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番外編
何もないところから育てたいのです!④
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「おぉ、これは見事な成長っぷりだな。セイディが水をあげているおかげだ。ピーマンも嬉しそうに見えるぞ」
さすがはジェラルド、心の切り替えは早かった。
優しく笑って言うと、セイディの頭を慣れた手で撫でていく。
セイディもまた、得意気に胸を張って、嬉しそうにジェラルドの手を受け入れていた。
「せいでぃのおみず、ぴーまんはうれしいですか?」
「それはもう喜んでおりますぞ、セイディさま。このヘンリーなどは、ピーマンが羨ましく思いますな」
セイディはしばらくヘンリーをじーっと見ていた。
どこと言えば、顔よりも上の方を。
まだそこに被るものがなかったことには、それぞれがほっと胸を撫でおろしていく。
振り向いた途端、ふさふさの金髪頭に変わっていたら、それはセイディも怖くて泣く。
機を読める男で良かったとジェラルドもまた安堵したのも束の間。
次の爆弾は愛しのセイディからだった。
「へんりもおみずでおおきくなりますか?よちよちできますか?」
「ぶはっ…ふっ……セイディは天才か?」
ジェラルドは込み上げてきた衝動を愛しい番への尊敬に変換することで、なんとか耐えた。
侍従は……消えている。
「おぉ、セイディさまがくださるのでしたら、このヘンリー頭から水でも毛でも、何だって被りましょうぞ」
「ぴーまんのあとはへんりです。いそぎましゅっ!」
前に向き直ったセイディは、ジョウロの残りの水を気分的にはジャバジャバと豪快に撒き始めた。
と言っても、か弱い手でそれほどの量は持てないので、子ども用のとてもとても小さいジョウロを使っているのだが。
そのうえ水はチョロチョロと細く出て来る設計なので、いくら激しく傾けても終わりまでは長かった。
その間に消えていた侍従は姿を見せて、撤収を宣言する。
「はいはいはいはい、お戯れはここまでに。主さまも先ほど仰いましたが、大奥さまからも、ベテランたちにも再教育をさせるようにとのご命令をいただいておりますからね」
「なっなんだと!大奥さまがっ!」
珍しく動揺を見せる庭師ヘンリーの襟首をさっと掴んだ若き侍従は、地に引きずるようにしてこれを回収していった。
空になったジョウロを両手に抱え、振り返ったセイディは驚愕する。
「へんりがないないです。おみずあげられません」
振り返れば水の入った次のジョウロが、ヘンリーから渡されるはずだったのに。
そしてその水はヘンリーにお返しするはずだった。
──だ、か、ら。いつも言っているだろう。何も言わずに消えるな!
ジェラルドはいよいよ本格的な頭痛を感じていたが。
膝と腰を曲げてセイディと顔を合わせると、優しく微笑んだ。
「セイディは気にしなくていいんだ。ヘンリーは自分で水を飲める男だからね」
「じぶんでのみますか?」
「そうだとも。だからお水は庭の草花にだけやることにしよう」
「……せいでぃがしたかったです」
「それならルドに掛け「セイディさま。そろそろおやつの時間でございますよ」「おやつ!ぷりんですか?」」」
侍女長がさっと関心を引いて、セイディを連れ去っていく。
いや、ちょっと、待ってくれ。
いや、だから。少しは振り返るとか、足を止めるとか。
どうして私を置いて行くのだ!
焦って追い掛けたジェラルドは、セイディの土で汚れた左手を握り締めた。
セイディの右手はすでに侍女長のソフィアに奪われていたからである。
そういえば、いつの間にかセイディのどちらの手からもジョウロが消えている。
こんな不思議な現象も、アルメスタ家ではいつものこと。
左右の手を取られたセイディはご機嫌に飛び跳ねた。
普段から縄跳び遊びを楽しんでいるから、大分足腰も鍛えられているセイディだったけれど。
ぴょこん、ぴょこん。
ご機嫌なセイディは、独特の可愛らしい飛び方をしてみせて。
隣にいるジェラルドと侍女長のソフィアだけでなく、はるか遠くからも見守る者たちを悶えさせているのだった。
「るーすのぷりんがたのしみです!せいでぃ、ぷりん、だいすきっ!」
このあとジェラルドが「ルドはどうだ?」「大好きだよね?ね?ね?」「プリンよりもルドが好きに決まっている。そうだね、セイディ?そうだよね?ね?ね?ね?」としつこく聞き続けて、最後には嫌がられ「しーっだ!」と命じられることもまた、アルメスタ家ではお約束の一番面。
(『何もないところから育てたいのです!』 完)
**********
今の時代この内容はあかんのでは?お叱りを受けるのでは?と怯えつつアップしました。
そっと非公開になっていたらそういうことです。
作者としましては、リスペクトから出来たお話なので、深く考えず、硬くならず、楽しんでいただけたら嬉しいですね。
さすがはジェラルド、心の切り替えは早かった。
優しく笑って言うと、セイディの頭を慣れた手で撫でていく。
セイディもまた、得意気に胸を張って、嬉しそうにジェラルドの手を受け入れていた。
「せいでぃのおみず、ぴーまんはうれしいですか?」
「それはもう喜んでおりますぞ、セイディさま。このヘンリーなどは、ピーマンが羨ましく思いますな」
セイディはしばらくヘンリーをじーっと見ていた。
どこと言えば、顔よりも上の方を。
まだそこに被るものがなかったことには、それぞれがほっと胸を撫でおろしていく。
振り向いた途端、ふさふさの金髪頭に変わっていたら、それはセイディも怖くて泣く。
機を読める男で良かったとジェラルドもまた安堵したのも束の間。
次の爆弾は愛しのセイディからだった。
「へんりもおみずでおおきくなりますか?よちよちできますか?」
「ぶはっ…ふっ……セイディは天才か?」
ジェラルドは込み上げてきた衝動を愛しい番への尊敬に変換することで、なんとか耐えた。
侍従は……消えている。
「おぉ、セイディさまがくださるのでしたら、このヘンリー頭から水でも毛でも、何だって被りましょうぞ」
「ぴーまんのあとはへんりです。いそぎましゅっ!」
前に向き直ったセイディは、ジョウロの残りの水を気分的にはジャバジャバと豪快に撒き始めた。
と言っても、か弱い手でそれほどの量は持てないので、子ども用のとてもとても小さいジョウロを使っているのだが。
そのうえ水はチョロチョロと細く出て来る設計なので、いくら激しく傾けても終わりまでは長かった。
その間に消えていた侍従は姿を見せて、撤収を宣言する。
「はいはいはいはい、お戯れはここまでに。主さまも先ほど仰いましたが、大奥さまからも、ベテランたちにも再教育をさせるようにとのご命令をいただいておりますからね」
「なっなんだと!大奥さまがっ!」
珍しく動揺を見せる庭師ヘンリーの襟首をさっと掴んだ若き侍従は、地に引きずるようにしてこれを回収していった。
空になったジョウロを両手に抱え、振り返ったセイディは驚愕する。
「へんりがないないです。おみずあげられません」
振り返れば水の入った次のジョウロが、ヘンリーから渡されるはずだったのに。
そしてその水はヘンリーにお返しするはずだった。
──だ、か、ら。いつも言っているだろう。何も言わずに消えるな!
ジェラルドはいよいよ本格的な頭痛を感じていたが。
膝と腰を曲げてセイディと顔を合わせると、優しく微笑んだ。
「セイディは気にしなくていいんだ。ヘンリーは自分で水を飲める男だからね」
「じぶんでのみますか?」
「そうだとも。だからお水は庭の草花にだけやることにしよう」
「……せいでぃがしたかったです」
「それならルドに掛け「セイディさま。そろそろおやつの時間でございますよ」「おやつ!ぷりんですか?」」」
侍女長がさっと関心を引いて、セイディを連れ去っていく。
いや、ちょっと、待ってくれ。
いや、だから。少しは振り返るとか、足を止めるとか。
どうして私を置いて行くのだ!
焦って追い掛けたジェラルドは、セイディの土で汚れた左手を握り締めた。
セイディの右手はすでに侍女長のソフィアに奪われていたからである。
そういえば、いつの間にかセイディのどちらの手からもジョウロが消えている。
こんな不思議な現象も、アルメスタ家ではいつものこと。
左右の手を取られたセイディはご機嫌に飛び跳ねた。
普段から縄跳び遊びを楽しんでいるから、大分足腰も鍛えられているセイディだったけれど。
ぴょこん、ぴょこん。
ご機嫌なセイディは、独特の可愛らしい飛び方をしてみせて。
隣にいるジェラルドと侍女長のソフィアだけでなく、はるか遠くからも見守る者たちを悶えさせているのだった。
「るーすのぷりんがたのしみです!せいでぃ、ぷりん、だいすきっ!」
このあとジェラルドが「ルドはどうだ?」「大好きだよね?ね?ね?」「プリンよりもルドが好きに決まっている。そうだね、セイディ?そうだよね?ね?ね?ね?」としつこく聞き続けて、最後には嫌がられ「しーっだ!」と命じられることもまた、アルメスタ家ではお約束の一番面。
(『何もないところから育てたいのです!』 完)
**********
今の時代この内容はあかんのでは?お叱りを受けるのでは?と怯えつつアップしました。
そっと非公開になっていたらそういうことです。
作者としましては、リスペクトから出来たお話なので、深く考えず、硬くならず、楽しんでいただけたら嬉しいですね。
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