上 下
74 / 215

その74.キーボードの配置は、打ちにくくするため?

しおりを挟む
  今、この文章を読んでいる媒体は、PCでしょうか? スマホでしょうか?

 PCで見ている人は、キーボードを見て下さい。
 スマホで見ている人は……想像力で補ってください。あるいは「キーボード配列」で検索すると画像が出てくるので、頭に入れてから、エッセイの続きをどうぞ。

 キーボードのアルファベット配置をよく見ると、はっきり法則性や規則性がなく、デタラメです。
 ABC順でもないし、日本語の平仮名だって、50音順ではないですし。
 
 むかし、ブラインドタッチを学ぶ練習用タイピングソフトで、

「右手の人差し指をJキーに、左手の人差し指をFキーに置いて。これがホームポジションです」

とか習った記憶があります。
(目印のために、大抵のキーボードのJキーとFキーにはへこみや突起など、指で触って分かるようにしてあります)
 その時、「なんでABC順に並んでないんだよ……全部場所を覚えろってのかー」とグチグチこぼした記憶も。

 この配列の由来には諸説あるのですが、最初にタイプライターが発明された時、「早く打鍵しすぎると故障の元になるので、わざと遅く打たせるためにデタラメにした」という説があります。

 発明したばかりのタイプライターは、ABC順にキーが並んでいました。

 タイプライターは、アルファベットのボタンをひとつ押すと、そのボタンに反応して文字型のアームがガシャコン、と心地良い金属の駆動音と共に動いて、紙に文字のハンコをペタリと押し、印字するという仕組みでした。
 そのため、慣れてきて早く打鍵しすぎると、アームが次々と動くうちに絡まり、すぐに壊れてしまったそうです。
 そこで、わざと打鍵速度を遅くさせるために「打ちにくい不規則な配置にした」……という説。

 私は近年まで、この説を信じていましたが、どうやらガセネタのようで。

 初期のタイプライターは実際にABCの並びだったようですが、その使用者であった電報のオペレーターが「モールス信号を打ちやすくするため」と案を提出し、何度も少しずつ改良され、現在のキー配列になった、というのが真相のようです。
 その名残が現代まで残っている、というわけです。

 これが現在、キーボード配置の主流となっている「QWERTYクワーティ配列」と呼ばれるものです。

 キーボードの数字列の一段下、アルファベットの並びの左上からQ・W・E・R・T・Yとなっているので、そこから名付けられたようです。

「主流」もあれば、別の流れもあるわけで、「QWERTY配列」の他にも「Dvorakドヴォラック配列」というのもあります。

 タイピングのしやすさ、長時間の打鍵による身体的負担の軽減、を考慮して後年生み出された配列で、慣れるとDvorak配列のキーボードの方が速く快適に打てるそうです(タイピングの大会の上位入賞者は、この「Dvorak」配列の利用者が多いとか)。
 日本語用に特化してカスタマイズした「Dvorak JP」まであるらしいです。

 この「Dvorak」配列、対応している訓練用ソフトや紹介書籍が少ないため、あまり普及していないのが現状のようですが……。

 ほかにも、Colemak配列、Malton配列、NICOLA配列というのもあるようです。興味のある方は調べてみて下さい。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【立場逆転短編集】幸せを手に入れたのは、私の方でした。 

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:5,091pt お気に入り:821

愛する人に裏切られたようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:38,162pt お気に入り:628

短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)

ホラー / 連載中 24h.ポイント:23,983pt お気に入り:62

幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:18,232pt お気に入り:3,529

→誰かに話したくなる面白い雑学

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:1,810pt お気に入り:75

婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:482pt お気に入り:657

処理中です...