もつ者は主人公になる

せにな

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第九話  遊び

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「なっ俣野。明日遊びに行かね?」

金曜の放課後、荷物をまとめる龍馬に突然遊びの誘いをする真斗。

「……まじで言ってるの?」
「マジ以外なにがあるんだよー」

まだ遊ぶのは早いと思っているのか、龍馬は少し引き気味に言葉を返したが、真斗の感覚では丁度いいと思っていたのでお構いなしにグイグイと遊びに誘う。

「行く場所は?」
「街かな」
「誰と行く?」
「俺と俣野の2人よー」
「何時から?」
「11時ぐらいかなー」
「早くね?」
「昼ごはん一緒に食べたいからねー」

龍馬からのすべての質問に答えた真斗は自分の計画性に誇らしげに胸を張り、再度龍馬に誘いの言葉をかける。

「明日遊びに行かねー?」
「……まぁ、そこまで決めてるならいいけど」
「よっしゃー。じゃ、明日は駅前にあるピアノの横に集合な。それじゃ、バイバーイ」

集合場所まで言い切った真斗は軽く手を振り、荷物を持って教室を後にする。そんな真斗になにか言い返そうと目を細める龍馬だったが、颯爽と去っていった真斗に声が届くわけがないと気づいたのか、片付けしていたバッグに視線を戻す。


時刻は10時45分、集合時間15分前に駅前に到着した真斗は、まだ龍馬が来ていないことを確認し、ピアノ横にあるソファーベンチに腰を下ろした。
現在真斗がいるのは開設数年目のショッピングモール。2階には駅、3階には本屋、4階は雑貨店などがあり、平日休日問わず中高生は自然とこの施設に集まる。さらに街からも近いということもあり、駅を利用する観光客も滞在する施設だ。

「来るの早くね?」

頭の上からかけられる声に顔を上げるとそこには龍馬がおり、髪型は学園の時と変わらないが、服装は――

「――白パーカーまじ?」

予想だにしない言葉が真斗の口から出たことに、龍馬は表情をこわばらせた。

「なんだよ。白パーカーに文句あるのか?」
「いや、そういうわけじゃなくて……一応遊ぶんだからオシャレぐらいしてほしかったなーって」
「彼女かよ。服ぐらい別によくね?」
「捻くれてんなぁ……。とりあえず、今日は服買いに行くぞ。その見た目で女子と遊んだら100%冷められるからな」
「そんな器の小さい女と付き合いたくない」
「そんなこと言ってたら一生彼女できねーぞ。とりま飯食いに行くか」

あまりにも捻くれていた龍馬に苦笑を浮かべた真斗は半強制的に衣類を買いに行くことを決め、これ以上マイナスな発言をさせないために強引に昼食の話題を引っ張り出す。

「別にいいけど、どこ食いに行くんだ?」
「それはね~――」

今回龍馬と一緒に昼食を食べる上で、1番この物語で貢献しそうな施設を選んだ真斗は、その施設が視界に入ると龍馬に見せつけるように、商店街内にある店を指さした。

「――ここ、ファーストフード店です!」

駅から商店街まで引き伸ばされ、挙句の果てファーストフードという事に呆れを抱いた龍馬は顔をしかめて口を開く。

「あんなに溜めといてファーストフードかよ……。なんかいいとこ予約してると思ったのに」
「傲慢かて。俺ら高校生だぞ?デートならまだしも、友人との遊びにいいとこ予約してたまるか」
「そんなもんなのか」
「そんなもんなんだよ。さては俣野、友達と遊んだことないな?」
「あるわ」

会話は弾むが、やはり少しの期待を抱いていた龍馬は落胆し、更に表情が暗くなってしまう。だが、龍馬の表情は目の前の雑貨店から出てきた女性2人組によってかき消されることになった。
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