12 / 40
魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約
魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約 12
しおりを挟む
エディーリンが窓を見る。
晴天の中を雲が泳ぎ、自由に風に流れて踊る。
空と風と雲は仲が良かった。
ソレに羨ましいとさえ想った。
何せコチラでは誰もが自分を、魔族というだけで恐れているのだ。
そう…、本質も知りもしないのに。
なんと哀れで滑稽だろう。
それでもエディーリンは、ふと口元に笑みを浮かべた。
それでさえ、「笑った」「アイツ笑っているぞ」「魔族はきっと思考回路も違うんだ」なんて決めつけに入り出した。
嗚呼、おかしい。
嗚呼、おかしい。
誰も本質を知ろうとせず、魔族というレッテルだけで決めつけて、分かり合おうとしないのだから。
隣の先生という男性もそうだ。
警戒心がビリビリ伝わってくる。
肩に乗ったディプスクロスなんて呆れてもう目を瞑って座っている。
エディーリンが再び肩で溜め息をつく。
「それで?
私の席はこちらかしら?
せーんせい?」
「くっ、魔族を生徒だと私は認めていないからな!
席はソコだ、とっとと座れ魔族!」
口調までもが他の生徒と差別的だった。
ウウィーグツィ族の気持ちが少し分かった気がした。
彼らはきっと、もっと差別的な態度をされてきたのかもしれない。
とても可哀想だと、エディーリンは想った。
同時に、故郷の城で仕えてくれているウウィーグツィ族や、故郷の魔族の国で暮らすウウィーグツィ族達の笑顔が頭に過った。
「えー、では、授業を始める。
昨日の続きからだ。
皆教科書を開いて」
「先生?
私…、教科書がありませんわ」
「あら、魔族に教科書なんて用意するわけないじゃない」「何を言ってるのかしらアノ女」「いいえ化け物よ、性別さえ本当に女かさえ分からないし、存在しないかもしれないのよ?」「どっちにしろアイツ何しに来たんだよ」
「静粛に、授業中ですよ。
そして魔族のお前。
お前には教科書はない。
私からも、他の先生からも教えることはないからな」
先生と言われた男性がそう言うと、クラス中から笑い声が響いた。
「ざまぁねぇや」「これも魔族に生まれたから悪いのよ」「可哀想なんて感情すら湧かないわ」「魔族にそんな意識湧くわけないじゃない」「それもそうだ」
──嗚呼、御父様…、貴方は本当に凄い方でしたのね。
ココへ来て、御父様の偉大さがとてもよく分かりますわ。
魔族に生まれたから悪い、可哀想という感情すら湧かない、魔族にそんな意識湧くわけない。
人間族はそう言うけれど、魔族である御父様は人間族が何を考え、想い、暮らしているのかすら想いを巡らせた。
とても素敵で、御立派でございます、御父様。
本当に素晴らしい御方だわ、御父様。
エディーリンは心の中で、父の人間に対する“愛”をとても深く身に染みて想った。
父は“愛した”。
深く考え、愛したのだ。
それに対して、人間達はどうだろう?
強い結界の中だから安全だという意識が強いからか、指を指してまで嘲笑い、状況を楽しんでいる。
とても屈辱的な気持ちだが、そんな時、父の言葉をエディーリンは想い出した。
『民の上に立つ者の心得として、忘れるな、 エディーリン。
どんな時も寛大で、許せる者であれ』
エディーリンが机の上で手を組み、目を閉じる。
──全てを許しに変えよ、そうすれば心の負担は減り、見方も変わり、笑顔も増える。
今はまだ“人間と魔族の休戦締約と同盟条約”が正式に結ばれていない。
コレが結ばれたら、きっと世界は変わる。
今嘲笑っている子供も、きっと見る目が変わるはず。
そう信じて、私はここまで来たのだから。
そう…、自ら願い出たのだから、私が行くと。
私は未来を信じる。
未来は明るいのだから。
「姫様…?」
エディーリンがスウ…っと静かに鼻から息を吸い、笑んで肩のディプスクロスを撫でて机の上に下ろす。
「さあディプ、お勉強の時間だわ。
人間族の言語、訳して欲しいわ」
「分かった!ディプ!姫様の為に言葉訳す!やる!」
「うわ、喋ったぞアノ烏」「化け物だわ」「なんて恐ろしい」
「気にしてはいけないわよディプ。
気にする必要なんてないもの。
全てを許しに変えましょう?
御父様が言っていたでしょう?
“どんな時も寛大で、許せる者であれ”、と…。」
クラスの生徒達がざわめく中、ディプスクロスは一度生徒達に目をやったがエディーリンがソノ綺麗な黒い身体を撫でると、ディプスクロスは主を見た。
そして主の言葉に大きく頷いた。
晴天の中を雲が泳ぎ、自由に風に流れて踊る。
空と風と雲は仲が良かった。
ソレに羨ましいとさえ想った。
何せコチラでは誰もが自分を、魔族というだけで恐れているのだ。
そう…、本質も知りもしないのに。
なんと哀れで滑稽だろう。
それでもエディーリンは、ふと口元に笑みを浮かべた。
それでさえ、「笑った」「アイツ笑っているぞ」「魔族はきっと思考回路も違うんだ」なんて決めつけに入り出した。
嗚呼、おかしい。
嗚呼、おかしい。
誰も本質を知ろうとせず、魔族というレッテルだけで決めつけて、分かり合おうとしないのだから。
隣の先生という男性もそうだ。
警戒心がビリビリ伝わってくる。
肩に乗ったディプスクロスなんて呆れてもう目を瞑って座っている。
エディーリンが再び肩で溜め息をつく。
「それで?
私の席はこちらかしら?
せーんせい?」
「くっ、魔族を生徒だと私は認めていないからな!
席はソコだ、とっとと座れ魔族!」
口調までもが他の生徒と差別的だった。
ウウィーグツィ族の気持ちが少し分かった気がした。
彼らはきっと、もっと差別的な態度をされてきたのかもしれない。
とても可哀想だと、エディーリンは想った。
同時に、故郷の城で仕えてくれているウウィーグツィ族や、故郷の魔族の国で暮らすウウィーグツィ族達の笑顔が頭に過った。
「えー、では、授業を始める。
昨日の続きからだ。
皆教科書を開いて」
「先生?
私…、教科書がありませんわ」
「あら、魔族に教科書なんて用意するわけないじゃない」「何を言ってるのかしらアノ女」「いいえ化け物よ、性別さえ本当に女かさえ分からないし、存在しないかもしれないのよ?」「どっちにしろアイツ何しに来たんだよ」
「静粛に、授業中ですよ。
そして魔族のお前。
お前には教科書はない。
私からも、他の先生からも教えることはないからな」
先生と言われた男性がそう言うと、クラス中から笑い声が響いた。
「ざまぁねぇや」「これも魔族に生まれたから悪いのよ」「可哀想なんて感情すら湧かないわ」「魔族にそんな意識湧くわけないじゃない」「それもそうだ」
──嗚呼、御父様…、貴方は本当に凄い方でしたのね。
ココへ来て、御父様の偉大さがとてもよく分かりますわ。
魔族に生まれたから悪い、可哀想という感情すら湧かない、魔族にそんな意識湧くわけない。
人間族はそう言うけれど、魔族である御父様は人間族が何を考え、想い、暮らしているのかすら想いを巡らせた。
とても素敵で、御立派でございます、御父様。
本当に素晴らしい御方だわ、御父様。
エディーリンは心の中で、父の人間に対する“愛”をとても深く身に染みて想った。
父は“愛した”。
深く考え、愛したのだ。
それに対して、人間達はどうだろう?
強い結界の中だから安全だという意識が強いからか、指を指してまで嘲笑い、状況を楽しんでいる。
とても屈辱的な気持ちだが、そんな時、父の言葉をエディーリンは想い出した。
『民の上に立つ者の心得として、忘れるな、 エディーリン。
どんな時も寛大で、許せる者であれ』
エディーリンが机の上で手を組み、目を閉じる。
──全てを許しに変えよ、そうすれば心の負担は減り、見方も変わり、笑顔も増える。
今はまだ“人間と魔族の休戦締約と同盟条約”が正式に結ばれていない。
コレが結ばれたら、きっと世界は変わる。
今嘲笑っている子供も、きっと見る目が変わるはず。
そう信じて、私はここまで来たのだから。
そう…、自ら願い出たのだから、私が行くと。
私は未来を信じる。
未来は明るいのだから。
「姫様…?」
エディーリンがスウ…っと静かに鼻から息を吸い、笑んで肩のディプスクロスを撫でて机の上に下ろす。
「さあディプ、お勉強の時間だわ。
人間族の言語、訳して欲しいわ」
「分かった!ディプ!姫様の為に言葉訳す!やる!」
「うわ、喋ったぞアノ烏」「化け物だわ」「なんて恐ろしい」
「気にしてはいけないわよディプ。
気にする必要なんてないもの。
全てを許しに変えましょう?
御父様が言っていたでしょう?
“どんな時も寛大で、許せる者であれ”、と…。」
クラスの生徒達がざわめく中、ディプスクロスは一度生徒達に目をやったがエディーリンがソノ綺麗な黒い身体を撫でると、ディプスクロスは主を見た。
そして主の言葉に大きく頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
勝手にしろと言われたので、勝手にさせていただきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
子爵家の私は自分よりも身分の高い婚約者に、いつもいいように顎でこき使われていた。ある日、突然婚約者に呼び出されて一方的に婚約破棄を告げられてしまう。二人の婚約は家同士が決めたこと。当然受け入れられるはずもないので拒絶すると「婚約破棄は絶対する。後のことなどしるものか。お前の方で勝手にしろ」と言い切られてしまう。
いいでしょう……そこまで言うのなら、勝手にさせていただきます。
ただし、後のことはどうなっても知りませんよ?
* 他サイトでも投稿
* ショートショートです。あっさり終わります
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
【完結】王太子に婚約破棄され、父親に修道院行きを命じられた公爵令嬢、もふもふ聖獣に溺愛される〜王太子が謝罪したいと思ったときには手遅れでした
まほりろ
恋愛
【完結済み】
公爵令嬢のアリーゼ・バイスは一学年の終わりの進級パーティーで、六年間婚約していた王太子から婚約破棄される。
壇上に立つ王太子の腕の中には桃色の髪と瞳の|庇護《ひご》欲をそそる愛らしい少女、男爵令嬢のレニ・ミュルべがいた。
アリーゼは男爵令嬢をいじめた|冤罪《えんざい》を着せられ、男爵令嬢の取り巻きの令息たちにののしられ、卵やジュースを投げつけられ、屈辱を味わいながらパーティー会場をあとにした。
家に帰ったアリーゼは父親から、貴族社会に向いてないと言われ修道院行きを命じられる。
修道院には人懐っこい仔猫がいて……アリーゼは仔猫の愛らしさにメロメロになる。
しかし仔猫の正体は聖獣で……。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
・ざまぁ有り(死ネタ有り)・ざまぁ回には「ざまぁ」と明記します。
・婚約破棄、アホ王子、モフモフ、猫耳、聖獣、溺愛。
2021/11/27HOTランキング3位、28日HOTランキング2位に入りました! 読んで下さった皆様、ありがとうございます!
誤字報告ありがとうございます! 大変助かっております!!
アルファポリスに先行投稿しています。他サイトにもアップしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる