聖剣使いの乙女は実は魔王の娘だった

桐夜 白

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魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約

魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約 27

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アノ騒動の後、エディーリンへの見張り兵は替えられた。
公平に物事を見れる兵士に、第一部隊隊長の命令で。
 
 
 
「ショサコーイシューミー ユゥウムウツィイエーツェツィイウー。
ユェルェラールエロロロレーマファメ シェシェファミエティテリエーンシャムーファトーィエリェヤヌスーグウエ ロニファーィエーソーサーアアヌ。
ショサコーイシューミー ィエエーラウィミーサーラシャタエリャトウトゥォテーターリャーレー。
ユェルェラールエロロロレーマファメ ワンシャイェティテリエーンシャムーファテヌシェーツヴァリエラル ロニファーィエーソーサーアアヌ」
 
 
「まぁ、素敵なお歌ですわね、エディーリンさん」

「聴いたことのない発音の言葉ですけれど、魔族語ですか?」

「ナナレイアさん、歌声すっげえ綺麗だな!
想わず癒されるよ」
 
 
 
アノ騒動の後、エディーリンへの周囲の態度は大きく変わった。

あれから数週間経った今では、魔族語で歌を歌っていても隠す必要もなく、今歌っていた歌は魔族の世界で古くから伝わる歌だと説明したら興味も持ってくれた。
そして互いに、エディーリンは人間の言語を、人間は魔族の言語を知ろうと勉強し合ったりもした。

最初はアルミホイルアルミホイルと馬鹿にされていたエディーリンだったが、実技授業や体力関連の授業が群を抜いており、今ではプラチナまでわずか数週間で上り詰めていた。
 
 
クラスの子達と、魔族の国で古くから伝わるエディーリンが歌っていた歌を翻訳して調べていくと、人間の世界の言語での意味も知ることが出来た。
 
 
『手を取り合って  結びを紡ぎ繋ぎ紡ぐ。
ほろほろと滲む  心は何処までもいつまでも響いてゆく。
手を取り合って  笑い合うそして永遠の時を。
ほろほろと滲む  想いはいつまでも何処までも伝わってゆく』
 
 
誰もが、「すごく優しい歌詞だね」、「魔族語でも人間の言葉でも綺麗な歌詞だ」と微笑みあった。
一つの新たな世界が、ソコには在った。
魔族と人間が手を取り合って笑い合える世界が。
 
 
でも、それでも魔族をよく想わない人間はクラスにもまだ居た。
数週間前にエディーリンに喧嘩腰に物言いをしてきたグループ等特にそうだ。
今では目立った行動はとってこないが、それでもひそひそと嫌味は言っていた。
ただ目立った行動を取ろうとすると、他の生徒が「それは嫌がらせで意地悪な行為だ」と怒ってくれた。
人間の優しさや想いやりを、知ることが出来たのが嬉しかった。
 
 
 
いつか母が言ったことが在る。
エディーリンの母…、つまり魔王妃は、神に祈りを捧ぐ存在で、エディーリンと同じ巫女の一人だった。
最も美しい魔族と呼ばれる美貌を持つ、心優しいソノ女性は、誰もが憧れた存在だった。
ソレは娘のエディーリンにとっても同じだった。
そんな母が、かつて言ったことが在る。
 
 
『優しさと想いやりを忘れないで。
想うという心は、愛を産むのです』

…と。
 
 
──優しさと想いやり、想う心が愛を産む。
本当に素敵な御言葉ですわ、御母様。
 
 
またクラスの子は、『魔族(まぞく)』とは言わず、魔族側にとって正しい読み方、『魔族(ティシルツィア)』と魔族のことを呼んでくれるようになった。
なんだかくすぐったいような嬉しさだった。
 
 
 
「「エーディーイーちゃーん!」」
 
 
 
クラスの入り口から、ふと呼ばれる声が聴こえて、エディーリンはクラスの入り口を見た。
ソコにはシスター科と普通科の生徒達数人が来ていた。
 
 
 
「ねぇねぇ、エディーちゃん!
ついに今度の遠足の場所が発表されたよー!」
 
 
「すっげえところだぜ!
オレ達もまだ見に行ったことねぇんだ!」
 

「今から楽しみだよね」
 
 
──そういえば遠足というのがあると、レイラから聴いてましたわね
 
 
「遠足についてはもうレイラちゃんから聴いてるかもだけど、私達シスター科と普通科合同で行くから、すごく楽しみだね!」

「遠足先で腰抜かすなよ~?」

「本当すっごいの見れるから興奮しちまうって!」

「皆で見れるの楽しみだね!」
 
 
 
話から察するに、何かの鑑賞だろうか?
エディーリンも聴いてるとワクワクしてきて、想わず口元に手を当てて嬉しくなってしまった。
 
 
 
「あ!出たー!
エディーちゃんの癖~!」

「え?」

「エディーちゃん、笑う時とか嬉しい時とか、口元に手をあてて目を細めるよな!」

「そうそう!」
 
 
 
エディーリンはソレに目を丸くした。
 
 
 
「全く気付きませんでしたわ」
 
 
 
ソレにソノ場で話していた全員が楽しそうに笑った。
 
 
 
「エディーちゃんがオレ達人間との遠足、楽しみにしててくれそうで良かったよ!」

「ホントホント!
私達も、初めて魔族(ティシルツィア)との一緒の遠足だから楽しみだったから、エディーちゃんも同じ気持ちだったら嬉しいなって!」

「ねー!」
 
 
 
エディーリンはソレに嬉しくなり、口元に手を当てて「うふふっ」と笑った。
本当にアノ騒動以降、周囲の視線や言動は大きく変わっていた。
とても嬉しかった。
 
 
ソノ日は授業を終えたら皆でレイラ達と合流して教会で平和への祈りを捧げ、いろいろと話しながら寮へと帰った。
それもここ数週間で実は日課のようになっており、だんだんと一緒に帰る人が増えていったり、寮長も早朝点呼の時にもちゃんと名前を呼んでくれるようにもなっていた。
とても嬉しいことだった。
このまま順調に、人間と魔族(ティシルツィア)の休戦締約と同盟条約が現実になればいい。
エディーリンはそう心から想っていた。
 
 
でも中には、まだエディーリン…、魔族に対して目立った行動はしないものの、嫌がらせをしたり嫌味を言ったりヒソヒソとしたことを言ったりと、魔族と人間の隔たりが目にハッキリと見えていた。
魔族と人間、理解し合える者達。
魔族と人間、主に魔族に対して侮蔑と嫌悪の目を向ける者達。

長い歴史の中で争ってきた溝は、どうやったら埋まるのだろうか?

エディーリンは、ずっとソレばかりを考えていた。

 *
 
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