もつ者は主人公になる

せにな

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第四話  帰り道

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 高校生活初めての授業が全て終わり、帰宅路を歩く男女二人の背中に夕日が刺さる。

「それで――」

 下校前、なにか話したいことがあったのか、美夜はホームルームを終えるや否や男子生徒の前に立ちはだかり『帰り付き合って』という言葉を発した。いきなりのことに最初は驚いていたが、男子生徒も物申したいことがあったのか二つ返事で了承し、今に至る。

「――あの後はどうだったの?」
「どうだったって?」

 話したくなさそうに素っ気なく口を聞く龍馬は車道側に目を向ける。

「私もあんまり名前は出したくないんだけど……神月真斗のことよ」
「出したくないなら出さなかったら良いのに」
「もう言ったんだから仕方ないでしょ。それでどうなの?」
「……ずっと話しかけてくるよ」

 美夜に注意された真斗だったが、あの後もめげることはなく、イノシシのように突撃しては龍馬にのらりくらりと避けられるばかりだった。
 目の前にいるはずもないそんな真斗に冷めた目を向ける龍馬を見た美夜は訝しげな表情を浮かべた。

「なんでそんなに嫌がるの?」
「あんなキラキラしてるやつと俺が一緒にいるの考えられるか?」
「かなりお似合いだと思うけどね」
「冗談よせよ」

 龍馬の言葉で二人の会話が終わり、美夜と龍馬の間には静寂が流れ始める。だが、タイミングよく現れた人物によってその静寂は壊されてしまう。

「あ!美夜じゃん~」

 曲がり角から現れた人物――白石李恋は美夜の腕に抱きつくように体を寄せ、右手には先程買ってきたと思われるスハーハックスのカフェオレを握っていた。

「李恋?なんでここにいるの?」
「さっきまで友達と遊んでたから、その帰り道~」
「あーなるほどね」

 腕から李恋を引き離そうと左手で体を押す美夜だったが、離さないと言わんばかりに強く腕を掴む李恋を引き離すことはできず、諦めの溜息を吐いて龍馬の方に目を向ける。
(変わらないなー)
 心の中で呟く美夜はそっと龍馬の耳元に口を近づけて真斗のサポートをするような言葉を口にする。

「――神楽坂それまじ?」
「まじまじ」

 そんな2人が気になったのか、腕を掴む李恋はキョトンと首を傾げて2人を交互に見やる。

「どしたの?2人とも」
「なんでもないよ」
「俣野くんほんと?」
「ほんとほんと」

 美夜に合わせるように返事を返した龍馬は2人の時間を邪魔しないように半歩下がり、横断歩道の前で立ち止まる。

「俺こっちだから」
「あ、そうなのー?」
「うん。じゃあね」

 小さく手を振った龍馬は、車が来ていないことを確認し、横断歩道を渡り始めた。李恋も手を振り返すが龍馬は振り向くこともなく、曲がり角を曲がって美夜と李恋の視界から姿を消した。

「私、龍馬くんに嫌われてるのかな?」
「そんなことはないよ。龍馬は優しいだけだから」
「そっかー」

 美夜にそう言われた李恋は特に気にすることもなく、脇に通した腕はそのままで美夜と一緒に歩き始めた。
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