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26.現実逃避
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誰も使っていなかった奥に続く小さな扉が開くと、まずは騎士のような恰好をした男性が入ってきた。
その男性に続いて、また男性が一人。
自分の足で歩いているけれど、前に出した両手首は縄で結ばれており、その縄の先は先頭の騎士服の男性の手に握られているようだ。
男の目がぎろりぎろりと左右に流れた。
肥えてはいるのに、頬はこけ、目はくぼみ、顔だけが酷くやつれて見える、そんなアンバランスな容姿をした男である。
さらにその後ろにもまた別の騎士のような男性が続いた。
男は騎士に挟まれる形で入場してきたということ。
これで男が何者か、分からない方がおかしい。
男が証言台の前に立つと、騎士たちは一歩下がった左右にそれぞれ立った。
私はひとまず、騎士服の男たちを観察する。
あの白い騎士服は、神殿の騎士の証と聞いていた。
だから神官さまの同僚だろう。
その決まりが先にあるせいで、どの国の騎士も白以外の騎士服を纏うらしい。
しかもその色は国ごとに違っていて、私はさっきこの部屋に案内されたときに青い騎士服の人たちを見ていた。
あれがこの国の騎士さまだろうと思われる。
この国で育ってきた私が何故知らないかと言えば、田舎のあの町に国の騎士さまなんて身分の高そうな人たちが来ることはないからだ。
そもそも国の騎士さまは各領主の治める地にはいないらしく、有事でもなければほとんど王都から出ないと言う。
だからここで見られることも奇跡に近い。
あれ?
そういえば?
ひとつ空けて隣に座った若い男性も、青い服を着ていたような。
でもそれは騎士服ではなかったような。
この国では青を着るのは避けるものだと聞いていた。
それは孤児院でも習ったこと。
というか、まずあの町に色鮮やかな服なんて着た人はいないからなぁ。
染色をせず生成りのままの布で服を作るから、形が違ってもみんな同じ服を着ているように見える。
きっとそれも私が前世を知るからなのだ。
町の人たちは「新しい服、素敵ね~」なんて言い合っていることもあるからね。
私にすると、え?どこがどう違うの?という感じに思えるんだけれど。
たとえば女性のワンピースなら、よく見ると襟の形が違ったり、刺繍が施されていたり、裾のレースが違ったり。
全部同じ色なものだから、本当によく見ないと分からなくて。
町の人たちに対してよく気付けるなぁってかえって感心してしまうのだ。
私が分かるとしたら、その古さくらいで。
孤児院の先生たちが着古して色もないのに色褪せた服を繕いながら大事に使っているということくらい。
だからこの都会の町に来て私はかなり興奮してしまった。
この世界にも、ちゃんと色鮮やかな染色技術はあったんだなぁって。
青を避けると聞いていたけれど、青いストールを巻いている人もいたし、青い髪飾りを使っている人もいて、なんだ、絶対に避ける色でもないんだなと思ったら安心も出来た。
確かに全身青い服という人はまだここでしか見ていないから、小物はいいということなのかもしれない。
そんな風に考え出してしまったら、余計に想像が現実になってくる。
そろそろ考えることもやめておこう。
とにかく今日は、もう絶対に神官さまのいない側は見ないと決意した。
そうだ、そんなことよりもこの断罪式に集中して……それも嫌だなぁ。
そうなのだ。
私は今、他のことを考えたくなるくらいに、あの証言台の前に立ったおっさんについて、知りたくもなければ、考えたくもないと感じている。
その男性に続いて、また男性が一人。
自分の足で歩いているけれど、前に出した両手首は縄で結ばれており、その縄の先は先頭の騎士服の男性の手に握られているようだ。
男の目がぎろりぎろりと左右に流れた。
肥えてはいるのに、頬はこけ、目はくぼみ、顔だけが酷くやつれて見える、そんなアンバランスな容姿をした男である。
さらにその後ろにもまた別の騎士のような男性が続いた。
男は騎士に挟まれる形で入場してきたということ。
これで男が何者か、分からない方がおかしい。
男が証言台の前に立つと、騎士たちは一歩下がった左右にそれぞれ立った。
私はひとまず、騎士服の男たちを観察する。
あの白い騎士服は、神殿の騎士の証と聞いていた。
だから神官さまの同僚だろう。
その決まりが先にあるせいで、どの国の騎士も白以外の騎士服を纏うらしい。
しかもその色は国ごとに違っていて、私はさっきこの部屋に案内されたときに青い騎士服の人たちを見ていた。
あれがこの国の騎士さまだろうと思われる。
この国で育ってきた私が何故知らないかと言えば、田舎のあの町に国の騎士さまなんて身分の高そうな人たちが来ることはないからだ。
そもそも国の騎士さまは各領主の治める地にはいないらしく、有事でもなければほとんど王都から出ないと言う。
だからここで見られることも奇跡に近い。
あれ?
そういえば?
ひとつ空けて隣に座った若い男性も、青い服を着ていたような。
でもそれは騎士服ではなかったような。
この国では青を着るのは避けるものだと聞いていた。
それは孤児院でも習ったこと。
というか、まずあの町に色鮮やかな服なんて着た人はいないからなぁ。
染色をせず生成りのままの布で服を作るから、形が違ってもみんな同じ服を着ているように見える。
きっとそれも私が前世を知るからなのだ。
町の人たちは「新しい服、素敵ね~」なんて言い合っていることもあるからね。
私にすると、え?どこがどう違うの?という感じに思えるんだけれど。
たとえば女性のワンピースなら、よく見ると襟の形が違ったり、刺繍が施されていたり、裾のレースが違ったり。
全部同じ色なものだから、本当によく見ないと分からなくて。
町の人たちに対してよく気付けるなぁってかえって感心してしまうのだ。
私が分かるとしたら、その古さくらいで。
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だからこの都会の町に来て私はかなり興奮してしまった。
この世界にも、ちゃんと色鮮やかな染色技術はあったんだなぁって。
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確かに全身青い服という人はまだここでしか見ていないから、小物はいいということなのかもしれない。
そんな風に考え出してしまったら、余計に想像が現実になってくる。
そろそろ考えることもやめておこう。
とにかく今日は、もう絶対に神官さまのいない側は見ないと決意した。
そうだ、そんなことよりもこの断罪式に集中して……それも嫌だなぁ。
そうなのだ。
私は今、他のことを考えたくなるくらいに、あの証言台の前に立ったおっさんについて、知りたくもなければ、考えたくもないと感じている。
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