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魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約
魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約 16
しおりを挟む━━カアンッ!!
魔法をかけられて強化された木刀が宙を舞う。
そしてソレは、カラン…、と音を立てて地へと落ちた。
「これで30勝目、ですわね?
先生?」
「嘘だろ…?あのエカル先生が…」「エカル先生は元王族騎士団よ…?」「アノ魔族、魔法なんてこんなとこで使えるはずないわ!だって結界内ですもの!」「エカル先生が一度も勝てないなんて、何かの間違いよ!」
生徒達がざわめく。
エディーリンは堂々と微笑み、痺れた腕を握るエカルと呼ばれた筋肉質な大柄な先生を見下ろしていた。
エカルと呼ばれた筋肉質な大柄な先生が、何か卑怯な手を使ったのだろう!と言ってやろうとエディーリンを見上げると、エディーリンの非加熱のルビーのような赤い双眸に、容赦なく射殺すような視線で見下ろされており、ソレに「ヒッ!」となった。
「オ、オレは元エンテイラー国王族騎士団の一人なんだぞ!」
「あらそうですの~!
では、金より…、当然お強くて?」
エカルと呼ばれた筋肉質な大柄な先生が、大声でうずくまったまま叫ぶ。
ソレにエディーリンは渡された最初からボロボロだった木刀を見て、最後の方は声を低くして言い、周囲が静まり返る。
「ねぇ、どうなんですの?
相手は、……アルミホイルなのでしょう?
元、王族騎士団殿?」
周囲の生徒の中には恐ろしさのあまり腰を抜かした者さえ居た。
嘲笑や見下しが、今や畏怖に変わっている。
人間様、と言っていた者でさえ、今では腰を抜かしている。
銀に至っては身を寄せ合っている。
「コノ学園では、特に結界が厳しいんでしたわよねぇ…。
私、このボロボロの木刀のままで戦っていたのですけれど…?
それでも無敗で30勝もしてしまいましたわ!
うふふっ!」
「くっ!
うおおおおお!!」
エディーリンがエカルと呼ばれた筋肉質な大柄な先生に渡されたままのボロボロの木刀を見せつけて言うと、エカルと呼ばれた筋肉質な大柄な先生は拳でエディーリンに殴りかかってきた。
「ごめんあそばせ」
エディーリンはそう優雅に言うと、振りかざされた拳を軽やかにかわし続け、続いて足技や拾い上げた強化された木刀の攻撃さえも軽やかにかわし、そしてエカルと呼ばれた筋肉質な大柄な先生の顎めがけて思いっきり可憐な緑の靴で蹴り上げた。
エディーリンの足は優雅に華麗にクリーンヒットし、そのままエカルと呼ばれた筋肉質な大柄な先生は吹っ飛ばされた。
「はい、31勝目」
エディーリンが優雅に微笑む。
ソレに生徒達は「うわあああああ!!」とパニックになって一目散に逃げだして行った。
エカルと呼ばれた筋肉質な大柄な先生が「うっ」と言って身をよじる。
──顎を蹴っただけで意識失われたらどうしようかと想ったけど、大丈夫そうですわね
学園内に授業終了を知らせる音楽が鳴る。
青い空に白い雲が泳ぐ。
ソレは音楽に舞うように。
ソレは静かで優雅な調べだった。
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