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57.恐怖心【孤児院職員マリー視点】
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最近になって急に同僚たちから感じる冷たい視線。
仕事中は口を利いてはくれるけれど、皆が皆、態度も表情も素っ気ない。
だけど責められない。
同僚たちの気持ちが分かって困るわ。
私だって困惑しているところよ。
どうしてこんなことになっているの?
孤児院の職員は皆訳ありだった。
おかげで変に気取らず、仲良くやって来られたと思っている。
どうして訳ありしかいないのかって?
孤児のお世話を仕事とするのだもの。
分かるでしょう?
子どもを愛する神さまに親を与えられなかった子どもたちのお世話だなんて、普通の人は嫌がるものだわ。
私たちだって望んでここに来ていないの。
神さまの教えがあるから、子どもたちのお世話をするなら、覚悟を決めないといけなかっただけ。
だから私たちは受け入れる子どもをよく選んでいた。
基本的には言葉の分からないまだ幼い子どもだけ。
出来れば女児だけが良かったけれど、仕方なく男児も受け入れて来たわね。
男の子は特に怖いのよ。
神さまの教えを悪用し、「子どもの俺の望みが聞けないのか?」なんて言うようになるのは、決まって男児だったわ。
さすがは神さまが親を奪うだけの子どもだったのねって、私たちはその子の気質に呆れ、もう何度目か分からない裏切りに苦しめられてきたものよ。
そういう想い違いをしないように。
十歳を超えた子どもたちは、私たちとは違う建物で寝て貰うことになっているわ。別棟のことね。
孤児院には三棟の建物があって、基本的には中央棟で私たちと幼い子どもたちが一緒に生活しているのよ。
そして大きくなった子どもたちは、男女それぞれに分かれて別棟で過ごして貰うの。
食事の時間だけは、中央棟で皆で一緒に頂いているわ。
別棟は夜間に固く戸締りされているのよ。
すべての窓に鉄格子が付いているし、もちろん個々の部屋の扉だって施錠する決まりになっているわね。
建物の唯一の入り口となる重たい鉄の扉にも鍵が二重に掛けてあるわ。
それでも脱走する子はいるのね。
壁を壊して出て行った子どももいたわ。
ただ出て行くだけならいいのよ。
その子の意思を尊重しただけという話だから。
問題は、私たち職員や、同じ孤児院の子どもたちを襲おうと考える男の子たちなのよ。
中央棟だって夜間は戸締りをしているけれど。
完璧ではないわよね。
被害にあって辞めていった職員は私が知るだけでも二人いるわ。
男の子たちが過ごす棟には男性職員もいるのだけれど。
こちらはまた違った問題を起こして辞めていくケースが多かったわね。
同僚の女性に懸想したり、孤児院の女の子たちを性的な目で見ていたり、男の子たちと結託して悍ましいことを考えていたり。
いかに役に立たないか分かるでしょう?
男性職員がいない方がいいのではないかと検討したときは、一度や二度の話ではないわ。
だけど子どもたちが喧嘩になったときなんかは、男手があると有難いのよ。
この田舎町には騎士さまなんて常駐してくれるわけがないし。
町の人たちは孤児院を嫌っているもの、男性の手助けも期待出来ないでしょう?
私たちだけで暴力に立ち向かわなければならなくなるわ。
子どもと言っても、もう大人と変わらない背格好の男の子を力で抑えるなんて、大人の女性が複数人いても大変なことよ。
ね?だからこんなところで働きたい人なんていないの。
私たちは他に行くところのない訳ありの集まりで。
親からの罰として働くことになった同僚もいたわね。
そういうことなのよ。
だから私も分からなくて困っているんだわ。
どうして私はあの子を受け入れてしまったのかしら?
それも倒れて意識もなかった子どもよ?
わざわざお医者さまを呼んで治療までしていただいて。
どこの誰とも分からない行き倒れた子どもなんて、以前までは引き取ることをしなかったわ。
それにリリアはもう大きかったもの。
私たちが育て始めるには成長し過ぎていたのに。
それにあのときは、町の人たちもおかしかったのよね。
仕事中は口を利いてはくれるけれど、皆が皆、態度も表情も素っ気ない。
だけど責められない。
同僚たちの気持ちが分かって困るわ。
私だって困惑しているところよ。
どうしてこんなことになっているの?
孤児院の職員は皆訳ありだった。
おかげで変に気取らず、仲良くやって来られたと思っている。
どうして訳ありしかいないのかって?
孤児のお世話を仕事とするのだもの。
分かるでしょう?
子どもを愛する神さまに親を与えられなかった子どもたちのお世話だなんて、普通の人は嫌がるものだわ。
私たちだって望んでここに来ていないの。
神さまの教えがあるから、子どもたちのお世話をするなら、覚悟を決めないといけなかっただけ。
だから私たちは受け入れる子どもをよく選んでいた。
基本的には言葉の分からないまだ幼い子どもだけ。
出来れば女児だけが良かったけれど、仕方なく男児も受け入れて来たわね。
男の子は特に怖いのよ。
神さまの教えを悪用し、「子どもの俺の望みが聞けないのか?」なんて言うようになるのは、決まって男児だったわ。
さすがは神さまが親を奪うだけの子どもだったのねって、私たちはその子の気質に呆れ、もう何度目か分からない裏切りに苦しめられてきたものよ。
そういう想い違いをしないように。
十歳を超えた子どもたちは、私たちとは違う建物で寝て貰うことになっているわ。別棟のことね。
孤児院には三棟の建物があって、基本的には中央棟で私たちと幼い子どもたちが一緒に生活しているのよ。
そして大きくなった子どもたちは、男女それぞれに分かれて別棟で過ごして貰うの。
食事の時間だけは、中央棟で皆で一緒に頂いているわ。
別棟は夜間に固く戸締りされているのよ。
すべての窓に鉄格子が付いているし、もちろん個々の部屋の扉だって施錠する決まりになっているわね。
建物の唯一の入り口となる重たい鉄の扉にも鍵が二重に掛けてあるわ。
それでも脱走する子はいるのね。
壁を壊して出て行った子どももいたわ。
ただ出て行くだけならいいのよ。
その子の意思を尊重しただけという話だから。
問題は、私たち職員や、同じ孤児院の子どもたちを襲おうと考える男の子たちなのよ。
中央棟だって夜間は戸締りをしているけれど。
完璧ではないわよね。
被害にあって辞めていった職員は私が知るだけでも二人いるわ。
男の子たちが過ごす棟には男性職員もいるのだけれど。
こちらはまた違った問題を起こして辞めていくケースが多かったわね。
同僚の女性に懸想したり、孤児院の女の子たちを性的な目で見ていたり、男の子たちと結託して悍ましいことを考えていたり。
いかに役に立たないか分かるでしょう?
男性職員がいない方がいいのではないかと検討したときは、一度や二度の話ではないわ。
だけど子どもたちが喧嘩になったときなんかは、男手があると有難いのよ。
この田舎町には騎士さまなんて常駐してくれるわけがないし。
町の人たちは孤児院を嫌っているもの、男性の手助けも期待出来ないでしょう?
私たちだけで暴力に立ち向かわなければならなくなるわ。
子どもと言っても、もう大人と変わらない背格好の男の子を力で抑えるなんて、大人の女性が複数人いても大変なことよ。
ね?だからこんなところで働きたい人なんていないの。
私たちは他に行くところのない訳ありの集まりで。
親からの罰として働くことになった同僚もいたわね。
そういうことなのよ。
だから私も分からなくて困っているんだわ。
どうして私はあの子を受け入れてしまったのかしら?
それも倒れて意識もなかった子どもよ?
わざわざお医者さまを呼んで治療までしていただいて。
どこの誰とも分からない行き倒れた子どもなんて、以前までは引き取ることをしなかったわ。
それにリリアはもう大きかったもの。
私たちが育て始めるには成長し過ぎていたのに。
それにあのときは、町の人たちもおかしかったのよね。
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