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その152.「たばこ」って、何語?

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 前回、「天ぷら」の語源のひとつに、ポルトガル語の由来がある、と取り上げました。

 ポルトガル語が、日本語に残っているケースは意外とあるようです。

 今はあまり見かけなくなりましたが、昔は、どこの町にも「たばこ屋」はありました。

 おばあさんが一人で店番していて、白い看板に赤い文字で「たばこ」と書かれていたのを覚えています(店先の赤い公衆電話も、原風景としてワンセットで)。

 その時、看板の横に「TABACO」と書かれていたのが、どうにも疑問だったんですよね。
 ローマ字だったら「TABAKO」だろうし、なんで「C」なんだろう、って。

「たばこ」は、日本語でも「煙草」と書いて「煙草(たばこ)」と読ませるので、日本語かと思いがちですが、ポルトガル語が由来の言葉です。

 食べ物では、「カステラ」「コンペイトウ」「キャラメル」「ビスケット」、お菓子の「たまごボーロ」の「ボーロ」、バッテラ寿司の「バッテラ」などもポルトガル語。

 ラーメンの「チャルメラ」は、ポルトガルの木管楽器の名前・チャラメラから。

 実験で使う「フラスコ」、花に水をあげる「ジョウロ」、雨の日に着る雨合羽(あまがっぱ)の「カッパ」、「ブランコ」「ボタン」などもポルトガル語由来。

 意外な由来としては、「ピンからキリまで」の「ピン」も「キリ」も、ポルトガル語が元です。

「ピンからキリまで」は「ピンキリ」などと略したりもしますが、「良いものから悪いものまで」「はじめから終わりまで」といった意味。

 ポルトガル語で「点」を意味する「pinta」、「十」を意味する「cruz」が変化して、「ピン」「キリ」となりました。

「ピン」は「点」が変化したものですが、サイコロの「1」がひとつの「点」だったことから、「1」あるいは「はじまり」という意味を持つように。

 サイコロで「1」が揃うのを「ピンゾロ」と呼んだり、コンビ芸人ではなく一人の芸人を「ピン芸人」というのも、そこからきています。

「キリ」の方も「ピン」と並べて「最後」という意味を持つようになっていったのですが、ポルトガル語ではなく、日本語で「キリがない」「キリがいい」「これっきり」など、「区切り」を意味する言葉で「キリ」と使うように、そちらが語源だという説もあります。
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