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おこぼれ話142 やっとソフトで遊べます。

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6月、長らく内蔵ソフトと既存DSソフトとカメラばかりで3DSを使う日々が続いていた僕についに転機が訪れた。
無料ダウンロードソフト「ポケモン立体図鑑BW」の配信だ。
コロコロの記事でこのニュースを知った僕は大いに涙し、歓喜した。「オレもついに本体内蔵じゃない3DS専用ソフトで遊べる…しかも無料ときたもんだ…任天堂さんありがとう…」

そしてやってきた配信日、僕はその日帰宅直後に3DSをeショップにすぐさまつないでダウンロード。
待ちに待っていた3DS専用ソフトがプレイできる瞬間だ。
この「ポケモン立体図鑑BW」は当時のポケモンシリーズ最新作「ポケモンBW」に登場するイッシュ地方のポケモンたちのデータが搭載されたいわば「3DS版ポケモン図鑑」だ。言ってしまえばCGのポケモンとデータを見れるだけのデータベース的なソフトでゲーム性はほぼ無に等しいのだが、それでもイッシュ地方のポケモンたちをCGで拝めること(BWまではドット絵が使われており、なおかつBW時代はポケモンスタジアムやバトルレボリューションのような携帯機ソフトと連動させる据え置き向けの対戦ソフトが発売されなかったため、当時CGで描かれたイッシュ地方のポケモンを拝めるのは貴重だった)、何しろ3DS専用ソフトを自分の本体にインストールできたことが何よりも嬉しかったのだ。
ポケモンのデータはいつの間に通信を使うことで1日3体まで増えていく。毎日自分のソフトにポケモンが増えていく感覚はまるでゲームの主人公の冒険を追体験してるかのような気分が味わえたのだ。毎日ソフトを起動し、今日はどのポケモンが追加されるか心待ちにしながらデータが入るのをドキドキしながら待っていたあの頃が今でも脳裏に焼き付いている。
ダウンロード専用無料ソフトの発売であそこまで感動したことは後にも先にもないだろう。

幸せ気分の中、立体図鑑の配信からほぼ時を同じくしてさらなるグッドニュースが飛び込んでくる。
3DS専用パッケージソフト「スーパーポケモンスクランブル」の発売決定だ。Wiiウェアで登場した前作もプレイしていてお気に入りだったのでなおさら嬉しい。しかも発売は翌月7月末予定。もうすぐ先の話だ。
「ついにオレも本体内蔵じゃない本格的なゲームで遊べる!任天堂さん本当にありがとう!これでオレも正真正銘の3DSユーザーの仲間入りだ!!」
その後、発売日にノリノリで店に行った結果、発売延期のニュースを知ってショックを受けたものの、延期後の発売日は8月11日。予定より2週間ほどしか延期しなかったのが救いであった。
そして正式発売日の数日後、ついに僕はスーパーポケモンスクランブルを購入。でっぱりのついたあの3DS専用カセットを触った時のあの瞬間僕は「ああ、これでオレはついに3DSユーザーであると胸を張って名乗れるのだ…」と感極まっていた。カセット差し込み、本体を起動したときのあの興奮、そして3DSの画面を舞台におもちゃのポケモンたち(このゲームはおもちゃのポケモンを操作する)を大暴れさせるあの感覚…一つ一つに感動していた…
発売と同時にソフトを持っていた友達に悔しい思いをしてから約半年…ついに自分も3DS専用カセットを手にし、正真正銘の3DSユーザーの称号を手にできたことはこの年最高クラスの感動であった。2011年夏、日本中がなでしこジャパンの大偉業に感動していたころであろうが、時を同じくしてここに3DSソフトを手に入れたことに感動していた少年もいたのだ(なでしこのみなさん、一緒にしたわけではありませんがなんかごめんなさい…それと女子日本代表アジア大会優勝おめでとうございます)。

喜びの一方でこのころ戸惑いもあった。3DSの値下げだ。
自分が購入したときは2万5000円であったが、ちょうどポケモンスクランブルの発売日と同日に1万5000円の大幅値下げが行われた。
7月末にこの件が発表されたときは一般ニュースでも取り上げられるなどユーザー間でも鬼の首を取ったかのような大騒ぎであった。
当然僕もこれを知った時はショックで立ち直れなくなりかけた。「ほしいソフトもないのに見栄張って本体だけ買ったからバチが当たったんだな…」と心の中で自分を追い詰めたりもした。僕の周りの3DSユーザーも「出たばっかりで値下げなんて何考えてるんだ」というムードであった。
だが我らの任天堂はそんな僕らに救済を用意してくれていた。値下げ前に購入したユーザーだけが受け取れる「アンバサダープログラム」。3DS用のファミコンとゲームボーイアドバンスソフトのバーチャルコンソール計20本が無料ダウンロードできるという太っ腹企画だ。
当時の公式発表でも言及しているように実際任天堂側としても値下げは苦渋の決断だったのだ。値下げ前に買ったユーザーからの怒号という重い十字架を背負いながらのハードの未来を考えて、悩みに悩んだ末の決断だったのだろう。だが早くから本体を買ってくれたユーザーをがっかりさせたくない。そんな思いでこのプログラムを用意したのだろう。
時を同じくして欲しいソフトであるマリオカートの発売が12月に決定。我らの任天堂は止まらない。
「任天堂さんありがとう!僕ますます御社のファンになりました!」…一度はショックを受けながらもますます任天堂への愛が深まった夏であった。
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