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27.理不尽な怖れ
しおりを挟む考えてもみてほしい。
この肥えたおっさんが……どうして神官さまはこちらをじっと見ているのだろう?
やだなぁ、何も言ってはいないのにね。
あの草臥れたおっさんが、私の親族ではありませんように。
あの小太りのおっさんは、赤の他人でありますように。
そう願って何が悪いって言うの?
何その、何か言いたそうな目付きは。
あれこれ教わる間に何度も私を叱ってくれたけれど、そのときと同じような目をしているのはどうして?
まさか神官さまは、心の声を読める魔力を持つとか言わないよね?
人の精神に影響を与える魔力があるのだ。
人の心を暴く魔力があってもおかしくはない。
やだ、とても怖い。
急に恐ろしくなった私は、神官さまも見ないようにした。
こうなると左右を見られないではないか。
仕方なく前を向けば、どうしたってそのおっさんが目に入ってくる。
しかし改めて見て思うのは、間違いなく初めましての関係だということ。
あの小屋でこのおっさんを見た記憶はない。
私が知るのは、あの女性と、それから二人の子どもたちだ。
と言っても、彼女たちが何者かは知らないまま。
まぁ、それも今から分かるのでしょう。
そこで急に、おっさんが顔を上げたから。
目が合ってしまったではないか。
おっさんの目がたちまち見開かれる。
何なのよ、その驚いた顔は。
驚きたいのはこっちの方。
はじめまして、とでも言っておく?
いやいや、すでに断罪式が始まっているのだから。
勝手に発言するのはやめておこう。
目立ちたくはないのだ。
今日に限っては、まったく目立たないというのは無理そうだけれど。
なるべく静かに、おとなしく、印象に残らないようにしておきたい。
生まれは不明だとして、育ちは孤児だ。
ここに集まる生まれも育ちもいい人たちからすれば、私は異質。
こういう場では、目立たないに限るのである。
というわけで発言を控えた私は、黙っておっさんを見返した。
前しか見られないのだから仕方がない。
するとおっさんはすぐに俯いて、その顔は見えなくなった。
隣で神官さまがふっと小さな息を零した気配がある。
ねぇ今笑ったでしょ?
見ないように決めたばかりだというのも忘れ、ムッとした私がちらと横を向けば、やっぱり笑っていた。
もう、こんなときに笑うなんて!酷い!という不満を込めて睨んだのに。
どうしてか神官さまからは「よくやった!」と言われた気がした。
いや、何もしていませんけど?
おや?
おっさんがガタガタと震えはじめたのはどうして?
まさか私の顔が怖かったとでも言う気?
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