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第十六話.イチリルの町15. 2人の初狩猟 2

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  ジャンっと音がして旅人の剣が空中に現れて落下する。

「ああ、でたー。シルフィーどうだった」

「やっぱり音は出なかったわ。いきなりパッと出てきた感じ」

 音はでてないのか、俺用の効果音か。

 音が出てないなら、気づかれにくくて、いいな。

「それより、なにがもうだめなのよ」

「いやいや。こっちの話」

「もしかして、剣を出すのって結構たいへんなの?」

 と心配そうな顔をするシルフィー。

 いや申し訳ない。

 遊んでるだけです。

「いや、ちょっと実験してただけだ。普通にやれば、問題ない」

「そう。ならいいけど、無理しないでね」

 おっアルフィーさんと、同じ事を言うな。

 これでおっぱいがあればなぁ……。

 まぁ俺にはアルフィーさんがいるからな。

「大丈夫だ。音がでてないのが分かってよかった。次にいくぞ」

「うん。」

 昼までにもう1羽ウサギを狩り、昼飯にした。

 木の下で座って、野菜入りスープと黒パンを食べる。

「だいたいこんな感じ。ちょっと休憩して、夕方までにウサギか赤鶏をもう2.3羽ってとこかな」

「すごいわ、1日銀貨1枚いけるわね」

「ああ、こないだは6羽取れて、銀貨1.3枚いった。どうしても傷が多くなるから買取は安くなるんだ」

 シルフィーは驚いた顔をした。

「6羽はすごいわね。でも確かにこれなら納得よ、傷がつくのもしょうがないわ。でも、もしかしたら、もっと取れるかもしれないわ」

「えっどうゆうこと」

「私ね、気配探知が使えるの。あとエルヴァンは風下とか、風上とか考えてないでしょ。位置取りを上手くして近づけば、もっと狩れると思うのよ」

 シルフィーの目が怪しく輝く。

 ハンターの目だ。

「すごいじゃないかシルフィー。気配探知か、狩人らしいな」

 これでおっぱいがでかければ最高だ。


 巨乳を狩人したい。


「じゃあ、休憩したら、私が先行するわね」

「うん。頼むよ」

 休憩後、シルフィーが先行して俺がついていく。

 プリンとした可愛いおしりだ。

 あれ?おっぱいの割にはおしりは立派だな。

 
 おしりをガン見してついていく。


 するとシルフィーがウサギを見つけたのか、手で合図する。

 指をさすが見えない。


 あっ見えた。だいぶ遠いぞ。


 俺なら気が付かないレベルだ。


 やるな。


 まっすぐ行こうとすると、シルフィーが背中を引っ張る。

「えっ」

 シルフィーが怒ったような顔をして、口に人差し指を当て、しーっとゼスチャーをする。


 顔が怖い。


 俺がうなずくと、シルフィーは体勢を低くした。右から大きく回り込むようにしてウサギに近づく。


 俺もシルフィーのおしりについていく。


 おしりと顔がくっつきそうだ。

 危ないぞ。

 大丈夫か。

 
 いや俺の加減次第だろ。


 その時、シルフィーが突然止まった。おしりに顔がぶつかる。



 やわらかーい。



 シルフィーが何やってんのよとゼスチャーする。

 俺もごめんと謝る振りをする(悪いとは思っていない)

 ウサギから5m位のところで、シルフィーがOKサインをだす。

 うなずいて、俺がウサギににじり寄る。

 もうすぐで射程圏だ。

 今だ。

 ジャンっと音がして、空中から旅人の剣が落下する。

 ウサギはまったく動かないまま、ザクっと剣に貫かれた。

「おおーっ」

 素早く駆け寄り、とどめを刺す。

「なんかすごいな。ウサギがまったく気づいてなかったみたいだ」

「そうでしょう。そうでしょう。風下と、ウサギの死角を取ってるからね」

 シルフィーが得意げだ。胸をはるが、大きくはない。


 うーん残念。


「まだ近くにもいるわ」

 またシルフィーが体勢を低くした。


     
      ☆



 結局、夕方までにウサギ3羽、赤鶏2羽を狩り、午前とあわせて合計ウサギ5羽、赤鶏2羽の7羽を狩ることができた。


 新記録だ。

「やったなシルフィー」

「やったわね、エルヴァン」

 二人で大喜びした。

「ねえ。エルヴァンって呼びにくいからエルって呼んでいい?」

 シルフィーが上目づかいで言ってきた。

「ああ、俺もエルヴァンは呼びにくいと思う。エルでいいぞ」

「じゃあ、私もシルって呼んで、ご主人様」

「ふむ。ふむ。くるしゅうない。ちこう寄れ。シル」

 大量に狩れたので、シルフィーもテンションがおかしくなっている。

 俺がバンザイすると、シルフィーもバンザイして二人で抱き合った。

 フワッとやわらかく、甘い香りがする。

 体は細くやわらかいが、おっぱいは堅い。


 むしろ痛い。


 二人で抱き合ってくるくる回ってシルフィーをえぃっと押して離した。

 シルフィーは一人でくるくると回って、華麗にポーズをとりながら止まった。

「今日は臭くないな」

「あっ当たり前じゃない。私が臭いんじゃないのよ。馬小屋が臭いだけ」

「それは、どうかな」

 と言ってにおいを嗅ぎながら近づいた。

「においを嗅ぐな」

 とシルフィーは逃げ出した。

 そろそろ帰るか。

 余裕をもって町に戻った。

 2ドロル払って門をくぐる

残金 41ドロル 大銅貨4.1枚

 門をくぐってすぐ、シルフィーが思い出したように言った。

「あっそうだ。エル。私買いたいものがあった。悪いけど10ドロル貸してくれない?」

「ああ。いいぞ。じゃあ買い物が終わったら、そうだな。露店の前で集合な」

 10ドロルをシルフィーに渡す。

「ありがとうございます。ご主人様。じゃまたあとでね」

 大事そうにお金を受け取ると、シルフィーは走っていった。

残金 31ドロル 大銅貨3.1枚

 冒険者ギルドに入る。

 今日も天使がいた。

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