ロンクの冒険

shinko

文字の大きさ
7 / 9
第一章

7話 探索と脱出

しおりを挟む
「やったわね、ロンク!」

 リーズが弾ける様な満面の笑顔で、飛びこむように抱き着いてきた。

 回転しながら受け止めて衝撃を和らげる。

 嬉しいが危ないやつだ。

 軽い衝撃と共にふわっと甘い香りがする。

「ああ、何とかなったな」

 リーズを抱きしめて柔らかな感触を味わった。うん良かったな。

「強いのね、ロンク。あの爆発すごかったわ、Cランクプロ位の実力はあるんじゃないの」

 リーズが興奮している。尊敬するようなキラキラした目で俺を見る。 

 実はそんな事はない。あの威力はこの剣の魔力のおかげなのだ。だがこの戦闘で全てのエネルギーを使ってしまった。満タンにするには二十日はかかるのだ。

「いや、これはこのショートソードの魔力のおかげなんだ。だが、全部魔力を使ってしまった。もう当分は使えないんだよ」

「そうなんだ、でもすごいわロンク。あんな強い敵を倒しちゃうんだもの。さっきの騎士はこの階層のボスよね。あっ宝箱が出てるわ、開けてみましょ」

 目の前にはドロップした宝箱があった。さっきのボスのドロップだろう。

 ダンジョンの宝箱には危険なトラップが仕掛けられている事もあるが、流石にボスを退治して出た物にはトラップはないはずだ。

「うん、開けてみよう」

 念の為、慎重に宝箱を開けた。開けた瞬間ホワンと一瞬宝箱が光ったように見えた。なんだ、レアか?

 期待して確認すると、中には小さな火の鳥の形どったネックレスが入っていた。

 マジックアイテムだろうか。ネックレスを取り出した。

 なんか不思議な力を感じる気がするな。

 火の鳥か、かっこいいな。いでよ火の鳥! なんつって。

 ネックレスを持ってそう思った瞬間。

『クオーン』

 ネックレスが光輝き、燃え盛る炎の火の鳥が現れた。

 メラメラ燃えているのだ。マジか、召喚しちゃったのか。

『我は火の鳥メラミス、主人よ、名前を教えてくれぬか』

 火の鳥が話しかけてくる。鶏ほどの大きさの燃える鳥が、羽ばたきもせず浮かんでいるのだ。

「俺はロンク、主人って、メラミスは召喚獣なのか」

『そうだ、主人の呼びかけによって日に一度召喚されるのだ。戻さなければずっとそばでお仕えしよう』

 やっぱり召喚獣のみたいだ。やはりレアアイテムだったようだ。これはすごいな、俺は興奮して質問する。

「メラミスは何ができるんだ。火の鳥だから何かすごい特技とかあるのか」

『もちろんだ。火炎魔法が使える。が、一日一度だけだ』

「えっ一回だけなの」

『ああ、そうだ。あとはそうだな。明るいし、火の代わりも出来るぞ。便利だろう』

 偉そうに使える自慢をするメラミス。

 確かに便利だけど……いや、うん。便利だ。なんせコストがかからないのだ。

「そうか、じゃあこれから頼むなメラミス。早速だが、ここは何階かわかるか」

『いや、さっぱりわからん。なんせ何十年か何百年ぶりに姿を現したのだ。すまんな』

「いやいいんだ、わかったらいいなと思っただけだ」

 よくわからん召喚獣を手に入れた俺達は、一度階段を下りて洞窟部屋に戻り休憩した。

 ボス戦で疲れたのもあって、その日はショートソードに魔力1を入れて、休む事にした。火の鳥メラミスのおかげで部屋は明るい。

 そして温かい。

 ギフトの宝箱から食料を調達した俺達は贅沢に食事を楽しんだ上に、お湯をたっぷり沸かして綺麗に体と頭を洗ってテントで寝た。

 もちろんメラミスの火のおかげだ。もう固形燃料の心配も必要ないだろう。


 翌朝、朝食を食べた後、ショートソードに魔力1を入れて出発する。

 これで魔力残量2、何とか一度は【光の斬撃】を飛ばせる。威力は弱いがあると思えるだけで安心感が違う。

 階層主も倒したので、今日は水も全て大袋に入れて洞窟部屋を出た。

 昨日贅沢に使ったこともあり、残り2Lが7個、これくらいなら十分持てるのだ。

 一応この大袋はじいちゃんの形見で、少し魔法がかかっており通常の袋よりは多く物が持てるのだ。


 実は貴重な物らしい。本当にじいちゃんには感謝している。


 ちなみに召喚獣のメラミスは出しっぱなしだ。特に問題ないらしい。

 洞窟探索には持ってこいだな。

 一応、敵の警戒もしてくれる上に明るいのでランタンを出さなくていい。

 しかも雑魚モンスター、スライム、モグラ、カエル位は体当たりで焼き殺してくれるのだ。

 素晴らしい。十分以上の戦力だった。


 ただ、ドロップしたスライムゼリーもカエル肉も燃えてしまうので魔石以外は期待できない。

 だがそれでも非常にありがたい。

 魔石を数個拾って昨日の階段まで来た。

 階段を上がる。

 もしかしてまた青銅の騎士が復活してるかもしれない、と警戒しながら登って行ったが階段の先には魔物の気配はなかった。

『大丈夫だ。特に問題はない』

 メラミスがあたりを警戒してくれている。

 いいな。召還獣。

「よしリーズ、今日からはこの階層のマッピングだ」

「そうね、じゃあまた右の壁伝いに行きましょう」

 セオリー通り、壁伝いに調査を開始した。

 二人と一匹で警戒しながら歩いて行った。スライムやモグラがいるくらいで大した敵はいない。

 不思議なダンジョンだな。ボスは強いクセに大したモンスターがいない。

 もしかしたらダンジョンじゃないのかもしれない。他の冒険者も見当たらないのだ。

「あれっあそこに階段があるじゃない!」

「本当だ」

 すぐに上に上がる階段を発見した。

 また階層守護者ボスがいるかもしれない。

 うーん、ショートソードの魔力は少ないけど何とかなるかな。

 メラミスの魔法もあるし、ボスは奥に行くにしたがって強くなるはずだ。青銅の騎士より弱いボスなら何とかなるかもしれない。

「どうする、ロンク」

 リーズが心配そうに問いかけてくる。

「うん、行こう。ここで魔力が回復するまで待つのはちょっとつらい。メラミスの魔法頼りだ。ボスを倒して脱出したい。いけるかメラミス」

『ああ、もちろんだ。我が火炎魔法をお見舞いしてやろう』

 自信満々なメラミス。よし、行こう。

 俺が先行して階段を上がっていった。

 ギリギリの角度から様子を探る。

 上には緑の小さな悪魔がいた。

 子供の悪魔リトルデーモンだ。

 小さな体に悪魔の羽を生やして三又の矛を持っている。やはり【階層守護者】だろう。

 うーん、勝てるかな。

 そう思った瞬間。

火炎大爆発フレアバドム!』

 階段から空中に飛び上がったメラミスが特大の火魔法を放った。

 眩い光がリトルデーモンを襲った瞬間。

 ――ドバーーーーーンッ。

 ものすごい火炎爆発が起こった。

「うわーーーーー!」

「きゃーーーーー!」

 熱風が遅れてやってきた。

 あちゃちゃちゃ。


 これはひどい。


 火炎が収まった後には、宝箱と魔石が落ちていた。瞬殺だ。

『ふふふ、どうだロンク、我の力を見たか』

 メラミスが調子に乗っている。

「ああ、すごいな。これはすごい。一撃だったな」

「すごいわ、メラミス。悪魔って大体炎体性がありそうだけどあれなら関係ないわね。うふふ、さあロンク、宝箱をあけましょ」

 嬉しそうなリーズ。わかりやすいな。

「そうだな、そうしよう」

 とりあえず大きめの魔石を拾って袋に入れると、ドロップした宝箱を開けた。

 これもトラップは無いだろう。

 フタを開けると中には弓矢のセットが入っていた。

「あら! これはいいわね。私弓にはちょっと自身があるのよ」

 リーズが弓矢を取り出して構えた。

 中々様になっている。

 弓は経験がいるのだ。経験のない弓はまるで役に立たない。まず当たらないからだ。

 だが経験を積んだ弓は強力な武器になる。俺は弓は駄目だがリーズが使えるならありがたい。

「使えるなら頼もしいな、リーズが使ってくれ」

「うん、そうするわ……この弓いいわね。魔法がかかってる気がするわ、流石ボスのドロップ品ね」


 弓の感触を確かめながらリーズは弓矢を装備した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

72時間ワンオペ死した元球児、女神の『ボッタクリ』通販と『絶対破壊不能』のノートPCで異世界最強のコンビニ・スローライフを始める

月神世一
ファンタジー
「剣? 魔法? いいえ、俺の武器は『鈍器になるノートPC』と『時速160kmの剛速球』です」 ​あらすじ ブラックコンビニで72時間連続勤務の末、過労死した元甲子園優勝投手・赤木大地。 目覚めた彼を待っていたのは、コタツでソシャゲ三昧のダメ女神・ルチアナだった。 ​「手違いで死なせちゃった☆ 詫び石代わりにこれあげる」 ​渡されたのは、地球のAmazonもGoogleも使える『絶対破壊不能』のノートPC。 ただし、購入レートは定価の10倍という超ボッタクリ仕様!? ​「ふざけんな! 俺は静かに暮らしたいんだよ!」 ​ブラック労働はもうこりごり。大地は異世界の緩衝地帯「ポポロ村」で、地球の物資とコンビニ知識、そして「うなる右腕(ジャイロボール)」を武器に、悠々自適なスローライフを目指す! ​……はずが、可愛い月兎族の村長を助けたり、腹ペコのエルフ王女を餌付けしたり、気づけば村の英雄に!? ​元球児が投げる「紅蓮の魔球」が唸り、女神の「ボッタクリ通販」が世界を変える! 異世界コンビニ・コメディ、開店ガラガラ!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

処理中です...