願いします!」

ハルカはギンノジョウを見た。ギンノジョウは頷いた。

「じゃあ、私はユウタと先に帰るから。みんな元気でね」

「ハルちゃんもね」とツクシ様だけが応じた。

先生と僕は部屋を出た。




「ふぅ~」皆は息を吐き出した。

「とりあえずは疑われてはいないかな?」モンドが言った。

「おそらく大丈夫だ」シノビが言う。

「しかし、ゾッとしたよ。ほとんど動けなかった。身体強化も効果がなかった」モンドが言った。

「あぁ、私もだ。拘束系の魔法とは根本的に違いそうだ」とシノビ。

「回復やギミック解除魔法もほとんど無理そうよ。あんな可愛らしい顔をしてるのに」ツクシが残念そうな声を出した。

「予想通り、さっきの間でワシ達は全滅した」ギンノジョウは言った。

「ほとんど無抵抗でな」モンドが加える。

「なんとかできないの?ギンちゃん、あんないい子、そうそういないわよ」ツクシが言った。

みんなギンノジョウを見た。
「何とかしてあげたいのは、ワシも同じじゃ。しかし何も思いつかない。人形にあの子の魂を移すだけなら、できないこともないんじゃが」

「ハルカが、五大極大魔法をまき散らしながら、怒鳴り込んでくるわよ」ハナエは嫌味っぽく言った。

「あぁ、そうだろうな。とにかく時間が必要じゃ。そのうち何か思いつくかもしれない」

「今集まっていても時間の無駄のようだな。一旦解散にしよう。今後の情報は私の部隊が皆に定期的に報告する」とシノビが閉めた。

みな立ち上がっり、次々と部屋を出た。

「ギンちゃん、飲みに行こう」とハナエは言った。

「禁酒中なんじゃが」

「冗談でしょ。行くわよ」ギンノジョウは諦めて立ち上がった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
――自由を手に入れるために、なにがあっても金は稼ぎます―― 金さえあれば人生はどうにでもなる―― そう信じている守銭奴、鏡谷知里(28)。 交通事故で死んだはずの彼が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 しかもなぜか、規格外のチート魔力を手に入れていた。 だがその力は、本来存在してはいけないものだった。 知里の魔力は、封印されていた伝説の冒険者の魔力と重なったことで生まれた世界のバランスを崩す力。 その異常な魔力に目を付けたのは、この世界を裏から支配する存在―― 「世界を束ねる管理者」 神にも等しい力を持つ彼らは、知里を危険視し始める。 巻き込まれたくない。 戦いたくもない。 知里が望むのはただ一つ。 金を稼いで楽して生きること。 しかし純粋すぎる仲間に振り回され、事件に巻き込まれ、気付けば世界の管理者と敵対する羽目に――。 守銭奴のチート魔力持ち冒険者 VS 世界を支配する管理者。 金のために生きる男が、望まぬまま世界の頂点と戦うことになる 巻き込まれ系異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

処理中です...