24 / 40
魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約
魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約 22
しおりを挟む
──ああ、そうか。
そもそもコノ者達は“結界の中では魔族は何も出来やしないと、思い込んでいる”んだった。
そう…、そう信じて疑っていないのだ。
そう信じて疑っていないのだった。
ソレが……、結界の中、結界の力が強く響く場所であっても、“さしたる影響を受けない者が居る”、ソノ存在を、まだ彼らも、人間というのは誰も知らないのだった。
「うっふふふ」
「なっ、なによ!」
エディリーンはついにこらえきれず笑ってしまった。
口元を優雅に押えるも、手を離して紅い双眸でゆらりと強気なグループを見たら、ソノ者達は萎縮した。
自身は魔素が強く、結界の中でも本当は少しの魔術や召喚は使える。
でも黙っていた。
「話すようなことではありませんわね」そう想っていたから。
「席に着け!
ホームルームを開始する!」
そんな時だった。
扉を開けて担任の男の先生が入って来た。
強気だったグループはソノ瞬間散り散りになって自分達の安全区域に逃げて行った。
担任の先生がエディーリンを睨む。
エディリーンは優雅に微笑んで見せた。
そう。
そもそもコノ者達は“結界の中では魔族は何も出来やしないと、思い込んでいる”んだった。
そう…、そう信じて疑っていないのだ。
そう信じて疑っていないのだった。
ソレが……、結界の中、結界の力が強く響く場所であっても、“さしたる影響を受けない者が居る”、ソノ存在を、まだ彼らも、人間というのは誰も知らないのだった。
エディリーンは魔素が強く、結界の中でも本当は少しの魔術や召喚は使える。
でも黙っていた。
「話すようなことではありませんわね」そう想っていたから。
でもソレをそもそも、人間という種族は知らなかった。
なんと滑稽なことだろう。
エディリーンが“ソノ気”になれば、コノ国一つ陥落させることくらい容易なのだった。
ソノ時だった。
机に座していたディプスクロスが「姫様」と呼んだ。
ソコでエディーリンの思考は正常に戻る。
──いけない、今、私は何を考えていた…?
私は、御父様の……、魔族達全員の願いとなった、人間と魔族の休戦締約と同盟条約実現の為に、コノ人間界にやってきたのだ。
御父様も仰っていたじゃない、全てを許せる寛大な心を持て、と。
私は今、……何を考えていた?
エディリーンは自身の心の中で絶句し、自身の、自身について深く落胆した。
──私は……
*
紅葉舞う美しい中庭で、エディリーンが昼食のパンを持ったまま、舞う紅葉をただただ見つめる。
「そう…、そんなことがありましたのね」
時は昼休み、食事の時間だった。
エディリーンの隣にはレイラが座しており、エディリーンは今朝起きたことと自身がしようとしたことの全てを、信じれる者に話した。
ディプスクロスがエディーリンのパンをつまみ、口に頬張る。
「エディー、│主《しゅ》は望んでいます。
コノ大陸──リ・テラの…、魔族と人間の平和を。
でも…」
レイラはそう言って、食堂の方へと目をやった。
「私達シスター科と違って、普通科の方々は主の御声を聴くことが出来ない。
主が心から魔族との平和を望んでいても、……彼らにとっては、まだ…」
エディリーンは視線を地面へと落とした。
レイラがエディーリンの背中に手を回す。
「とても、お辛い想いをされましたね、エディリーン」
レイラの言葉に、エディリーンはレイラの肩に頭を預けた。
「私は、とても情けないわ…。
人間と魔族の休戦締約と同盟条約、ソノ実現の為に送り出されたのに……、心の中で、争いのことを考えてしまった。
なんて、……情けない……」
今は兵士達はエディーリンの側ではなく、レイラの鶴の一声で少し離れたところに居た。
ソレにより、エディリーンのこの小声はレイラとディプスクロスにしか届くことがなかった。
風が靡く。
エディリーンの黒い髪とレイラの淡い金髪を風は靡いた。
「でも」
エディリーンは一度目を閉じて、そして開いて、レイラの肩から頭を起こし、立ち上がってレイラを見下ろした。
「落ち込んでいる場合ではありませんわね」
「ええ」
レイラがそうエディリーンの気持ちを言い、エディリーンが強く頷いた。
「もう二度と、同じことは考えない。
今考えるべきは、どう人間達との溝を埋めるかであって…──」
「シスター!」
そんな時だった。
食堂の方から少女達数人、ソレも今朝絡んで来た者達だった。
「大丈夫ですか⁈
お可哀想に!
魔族に虐められていましたのね!
私達、全て見ていましたわ!」
「「え?」」
レイラとエディリーンが同時に言うのと、「ねぇ!兵士様!」と少女が言うのは同時で、兵士はあろうことか、「ああ、そうだな、今まさにソノ魔族がシスターに」とありもしないことを言い出し、レイラとエディリーンは兵士と少女達を見やる。
紅葉舞う美しい中庭では、何事だ?と言わんばかりに他のシスター科の生徒達がこちらを見始めていた。
「いえ、わたくしは…!」
レイラが違うと言おうとすると、「だったら、これは正当防衛だよなぁあ!」という声と共に、ブウン!と何かを振る音が聴こえ、エディリーンとレイラはソチラを見やった。
食堂の方から普通科の生徒達がぞろぞろと出てきて、中には金属棒を持ったガラの悪い男達が先頭に立ち、気の弱そうな男子達も何人か金属棒を持っていた。
「尊き神の御声を聴けるシスターを虐めるなんて、許されねぇなあ?
コイツぁ、ちょっと、いや死ぬまでいたぶらねぇとな!」
ガラの悪い普通科の生徒がそう言い、レイラが立ち上がるも、エディリーンが手で制した。
「エディー!」
そもそもコノ者達は“結界の中では魔族は何も出来やしないと、思い込んでいる”んだった。
そう…、そう信じて疑っていないのだ。
そう信じて疑っていないのだった。
ソレが……、結界の中、結界の力が強く響く場所であっても、“さしたる影響を受けない者が居る”、ソノ存在を、まだ彼らも、人間というのは誰も知らないのだった。
「うっふふふ」
「なっ、なによ!」
エディリーンはついにこらえきれず笑ってしまった。
口元を優雅に押えるも、手を離して紅い双眸でゆらりと強気なグループを見たら、ソノ者達は萎縮した。
自身は魔素が強く、結界の中でも本当は少しの魔術や召喚は使える。
でも黙っていた。
「話すようなことではありませんわね」そう想っていたから。
「席に着け!
ホームルームを開始する!」
そんな時だった。
扉を開けて担任の男の先生が入って来た。
強気だったグループはソノ瞬間散り散りになって自分達の安全区域に逃げて行った。
担任の先生がエディーリンを睨む。
エディリーンは優雅に微笑んで見せた。
そう。
そもそもコノ者達は“結界の中では魔族は何も出来やしないと、思い込んでいる”んだった。
そう…、そう信じて疑っていないのだ。
そう信じて疑っていないのだった。
ソレが……、結界の中、結界の力が強く響く場所であっても、“さしたる影響を受けない者が居る”、ソノ存在を、まだ彼らも、人間というのは誰も知らないのだった。
エディリーンは魔素が強く、結界の中でも本当は少しの魔術や召喚は使える。
でも黙っていた。
「話すようなことではありませんわね」そう想っていたから。
でもソレをそもそも、人間という種族は知らなかった。
なんと滑稽なことだろう。
エディリーンが“ソノ気”になれば、コノ国一つ陥落させることくらい容易なのだった。
ソノ時だった。
机に座していたディプスクロスが「姫様」と呼んだ。
ソコでエディーリンの思考は正常に戻る。
──いけない、今、私は何を考えていた…?
私は、御父様の……、魔族達全員の願いとなった、人間と魔族の休戦締約と同盟条約実現の為に、コノ人間界にやってきたのだ。
御父様も仰っていたじゃない、全てを許せる寛大な心を持て、と。
私は今、……何を考えていた?
エディリーンは自身の心の中で絶句し、自身の、自身について深く落胆した。
──私は……
*
紅葉舞う美しい中庭で、エディリーンが昼食のパンを持ったまま、舞う紅葉をただただ見つめる。
「そう…、そんなことがありましたのね」
時は昼休み、食事の時間だった。
エディリーンの隣にはレイラが座しており、エディリーンは今朝起きたことと自身がしようとしたことの全てを、信じれる者に話した。
ディプスクロスがエディーリンのパンをつまみ、口に頬張る。
「エディー、│主《しゅ》は望んでいます。
コノ大陸──リ・テラの…、魔族と人間の平和を。
でも…」
レイラはそう言って、食堂の方へと目をやった。
「私達シスター科と違って、普通科の方々は主の御声を聴くことが出来ない。
主が心から魔族との平和を望んでいても、……彼らにとっては、まだ…」
エディリーンは視線を地面へと落とした。
レイラがエディーリンの背中に手を回す。
「とても、お辛い想いをされましたね、エディリーン」
レイラの言葉に、エディリーンはレイラの肩に頭を預けた。
「私は、とても情けないわ…。
人間と魔族の休戦締約と同盟条約、ソノ実現の為に送り出されたのに……、心の中で、争いのことを考えてしまった。
なんて、……情けない……」
今は兵士達はエディーリンの側ではなく、レイラの鶴の一声で少し離れたところに居た。
ソレにより、エディリーンのこの小声はレイラとディプスクロスにしか届くことがなかった。
風が靡く。
エディリーンの黒い髪とレイラの淡い金髪を風は靡いた。
「でも」
エディリーンは一度目を閉じて、そして開いて、レイラの肩から頭を起こし、立ち上がってレイラを見下ろした。
「落ち込んでいる場合ではありませんわね」
「ええ」
レイラがそうエディリーンの気持ちを言い、エディリーンが強く頷いた。
「もう二度と、同じことは考えない。
今考えるべきは、どう人間達との溝を埋めるかであって…──」
「シスター!」
そんな時だった。
食堂の方から少女達数人、ソレも今朝絡んで来た者達だった。
「大丈夫ですか⁈
お可哀想に!
魔族に虐められていましたのね!
私達、全て見ていましたわ!」
「「え?」」
レイラとエディリーンが同時に言うのと、「ねぇ!兵士様!」と少女が言うのは同時で、兵士はあろうことか、「ああ、そうだな、今まさにソノ魔族がシスターに」とありもしないことを言い出し、レイラとエディリーンは兵士と少女達を見やる。
紅葉舞う美しい中庭では、何事だ?と言わんばかりに他のシスター科の生徒達がこちらを見始めていた。
「いえ、わたくしは…!」
レイラが違うと言おうとすると、「だったら、これは正当防衛だよなぁあ!」という声と共に、ブウン!と何かを振る音が聴こえ、エディリーンとレイラはソチラを見やった。
食堂の方から普通科の生徒達がぞろぞろと出てきて、中には金属棒を持ったガラの悪い男達が先頭に立ち、気の弱そうな男子達も何人か金属棒を持っていた。
「尊き神の御声を聴けるシスターを虐めるなんて、許されねぇなあ?
コイツぁ、ちょっと、いや死ぬまでいたぶらねぇとな!」
ガラの悪い普通科の生徒がそう言い、レイラが立ち上がるも、エディリーンが手で制した。
「エディー!」
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
勝手にしろと言われたので、勝手にさせていただきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
子爵家の私は自分よりも身分の高い婚約者に、いつもいいように顎でこき使われていた。ある日、突然婚約者に呼び出されて一方的に婚約破棄を告げられてしまう。二人の婚約は家同士が決めたこと。当然受け入れられるはずもないので拒絶すると「婚約破棄は絶対する。後のことなどしるものか。お前の方で勝手にしろ」と言い切られてしまう。
いいでしょう……そこまで言うのなら、勝手にさせていただきます。
ただし、後のことはどうなっても知りませんよ?
* 他サイトでも投稿
* ショートショートです。あっさり終わります
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
【完結】王太子に婚約破棄され、父親に修道院行きを命じられた公爵令嬢、もふもふ聖獣に溺愛される〜王太子が謝罪したいと思ったときには手遅れでした
まほりろ
恋愛
【完結済み】
公爵令嬢のアリーゼ・バイスは一学年の終わりの進級パーティーで、六年間婚約していた王太子から婚約破棄される。
壇上に立つ王太子の腕の中には桃色の髪と瞳の|庇護《ひご》欲をそそる愛らしい少女、男爵令嬢のレニ・ミュルべがいた。
アリーゼは男爵令嬢をいじめた|冤罪《えんざい》を着せられ、男爵令嬢の取り巻きの令息たちにののしられ、卵やジュースを投げつけられ、屈辱を味わいながらパーティー会場をあとにした。
家に帰ったアリーゼは父親から、貴族社会に向いてないと言われ修道院行きを命じられる。
修道院には人懐っこい仔猫がいて……アリーゼは仔猫の愛らしさにメロメロになる。
しかし仔猫の正体は聖獣で……。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
・ざまぁ有り(死ネタ有り)・ざまぁ回には「ざまぁ」と明記します。
・婚約破棄、アホ王子、モフモフ、猫耳、聖獣、溺愛。
2021/11/27HOTランキング3位、28日HOTランキング2位に入りました! 読んで下さった皆様、ありがとうございます!
誤字報告ありがとうございます! 大変助かっております!!
アルファポリスに先行投稿しています。他サイトにもアップしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる