辺境伯の5女ですが 加護が『液体』なので ばれる前に逃げます。

サラ

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2. ポーションが出た。

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 1歳の誕生日にレベルアップかと思いきや、しなかったから、
 このままじゃ栄養が足りないよ! 栄養剤、いや栄養ドリンクがいる! 神様、お願い、栄養を恵んでください。と毎日強く祈ったら1歳過ぎの2週間目でレベルアップした。

 リーナ・アプリコット。
 1歳
 加護『液体』レベル2

 薬指から栄養ドリンクが出るようになった。やったね。というかこれポーションじゃないかな。
 だって飲んだら体力とか気力が回復するような気がするもの。そして何と小指からお粥が出るようになった。
 お粥というか重湯みたいだけど、ほんのり柔らかい粒が少しだけ感じられるからとても美味しい。
 これで生きていけるような気がする。

 そうして何とか毎日を過ごし、やっと2歳の誕生日を迎えた。
 2歳の誕生日に部屋を移動した。1階の端の部屋。何とベランダから庭に出る事ができるし、庭にはバナナの木が生えていた。
 バナナ食べ放題、バンザーイ。厨房に無造作にバナナが置かれていたのは庭に沢山なっていたからか。
 そのうえ、ギーガがいなくなった。さすがに2歳になると一緒の部屋では育てないみたいだ。良かった。ギーガはいつも人の髪を引っ張るし食べ物は取るし嫌だなって思っていたんだよね。

 ところがどっこい、シオがやってきた。シオは乳母の長女で6歳だけど性格が悪い。加護は特にないらしい。平民は加護なしの人がほとんどで加護がもらえると良い嫁ぎ先や就職口がある。で、この乳母は良く見えない加護があるそうだ。加護がうっすらとあるらしいけど見えなくなっているので、とりあえず貴族家で乳母として雇われる事になった経緯がある。

 そして、乳母がいうには「お嬢様が良い加護をもらえたらシオが侍女になってお仕えしますからね。侍女は大切にするのですよ。なんでも分け合いましょうね」ですって。
 で、シオは2歳の子の食べ物とか持ち物(生誕の時にもらえたアクセサリーとか綺麗な布の服とか)を取ってしまう。

「わー、綺麗! これ、頂戴」
 そう言いながらなんでも持っていく侍女? 見習いらしい。

 乳母が言うには
「どうせ良い加護がもらえたら良いモノが贈られるから要らなくなるわ。良い加護でなければ使用人になるし、そうしたらうちのギーガの嫁になるからどのみちお嬢様には要らないものよ」
 との事。

 冗談じゃない。
 私、すでに加護があるしその加護は『液体』なんだよ……。

 乳母とか侍女とかシオの話によると
 火魔法とか、水魔法とか魔法系統は大当たり、冷却とか倉庫とか固有名詞の加護もまあまあで、水玉とか虹とか風船とか石とか微妙なものもあるらしい。ちなみにここの庭にバナナがやたらと生えているのはバナナの加護をもった領主の弟がいるせい。

 バナナの加護……バナナチップが領の特産品になっているからそれはそれで良いみたいだけど、領主の弟がいなくなるとバナナが取れなくなるから、何とかバナナの加護を持った子供が欲しくて探しているようだ。
 ここの家系にはバナナの加護は一世代に一人とか、隔世にとか生まれるらしいから今の領主である私の父はせっせと子供を作っている。

 領主の弟はもうおじさんだけど領主じゃないから妻は一人で、お妾さんは何人かいるけど子供はいない。バナナの加護を持っていると子供はすごく生まれにくいらしい。

 貴族に生まれても12歳でまともな加護がなければ子供と認められなくて使用人になったり、家を出される事もある。女の子で使える加護ならば政略結婚できるし良い加護だと引く手あまた。でも、ものすごく良い加護だと婿を取ったり臣下に嫁がしたりして囲い込む。

 私の母は子沢山という加護があるため側妃になれたらしい。
 で、2年置きに子供を産んでいる。ただ私の後は年子でしかも、男の子を産んでいるのでその子が大切で私のところには来ないみたいだ。
 女の子よりも男の子のほうが良い加護が多い、というかバナナの加護は男の子って決まっているそうだ。

 それにしても、私のお母様ってどんな人なんだろう。


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