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1.予想外の平和な日常
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「さぁ、どうぞ。召し上がれ!」
「「「わぁ!!!!」」」
「おかわりも沢山あるわ!」
「「「きゃああ!!!」」」
今日はご馳走。
昼間に肉屋のおじさんから売れ残りという体で大きなお肉の塊が届けられた。
おかげで子どもたちが奪い合わず、むしろ余る程のお肉たっぷりのクリームシチューが完成したのだ。
と言っても、この子たちは飢えを知らない。
野菜はちょうど収穫の時期で、元々酷く飢える時期ではなかったけれど。
私が幼い頃には、この季節の食事といえば、煮込み過ぎてくたくたになった野菜がメインの薄味のスープばかりだった。
今でも当時と変わらず、敷地内で畑を耕し、自分たちで食べる分の野菜は育てている。
けれども今や、腐らせないかと心配するほどの量の野菜が手に入った。
町の人たちが屑野菜だから、余ったから、という体で、毎日のようにここに届けてくれるからだ。
今日だって調理場の片隅には、野菜が入った木箱が積んである。
肉や野菜だけではなく。
幼い頃は少ないパンを分け合って食べていた。
それが今では、子どもたちが一人二つ三つ食べたって余るパンが届けられる。
それもパン屋さんが売れ残りや失敗作という体で、譲ってくれるからだ。
牛飼いのお兄さんは、毎日出さにゃなんらからさぁと笑って、協力を依頼する体を取り、大瓶に入れた牛乳を、余ったという体を追加してバターの塊まで頂けるときもあるのだ。
この町にはたまぁにしか顔を見せない商会の人たちまで、気が付いたら商品入れ替えの廃棄物だからという体で、塩や砂糖、胡椒やシナモン、蜂蜜といった、調味料類を分けてくれるようになっていた。
腐らないから商品入れ替えの必要はないのでは?と思っても、有難いので黙っている。
こうしておかげさまで、以前とは違う理由で、連日似たようなメニューが続く。
食材大量消費にシチューは鉄板だよね?パンにもよく合う。
というわけで、今日もまたシチューで悪いけれど。
さぁさぁ、食材消費のために、今日もたっぷりお食べ。
そうして私も席に着いて、一緒に食べ始めれば。
「リリア姉、おかわり!」
「私も!」
「僕も!」
「もう一回おかわりできる?」
「俺、もう二回おかわりしたい!」
「私は三回!」
一口、また一口と味わうたびに、次々と皿は空いていて。
輝く瞳が、一瞬も待てないのだと訴えてくる。
「温め直してあげるから少し待って──」
食事を諦め、立ち上がろうとしたときだ。
「リリアは座っていたらいいぞ。先生たちも俺が来たときくらいゆっくり食べてくれ」
そうだった。今日はアレクがいるんだったね。
アレクは今年からこの町の肉屋に就職している。
元々自分の社会勉強のために肉屋でお手伝いをしていたアレクは、運良くそのまま雇って貰えた一人だ。
おじさんに代わって、今日のお肉を届けに来てくれたのもアレクで。
こういう日は、そのまま実家でゆっくりして来いという言葉を添えて、雇い主であるおじさんに送り出して貰っているんだとか。
アレクはいいところに就職したよね。
私がここに来たばかりの頃に、もう大きかったお兄さん、お姉さんたちのほとんどは、成人すると町の外へと出て行った。
町の人たちは以前から変わらずにずっと優しくいい人たちだったと思うけれど、当時は孤児院の子どもたちと町の人たちの繋がりが希薄で、誰からも聞いたわけではないが、お兄さんたちの方がこの町に残ることを遠慮したのではないかと感じている。
親のない子どもたちは、扱いに困るだろうし。
誰も事情を知らない場所で生きた方がお互いのためにもなって、本人も幸せになれそうだなんて。
前までの私も、そんな風に思っていたから。
アレクも、私も、この孤児院で育った。
つまり親のいない孤児。
思い返せば、当時はとても孤児らしい貧しい暮らしをしていたように思う。
こんな風にお肉の入ったシチューをお腹いっぱい食べられる日が来るなんて、考えたこともなかった。
『お前のおかげだろうよ』
アレクはいつもそう言って笑うけれど。
確かにそれは私の発言から始まった。
でもね、私だって。
ここまで上手くいくなんて考えていなかったんだよ。
すべてはこの町の人たちがいい人過ぎたこと。これに尽きる。
「「「わぁ!!!!」」」
「おかわりも沢山あるわ!」
「「「きゃああ!!!」」」
今日はご馳走。
昼間に肉屋のおじさんから売れ残りという体で大きなお肉の塊が届けられた。
おかげで子どもたちが奪い合わず、むしろ余る程のお肉たっぷりのクリームシチューが完成したのだ。
と言っても、この子たちは飢えを知らない。
野菜はちょうど収穫の時期で、元々酷く飢える時期ではなかったけれど。
私が幼い頃には、この季節の食事といえば、煮込み過ぎてくたくたになった野菜がメインの薄味のスープばかりだった。
今でも当時と変わらず、敷地内で畑を耕し、自分たちで食べる分の野菜は育てている。
けれども今や、腐らせないかと心配するほどの量の野菜が手に入った。
町の人たちが屑野菜だから、余ったから、という体で、毎日のようにここに届けてくれるからだ。
今日だって調理場の片隅には、野菜が入った木箱が積んである。
肉や野菜だけではなく。
幼い頃は少ないパンを分け合って食べていた。
それが今では、子どもたちが一人二つ三つ食べたって余るパンが届けられる。
それもパン屋さんが売れ残りや失敗作という体で、譲ってくれるからだ。
牛飼いのお兄さんは、毎日出さにゃなんらからさぁと笑って、協力を依頼する体を取り、大瓶に入れた牛乳を、余ったという体を追加してバターの塊まで頂けるときもあるのだ。
この町にはたまぁにしか顔を見せない商会の人たちまで、気が付いたら商品入れ替えの廃棄物だからという体で、塩や砂糖、胡椒やシナモン、蜂蜜といった、調味料類を分けてくれるようになっていた。
腐らないから商品入れ替えの必要はないのでは?と思っても、有難いので黙っている。
こうしておかげさまで、以前とは違う理由で、連日似たようなメニューが続く。
食材大量消費にシチューは鉄板だよね?パンにもよく合う。
というわけで、今日もまたシチューで悪いけれど。
さぁさぁ、食材消費のために、今日もたっぷりお食べ。
そうして私も席に着いて、一緒に食べ始めれば。
「リリア姉、おかわり!」
「私も!」
「僕も!」
「もう一回おかわりできる?」
「俺、もう二回おかわりしたい!」
「私は三回!」
一口、また一口と味わうたびに、次々と皿は空いていて。
輝く瞳が、一瞬も待てないのだと訴えてくる。
「温め直してあげるから少し待って──」
食事を諦め、立ち上がろうとしたときだ。
「リリアは座っていたらいいぞ。先生たちも俺が来たときくらいゆっくり食べてくれ」
そうだった。今日はアレクがいるんだったね。
アレクは今年からこの町の肉屋に就職している。
元々自分の社会勉強のために肉屋でお手伝いをしていたアレクは、運良くそのまま雇って貰えた一人だ。
おじさんに代わって、今日のお肉を届けに来てくれたのもアレクで。
こういう日は、そのまま実家でゆっくりして来いという言葉を添えて、雇い主であるおじさんに送り出して貰っているんだとか。
アレクはいいところに就職したよね。
私がここに来たばかりの頃に、もう大きかったお兄さん、お姉さんたちのほとんどは、成人すると町の外へと出て行った。
町の人たちは以前から変わらずにずっと優しくいい人たちだったと思うけれど、当時は孤児院の子どもたちと町の人たちの繋がりが希薄で、誰からも聞いたわけではないが、お兄さんたちの方がこの町に残ることを遠慮したのではないかと感じている。
親のない子どもたちは、扱いに困るだろうし。
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前までの私も、そんな風に思っていたから。
アレクも、私も、この孤児院で育った。
つまり親のいない孤児。
思い返せば、当時はとても孤児らしい貧しい暮らしをしていたように思う。
こんな風にお肉の入ったシチューをお腹いっぱい食べられる日が来るなんて、考えたこともなかった。
『お前のおかげだろうよ』
アレクはいつもそう言って笑うけれど。
確かにそれは私の発言から始まった。
でもね、私だって。
ここまで上手くいくなんて考えていなかったんだよ。
すべてはこの町の人たちがいい人過ぎたこと。これに尽きる。
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