ラグジュアリーシンデレラ

日下奈緒

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第3話 夢の世界

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夕食を買って、急いで家に帰った。

「あー、走ったから疲れた。」

食材を冷蔵庫に入れて、ドアを閉めた。

その白い色と、シーツの色が重なる。


「はぁぁぁ。ヤッちゃった。」

井出さんと遂に、Hしちゃったよ。

大学生の時に、彼氏としたっきりだから、1年振り?

しかも、井出さんH上手かったあああ!

「もう、会えないかも。」

大人の男の人は、Hするまではいろいろ言ってくるけど、したらもう冷めるって誰かが言ってた。

私はキッチンで、大の字になって、寝そべった。


お昼ご馳走になって、お酒もご馳走になって、ホテル代も払ってないし。

しかも酔った勢いで、半分こっちが誘ったみたいになっているし。

「失敗したな~もう~!」

「何が?」

廊下を見ると、青志が呆れ顔で、私を見ていた。

「青志!いつ帰って来たの?」

「今。あーあ。帰って来たら帰って来たで、台所で寝ている人いるし。」

「これはっ!」

起き上がって、髪を直した。

「失敗したって何?仕事で何かあったの?」

「いや、仕事ではないんだ!」

まさか、1年半ぶりにHしたなんて、弟に言えないよ。


「なあ、姉ちゃん。」

「なに?」

「彼氏できただろ。」

「えっ、ええええええ!」

赤面で驚いている私を他所に、青志は制服姿で、洗濯物を取り込んでいる。

「なにも遠慮する事ないよ。」

ドサッと洗濯物を、ソファの上に置いて、畳み始めた。

「上手くいくようだったら、俺に紹介してくれよな。」

青志の笑顔に、最近癒されている私がいる。


「この前も言ったように、青志の大学進学の方が大事。」

「また、それ。」

「とにかくいいの。彼氏じゃないし。」

私も一緒に、洗濯物を畳んだ。

「じゃあ、姉ちゃんの片想い?」

「ぶっ!」

なんで、私の恋愛事情、あんたが知っているんだ?

「か、片想いって、あっちが私を口説いでるんだからね。」

「だったら、付き合えばいいんじゃん。姉ちゃん、満更でもなさそうだし。」

「満更って……」

あー、そんな事も青志にはバレてるの?

途端に恥ずかしくなる。

「姉ちゃん、俺のシャツ、ぐちゃぐちゃにしないで。」

「あっ、ごめん。」

手の平でシワを伸ばしながら畳んで、青志に渡した。


「とにかく、俺は姉ちゃんの恋愛に賛成。」

「青志……」

「姉ちゃんが幸せなら、俺、1人でも頑張れるからさ。」

私は青志を抱きしめた。

「おいおい、欲求不満?」

「違うわよ!可愛いと思ったから、抱きしめたんでしょ。」


青志。

私は、青志がいなかったら、とっくの昔に音を上げていた。

青志がいるから、生きていける。

頑張るからね。お姉ちゃん。

よし!頑張るぞ!青志の大学資金を貯める為に!

「なんか、結野ちゃん。最近張り切ってるね。」

斉藤さんにも、考えている事がバレるって、私考えた事が、外に漏れるタイプ?


「そう言えばこの前、社長とデートしてたね。」

「えっ!?」

「見たよ。エレベーターホールで。らぶらぶだったじゃない。」

斉藤さん、普段使わない言葉を!

「あれは、お昼ご飯ご馳走になっただけで。」

「ええ?本当にそれだけ?」

どっきーんと、胸が大きく脈打つ。

ほ、本当はHもしてるけどね!


「だとしたら、社長さん奥手なのかね。」

「えっ、あっ、いや……」

「まあ、本命の子はすぐ手を出さずに、大事にとっておくって言うからね。」

斉藤さんは、私が気になっていた事を、口にした。

「やっぱり、そうなんですか?」

「そりゃあ、そうでしょう。私の時代は、結婚が決まってから、身体を許したものだよ。」


結婚が決まったら……

井出さんと結婚。

ううん。時代錯誤な事は知っているけれど、井出さんに結婚したいと思われるくらい、大事にされたら。


「やだね。大丈夫だよ。社長、結野ちゃんには本気だよ。」

「そうでしょうか。」

「そうだよ。」

だとしたら嬉しい。


その時だった。

「結野ちゃん。」

「ほら、来た!」

斉藤さんは、私の背中を押した。

「頑張ってね、結野ちゃん。」

「斉藤さんっ!」

斉藤さんは、笑みを浮かべながら、次の会議室の掃除に行ってしまった。


「昨日は大丈夫だった?目が覚めたら隣にいなかったから、心配したよ。」

「ごめんなさい。」

「これからは、先に帰る時は一言言ってから、帰ってね。」

「はい。って、これから?」

目をパチパチさせると、井出さんはニコッと笑った。

「結野ちゃん。俺達のこれからの事なんだけど。」

「えっ……」
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