婚約破棄がしたくて一人二役をする婚約者が可愛い

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 待ちに待ったお茶会の日。

 目の前にはツンとした表情のミリスが座っていた。

 本日は、ミリスの家でのお茶会であった。
 謙次と逆力、目を合わしたくないのか目線が合わず、謙次の眉間を見ている気配がしていた。

「....時に、謙次様。妙な噂をお聞きしたのですが」
「ふ~ん、噂?どんな噂だい?」
「いえ、あの。謙次様の噂ですわ」
「私の噂?はて、何かしてしまったかな」
「...本当に心当たりがないのですか?」
「ああ、今のところ思いつかないな」
「...そうですか」

 ミリスが少し苛々したようにお茶を飲んだ姿を見て、謙次は笑いそうになった。

 ____婚約者(ノア)との交流が、誰に咎められるというのか。

 ミリスは、ノアとミリスが同一人物であると
 謙次にバレていないと思っている様子であった。


 ____なんて、面白いんだろう。

 謙次は、最初から気づいていた。

 流石にピンクのウィッグをつけてメイクをして声を高くて可愛らしいものにして変装したとしても、
 流石に婚約者に気づかないほど謙次は馬鹿ではなかった。

 ミリスはその後、沈黙してしまい、そのままお茶会は終わった。

 次は、ノアとのデートである。


***

「謙次さまぁ~~会いたかったあ」

 そういいながら抱きついてきたノアを謙次は抱きしめて、「私も会いたかったよ」と囁いた。

 サッ、と飛び引くように離れたノアは、グッ、と覚悟を入れた顔を一瞬した後、謙次の手と恋人繋ぎをした。

「きゃ、きゃあ~~恋人繋ぎしちゃったあ~~」

 ノアが周囲にも聞こえるような大きな声ではしゃいだ様子をつくっているのを見て、謙次はやはりと納得した。

 ____やっぱり、私との婚約を破棄したいようだ。
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