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4章 交渉編
100話 侯爵様達とお話しよう
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侯爵達に挨拶をと思い声を掛けたのだが、突然声を掛けられた所為か驚いた表情を見せる。
先頭に居たヴァンパイアが歩み寄りあたしの側で会釈をした後、テーブルに置かれてあるポットを手に取り対談の準備を始めた。
その動きには洗礼さを感じ淀みない動作に見惚れてしまうが頭を振り思考を切り替え、久しぶりの客人に少々緊張するが女は度胸と言い聞かせながら前方に佇む六人へ歩み寄る。
その際、スラリンも這いずって纏わりついて来ようとするが念話で纏わり付くのはなしの方向でと言っておくのも忘れない。
「久しぶりだね、ロマーリアさんにミリアちゃん」
「うむ」
「うん、元気にしてた?」
侯爵達には挨拶をしたのでお次は見知ったロマーリアとミリアへ声を掛けると即座に返事が来た。
ミリアの問い掛けに答えつつ改めて侯爵達に視線を向け自己紹介することにした。
「ロマーリアさんとミリアちゃんは知ってると思うけど……このダンジョンを管理しているレイと言います。色々と積もる話があると思いますが、取り敢えずはあちらのソファーで話をしましょうか」
手短く自己紹介をして、ソファーへ向かって歩きこれから話すことについてある程度考えを纏めておかないといけないかもしれない。
だが、テーブル付近でその考えも消えてしまった。
テーブルの上に置かれたカップからどこか懐かしい香りが漂い、自然と体はソファーへ座っており右手にはいつの間にかティーカップが握られていた。
紅茶の香りが口いっぱいに広がると同時に、後方からついて来た侯爵達も興味深々に視線を向けてくる。
対面へと侯爵であろう二人の者が座り、ソファーの後ろで将軍を含めた四人が並ぶ。
「まずは自己紹介をさせてもらおう。私の名前はルネス・ハイド・シュトレウスだ。これでもここら一帯の領主をしていてな、我が領地にダンジョンが出現したと知らせで聞いて赴いた次第だ」
ルネスと自己紹介した中年の茶髪に所々白髪が混じっており、端正な彫の深い顔に良く似合う。
髪はやや長めで後ろに束ねられ、中年を過ぎた辺りだと思われる。
立ち位置的に後ろで控えるミリアはこのルネス侯爵に使えているのだろう。
ミリアの隣には柔和そうな表情をして落ち着いた雰囲気を醸し出している女性がいるが、恐らく秘書か何かだろうと見当がつく。
「儂はぺトラという。ぺトラ・リンド・ウェルナだ! 以後お見知りおきを。儂の領地は西側の方角なのだがここにおるルネス卿とは縁があってな、それに新たなダンジョンと聞いて飛んで来たというわけだ。それで少し確認したいのだが……お主は本当にダンジョンマスターという認識でよいのか?」
続いて挨拶をしてきたぺトラ侯爵は初老ぐらいだと思われ、長い白髪と髭が特徴的な侯爵だ。
お爺さんというにはまだ老けてはいないが、それでもルネス侯爵に比べれば大分先を進んでいるようだが。
そんなぺトラ侯爵からダンジョンマスターというのは本当なのかと聞かれ、先ほど自己紹介した時に肯定はしているのだがその辺を再度詳しくとはいかないが話すことにした。
「まぁ、信じられないと思うけどあたしがここのダンジョンマスターというのは本当です。証拠というわけではないですが、このスライムが見えますか? これはあたしの護衛で同席させてもらってる魔物です」
ダンジョンマスターとしての証拠というのは具体的にどうすればいいのか分からなかったので、一般人にはできなくはないだろうが難易度が高いと思われる魔物の使役について思い出し、隣に同席しているスラリンを紹介がてら説明の材料にする事で納得してもらうしかない。
実のところ、ダンジョンマスターというのがどういったものなのかよく分からないあたり、説明のしようがないと思っていたりする。
「確かに……スライムを使役している者がいるという話は今までに聞いたことがない。ルネス卿は聞いたことがあるかね?」
「いや、そのような話はきかないな。そもそも魔物使い自体少ない、それにスライムも人前に来るものではないし絶対固有数も少なかったはずだ。仮にそのような話があったとしたら、街一つ無くなっているか噂の一つや二つ立っていないわけがない。それを考え今日に至るまで何の噂を聞かないとなると……そういう話なのではないか?」
明瞭な分析を披露するルネス侯爵はさぞ頭のいい人だと一人納得していると隣のぺトラも大きく頷いている。
その後もお互いの事を話し親睦を友好を深めたところで、ルネス侯爵が今回の対談の本題であろう事柄を口にしてきた。
「身の上の話はこのくらいにして……今回ここに赴いたのはわかっているとは思うが、このダンジョンの今後についてだ。その辺ダンジョンマスターであるレイはどのように思っている?」
やはり対談の本題であるダンジョンの今後についてどのように思っているか質問をしてくるルネス侯爵。
その問い掛けに先ほどと打って変わって、周りの様子が緊迫したような張り詰めるときの独特な雰囲気が感じ取れる。
この話し合いで主導権を握っているのは勿論ダンジョンマスターであるこのあたしだ。
故に、答え次第ではこの先良くなるも悪くなるも自分次第というわけであるのだが、どうせなら良好な関係を築いていきたいと思っている身としては慎重に言葉を選ばなくてはいけない。
と思いつつも、以前話に上がっていた街をつくるという話を持ち出すことで相手の様子を窺うことにした。
「そうだね、あたしとしては今後このダンジョンは何かしら活用してもらってもいいかなぁとは思っているんだけど。それと聞いた話によると街をつくるとか何とか。あたしは賛成だよ! 街をつくるのは全然問題ないし、寧ろこっちからお願いしたいくらいだよ!」
街の話を持ち出した途端に強張った表情を見せたが、そこは侯爵という地位に居る為か直ぐに取り繕い真っ直ぐ此方を見つめてきた。
先頭に居たヴァンパイアが歩み寄りあたしの側で会釈をした後、テーブルに置かれてあるポットを手に取り対談の準備を始めた。
その動きには洗礼さを感じ淀みない動作に見惚れてしまうが頭を振り思考を切り替え、久しぶりの客人に少々緊張するが女は度胸と言い聞かせながら前方に佇む六人へ歩み寄る。
その際、スラリンも這いずって纏わりついて来ようとするが念話で纏わり付くのはなしの方向でと言っておくのも忘れない。
「久しぶりだね、ロマーリアさんにミリアちゃん」
「うむ」
「うん、元気にしてた?」
侯爵達には挨拶をしたのでお次は見知ったロマーリアとミリアへ声を掛けると即座に返事が来た。
ミリアの問い掛けに答えつつ改めて侯爵達に視線を向け自己紹介することにした。
「ロマーリアさんとミリアちゃんは知ってると思うけど……このダンジョンを管理しているレイと言います。色々と積もる話があると思いますが、取り敢えずはあちらのソファーで話をしましょうか」
手短く自己紹介をして、ソファーへ向かって歩きこれから話すことについてある程度考えを纏めておかないといけないかもしれない。
だが、テーブル付近でその考えも消えてしまった。
テーブルの上に置かれたカップからどこか懐かしい香りが漂い、自然と体はソファーへ座っており右手にはいつの間にかティーカップが握られていた。
紅茶の香りが口いっぱいに広がると同時に、後方からついて来た侯爵達も興味深々に視線を向けてくる。
対面へと侯爵であろう二人の者が座り、ソファーの後ろで将軍を含めた四人が並ぶ。
「まずは自己紹介をさせてもらおう。私の名前はルネス・ハイド・シュトレウスだ。これでもここら一帯の領主をしていてな、我が領地にダンジョンが出現したと知らせで聞いて赴いた次第だ」
ルネスと自己紹介した中年の茶髪に所々白髪が混じっており、端正な彫の深い顔に良く似合う。
髪はやや長めで後ろに束ねられ、中年を過ぎた辺りだと思われる。
立ち位置的に後ろで控えるミリアはこのルネス侯爵に使えているのだろう。
ミリアの隣には柔和そうな表情をして落ち着いた雰囲気を醸し出している女性がいるが、恐らく秘書か何かだろうと見当がつく。
「儂はぺトラという。ぺトラ・リンド・ウェルナだ! 以後お見知りおきを。儂の領地は西側の方角なのだがここにおるルネス卿とは縁があってな、それに新たなダンジョンと聞いて飛んで来たというわけだ。それで少し確認したいのだが……お主は本当にダンジョンマスターという認識でよいのか?」
続いて挨拶をしてきたぺトラ侯爵は初老ぐらいだと思われ、長い白髪と髭が特徴的な侯爵だ。
お爺さんというにはまだ老けてはいないが、それでもルネス侯爵に比べれば大分先を進んでいるようだが。
そんなぺトラ侯爵からダンジョンマスターというのは本当なのかと聞かれ、先ほど自己紹介した時に肯定はしているのだがその辺を再度詳しくとはいかないが話すことにした。
「まぁ、信じられないと思うけどあたしがここのダンジョンマスターというのは本当です。証拠というわけではないですが、このスライムが見えますか? これはあたしの護衛で同席させてもらってる魔物です」
ダンジョンマスターとしての証拠というのは具体的にどうすればいいのか分からなかったので、一般人にはできなくはないだろうが難易度が高いと思われる魔物の使役について思い出し、隣に同席しているスラリンを紹介がてら説明の材料にする事で納得してもらうしかない。
実のところ、ダンジョンマスターというのがどういったものなのかよく分からないあたり、説明のしようがないと思っていたりする。
「確かに……スライムを使役している者がいるという話は今までに聞いたことがない。ルネス卿は聞いたことがあるかね?」
「いや、そのような話はきかないな。そもそも魔物使い自体少ない、それにスライムも人前に来るものではないし絶対固有数も少なかったはずだ。仮にそのような話があったとしたら、街一つ無くなっているか噂の一つや二つ立っていないわけがない。それを考え今日に至るまで何の噂を聞かないとなると……そういう話なのではないか?」
明瞭な分析を披露するルネス侯爵はさぞ頭のいい人だと一人納得していると隣のぺトラも大きく頷いている。
その後もお互いの事を話し親睦を友好を深めたところで、ルネス侯爵が今回の対談の本題であろう事柄を口にしてきた。
「身の上の話はこのくらいにして……今回ここに赴いたのはわかっているとは思うが、このダンジョンの今後についてだ。その辺ダンジョンマスターであるレイはどのように思っている?」
やはり対談の本題であるダンジョンの今後についてどのように思っているか質問をしてくるルネス侯爵。
その問い掛けに先ほどと打って変わって、周りの様子が緊迫したような張り詰めるときの独特な雰囲気が感じ取れる。
この話し合いで主導権を握っているのは勿論ダンジョンマスターであるこのあたしだ。
故に、答え次第ではこの先良くなるも悪くなるも自分次第というわけであるのだが、どうせなら良好な関係を築いていきたいと思っている身としては慎重に言葉を選ばなくてはいけない。
と思いつつも、以前話に上がっていた街をつくるという話を持ち出すことで相手の様子を窺うことにした。
「そうだね、あたしとしては今後このダンジョンは何かしら活用してもらってもいいかなぁとは思っているんだけど。それと聞いた話によると街をつくるとか何とか。あたしは賛成だよ! 街をつくるのは全然問題ないし、寧ろこっちからお願いしたいくらいだよ!」
街の話を持ち出した途端に強張った表情を見せたが、そこは侯爵という地位に居る為か直ぐに取り繕い真っ直ぐ此方を見つめてきた。
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