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猫の額にあるものを鼠が窺う
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けたたましい大勢の足音が廊下を通っていく。
その足音たちはまっすぐ鳳国宮殿の奥へ進んでいき、その内の一つが政務室に入る。
「⁈ 誰だお主は!」
政務室にいた官吏は声を張り上げる。
「護衛兵! 早くこやつを追い出ッ」
「残念。彼らはもう一人も残ってないの」
「なッ⁉」
耳元で突然聞こえた囁き声に、官吏は反射的に振り返ろうとする。が、それは首に突き立てられた短剣によって実現しなかった。
官吏の首元から大量の血飛沫が吹き出すと同時に、廊下にいた数十人の剛兵たちが荒々しく政務室に入る。彼らは室内を進んでいくと、部屋にいた侍従たちを悉く斬り伏せていく。そして彼らの奥から鎧姿の永祥が現れる。
「流石の腕前だな、美琳。相手に気取られずに背後を取るとは。いやはや、恐れ入ったわ」
手を叩きながら美琳に近付く永祥。美琳の隣に立つと、彼女の肩に手を乗せる。
「お主が存分に暴れてくれたおかげでこうも簡単に乗っ取りを仕掛けることが出来た。ようやった」
ゆっくりと肩を撫でる永祥。だがその手は美琳にすげなく撥ね除けられる。
「フン。御託はいいからさっさと済ませなさいよ。こっちはやることやったんだから、今度は貴方が約束を守る番よ」
「分かっておるわ。そう急かすでない。……準備が整いました。こちらに御出でくださいませ。王よ」
永祥は戸口に向かって手を差し出す。すると兵士たちが道を開け、中央から一際豪奢な鎧を身に纏った男が現れる。
「王。この国を貴方様に捧げます。御気に召していただけるでしょうか」
「うむ。大儀であった。永祥。そして美琳よ」
「恐悦至極でございます」
「…………」
拱手し頭を垂れる永祥。翻って美琳は、先程浴びたばかりの顔の血化粧を無言で拭う。その姿に男は苦笑いを浮かべる。
「其方は本当に怖いもの知らずだな。その力が無ければとうの昔に処刑されていたであろう」
「そんなことどうでもいいわよ。で? これがどうして文生の……修を倒すのに役立つって言うの?」
ふて腐れて男に訊ねる美琳。その言葉を永祥が拾う。
「無論、戦に使うために決まっておろう」
「は? 確かなんとかっていうのがあって戦は仕掛けられないって」
「講和条約じゃな。先の戦で修との間で結んだものだ。お主の言う通り、あれがある限りこちらから仕掛けるのは無理な話だ」
「じゃあどうやって……」
「至極簡単な話よ。我らがやれぬのなら……あちらから仕掛けさせれば良いのだ」
その足音たちはまっすぐ鳳国宮殿の奥へ進んでいき、その内の一つが政務室に入る。
「⁈ 誰だお主は!」
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「流石の腕前だな、美琳。相手に気取られずに背後を取るとは。いやはや、恐れ入ったわ」
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ゆっくりと肩を撫でる永祥。だがその手は美琳にすげなく撥ね除けられる。
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「うむ。大儀であった。永祥。そして美琳よ」
「恐悦至極でございます」
「…………」
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「其方は本当に怖いもの知らずだな。その力が無ければとうの昔に処刑されていたであろう」
「そんなことどうでもいいわよ。で? これがどうして文生の……修を倒すのに役立つって言うの?」
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「無論、戦に使うために決まっておろう」
「は? 確かなんとかっていうのがあって戦は仕掛けられないって」
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