ロンクの冒険

shinko

文字の大きさ
8 / 9
第一章

8話 脱出

しおりを挟む
 弓矢を装備し一応戦える状態になったリーズ。

 召還獣のメラミスと共に先へと進む。

 明かりにもなるメラミスを先頭に、上へ向かう階段を探し続けた。

 階層が上がった事もあり、大した敵もいないとは思うが油断は禁物。
 
 警戒は緩めないまま、慎重に通路を歩き続ける。

 しかし本当に大した敵もいない。スライムが数匹いるだけだ。

 しかも見つけた瞬間にメラミスが体当たりで片付けてくれる。


 しばらくしてあっけなく階段を発見した。


「あったわ、階段ね」

「メラミスがいるから本当に楽だな」

『この程度なら問題ない、我に任せておくのだ』

 メラミスが胸を張る。うん、お任せしよう。

 といきたい所だが問題が。

「でも魔法は打ち止めだろ、先頭は俺が行く。合図するまでは待機してくれ、いいな」

『うむ』

「うん、気をつけてね」 

 上にボスがいるかもしれないので慎重に上がっていく。
  
 ゆっくりと見つからないように階段から注視する。


 何もいない……か。


 しかし上には階層主はおろか、モンスターさえ見当たらなかった。
 
 二人? を呼び寄せて合流する。

 拍子抜けしてフロアに出たが、そこは小さな部屋があるだけの行き止まりだった。

 むむ、困ったな。ここは間違いなのか……。もしかして他に階段があるのかな。

「あれっ行き止まりかしら、不味いわね。でもここ以外に道もないし……」

「そうだよな……あっあれっ!? ほらっあそこに穴があるぞ」

 よく見ると部屋の先に、人が何とか入れそうな、小さな穴があるようだ。
  
 僅かに光が見えている。

「あっ本当! 外に出られるかしら、でも何かあるかもしれないわ。罠の可能性もあるしれない、気をつけてね、ロンク」

「ああ……」
 
 慎重に近づいてその先を覗く。

 すると外がチラリと見えた。
 
 三メートルほど先から外に出られそうだ。

「やった! 外だ。ここから外に出られるぞ」

「本当!? やったわね! ロンク」

 リーズが飛び跳ねて抱き着いてくる。

「まあ、慌てるな。よし、俺がまず行ってみるぞ」

 這いつくばって狭い穴をズリズリと抜けると、久しぶりに空が見えた。ついに洞窟? から脱出したのだ。

「大丈夫、問題ない」

「うん……狭いわね。よいしょっと」

 リーズも後から這い出てきた。

 メラミスは最後にすいーっと穴を抜けてきた。ある程度大きさが変えられるらしい。
 
 いいなぁ、それ。

 何はともあれ脱出できた。

 その安堵感からほっとすると、急に体に疲労を感じた。
 
 今まで張っていた気が緩んだのだろう。

 なんだかんだで疲れたな。

 久々に見た夕やけ空がやけに眩しい、暗い洞窟に慣れたせいで目がクラクラするようだ。
 
 心なしか、いや確実に空気も旨い気がする。

 
 這い出た場所は崩落した土地のすぐそばだった。

 もしかしたら新しいダンジョンなのかもしれないな。
 
 念のため、冒険者ギルドに報告したほうがいいだろう。

 また落ちないように、崩落現場を注意して大回りする。

 ここでまた落ちたら目も当てられないからな。

 無事にかわして安全を確認。リーズと改めて喜びを味わう。

「よかったー、やっと出られたわね、ロンク。私一人だったらどうしようもなかったわ。本当ありがとう」

 リーズがぎゅっと抱き着いてきて、可愛い笑顔でお礼を言った。

「うん、でも俺も一緒だよ。一人だったら脱出できたかわからない。リーズに会えてよかったと思うよ」

 柔らかなリーズの温もりを感じながら、可愛い唇にチュッとキスをした。

 ふふふ、とリーズも嬉しそうに微笑む。

 しばらく抱き合ったまま、二人でお互いの幸運に感謝した。
 
 リーズの赤い髪を撫でる。ペアになれて幸せだな……。夕日に照らされたリーズがとても可愛く見える。


 ようやく地上に戻れたのだ。

 今日は久々に宿屋に泊まりたい。ゆっくり柔らかいベッドで眠りたいところだ。

 疲れはあるがそろそろ動くか。

 ジュエールの町は目前とはいえもう夕方。急がなければ夜になってしまう。

「急ごうかリーズ、夜になると門が閉まるんだろ」

「そうかもしれないわね。うん、急ぎましょう」

 メラミスは目立ちすぎるのでネックレスに戻した。
  
 日が暮れる前にジュエールの町へ入れるようと急いで向かう。


 無事ジュエールの町に入った俺達は、そのまま冒険者ギルドに向かい、今までの報告をした。

 新たなダンジョンの可能性に冒険者ギルドも探索隊を出すようだ。報告に対して感謝された。

 貯め込んだ戦利品を全て出した所、かなりの金額を得ることができた。何日も潜っていたからな。

 
 魔石D+(青銅の騎士) 500ドロル 魔石D(子供の悪魔) 300ドロル 各種魔石等 500ドロル

 合計1500ドロル大銀貨1.5枚も獲得できたのだ。

 大きな成果に嬉しさが溢れる。リーズと二人で大喜びだ。

 さらに、D+ランクの魔石を獲得したことで一気にDランクベテランに昇格した。

 ついでにリーズとペアパーティー登録をしておいた。 
 
 ペアでの成果なのでPTランクもDランクとなった。


 PTの名前は【 火の鳥 ファイヤーバード】にした。

 そうメラミスから取ったのだ。リーズが恐ろしく恥ずかしい名前ばかり挙げるので、一番無難な名前がこれだったのだ。

 これもかなり恥ずかしいが、火の鳥を召喚獣として実際に所持しているので問題ない。

 懐も温かくなったところで宿屋街へと向かった。


「ねえ、ロンク。折角お金も入った事だし、今夜はいい宿に泊まりましょうよ」

「そうだな、どうせならお風呂があるところがいいな」

 お風呂がある宿はそれなりに高級なのだが、幸いお金には余裕がある。
 
 洞窟に落ちたのは災難だったが終わってみればラッキーだったな。
 
 お金もメラミスも得られたし、可愛いリーズとペアになれたのだ。

「いいわね、今日はお祝いね」

「うん、洗濯もしたいしな。悪いけど少しだけ匂うぜ、リーズ」

「ちょっちょっと! だってしょうがないでしょ。レディにそんな事言わないで、ロンクだって一緒じゃないの」

「はははっまあ、そうだよな」


 本当は臭くもないのだが、何となくからかいたい気分なのだ。
 
 しょうもない事を言ってじゃれ合ってイチャイチャする。 
 
 解放感と安心感でちょっとテンションの上がっている二人だった。

  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

72時間ワンオペ死した元球児、女神の『ボッタクリ』通販と『絶対破壊不能』のノートPCで異世界最強のコンビニ・スローライフを始める

月神世一
ファンタジー
「剣? 魔法? いいえ、俺の武器は『鈍器になるノートPC』と『時速160kmの剛速球』です」 ​あらすじ ブラックコンビニで72時間連続勤務の末、過労死した元甲子園優勝投手・赤木大地。 目覚めた彼を待っていたのは、コタツでソシャゲ三昧のダメ女神・ルチアナだった。 ​「手違いで死なせちゃった☆ 詫び石代わりにこれあげる」 ​渡されたのは、地球のAmazonもGoogleも使える『絶対破壊不能』のノートPC。 ただし、購入レートは定価の10倍という超ボッタクリ仕様!? ​「ふざけんな! 俺は静かに暮らしたいんだよ!」 ​ブラック労働はもうこりごり。大地は異世界の緩衝地帯「ポポロ村」で、地球の物資とコンビニ知識、そして「うなる右腕(ジャイロボール)」を武器に、悠々自適なスローライフを目指す! ​……はずが、可愛い月兎族の村長を助けたり、腹ペコのエルフ王女を餌付けしたり、気づけば村の英雄に!? ​元球児が投げる「紅蓮の魔球」が唸り、女神の「ボッタクリ通販」が世界を変える! 異世界コンビニ・コメディ、開店ガラガラ!

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...