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21. ラクアート様が可笑しい
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ラクアート様は一応、私の婚約者なのでタウンハウスの管理棟に併設されている応接間とかテラスを利用して面会ができる。
男性用のタウンハウスに女性は立ち入る事はできないが、女性用のタウンハウスには前もって許可を得る事で1階の広間でお茶会を開く事ができる。
そのお茶会には男性陣を招く事ができるけど、その時は2階以上には部外者は入れないように管理者権限で設定がされるし、護衛の人が玄関前と庭先と室内にそれぞれ待機する事になっている。
親元から離れるせいか、男女関係はかなり厳重に管理されていると思う。見張られているともいうけど。
高位貴族以外は男女別だがかなり大きな寮があり、それぞれ爵位に応じた個室と側付きの部屋が用意され、平民でも狭くはあるが水回りが付いた個室があるし食堂もある。タウンハウスには前もって注文した食事が魔道具で送ってくるが侍女と使用人は管理棟にいつでも食事ができる食堂があるのでそちらですませるようだ。
とりあえず、ラクアート様に「お会いしたいのでお時間取ってください」と貴族らしい言い回しのお手紙を書いた。と、直ぐに返事がきて翌日の放課後、管理棟のテラスでお会いする事になった。
できればずっと、顔を合わせたくないと思っていたが仕方がない。
朝、フルール様が中庭で所在なさげに景色を眺めていた。私が出てくるのを待っていたらしい。学年ごとに少しずつ始業時間がずらしてあるので通学路で他の学年の方と会う事はあまりない。
「おはようございます。フルール様」
「おはようございます。リーナさま。昨日はごめんなさい。私、男の方も派手な方もとても苦手にしておりますの。昨日は大丈夫でした?」
「ええ、たいした事はございませんでしたわ。昨日はわざわざ美味しいお菓子をありがとうございました。美味しくいただきました。昨日はラクアート様からお付き合いされている方をご紹介いただきましたの」
「えっ? お付き合い……。あの、ラクアート様ってリーナ様の婚約者ではなかったですか?」
「ラクアート様は私との婚約の前からお好きな方がいらっしゃったそうですの。あのピンクの髪の方らしいですわ。ピンクの髪の方が正妻で私は側妃になるらしいですよ」
「えっ!? そんな! 婚約は家と家との契約ですわ」
「よくわからないのですがピンクの方がそう言われていたので。それならそれで構いませんが、あのピンクの方の家名も加護も存じ上げませんので本日、ラクアート様にお尋ねするつもりですの」
「そ、そうですか」
「ピンクの方の意向も確認しておかなくてはと思っています」
「そうですか。そうですね。何か私に、いえ、私には何もできないですね。ごめんなさい」
それきり、フルール様は考え込んでしまったようだ。フルール様の口癖は「ごめんなさい」のような気がする。
教室でもフルール様は一日ボンヤリとしていた。
話しかけても反応が鈍いので、彼女が転生者かどうかはよくわからなかった。どのみち、フルール様は第一王子の婚約者ではないので、今のところ悪役令嬢ではないと思う。
むしろ、ラクアート様の婚約者になっている私のほうが悪役令嬢になる可能性が高いかもしれない。
悪役令嬢……悪役って響きはカッコイイかもしれない。でも、乙女ゲームの中の悪役令嬢は嫌がらせをしたり悪口をいったり、人を雇ってヒロインを襲わせたりするらしいから、それは私に向いてない。
お兄様がもし、悪役令嬢なら断罪シーンがあるから、その時は返り討ちにして殲滅すればいいと言っていたけど、それはちょっと、と思う。
精々、氷雨で皆を凍えさせてその間に逃げるくらいかな。
さて、放課後の管理棟のテラスにて、私たちは延々とラクアート様のお惚気を聞かされていた。彼に言わせると彼女、フレグランス・タチワルーイは可愛くて天真爛漫で純真でラクアート様の真実の愛をささげるべく現れた天使であるそうだ。
まだ、13歳なのに下品であざとい感じがすると思うけど、恋のフィルターがかかっているせいか目が、いや、脳がおかしくなっているとしか思えない。
実は3年前、10歳の時まで彼女は平民だったそうだ。だけど、勝手に加護の儀に乱入して水晶を触ったら凄い魔力量で加護も魔法関係の『みず魔』だった為、そこの領主タチワルーイ男爵の養女に迎えられた。
タチワルーイ男爵の領地は飛び地ではあるが、ウオーター公爵家の傘下に当たる為、魔法学園に入学する為の教育を兼ねた行儀見習いとして公爵家に預けられたという。
そこで彼らは運命の出会いをしたそうだ。
そして、彼女の加護はなんと『みず魔』この加護は水魔法の下位互換に当たるけど、進化すれば『みずの魔法』、さらには『水の魔法』にまで進化した人も過去にはいるそうだ。
えっ? その加護で公爵夫人になるって言っているの? 客観的にみて無理じゃない? とお話を聞いて思ったら、
「これは秘密の話なんだがフルーはいずれ聖女に成るんだ。そうしたら加護が『聖なる水魔法』になるから公爵夫人になるのに何も問題はない。だから、君はフルーを助けてやってくれ。フルーはあまり勉強が得意ではないみたいだから。あの子は君と仲良くしたいと言っているから是非、お茶に招いてほしい」
と言いう事でとりあえず、ピンクの彼女をお茶に招く事になった。
本音はあまり仲良くなりたくないけどね。
ラクアート様ってほんとに可笑しいと思う。
男性用のタウンハウスに女性は立ち入る事はできないが、女性用のタウンハウスには前もって許可を得る事で1階の広間でお茶会を開く事ができる。
そのお茶会には男性陣を招く事ができるけど、その時は2階以上には部外者は入れないように管理者権限で設定がされるし、護衛の人が玄関前と庭先と室内にそれぞれ待機する事になっている。
親元から離れるせいか、男女関係はかなり厳重に管理されていると思う。見張られているともいうけど。
高位貴族以外は男女別だがかなり大きな寮があり、それぞれ爵位に応じた個室と側付きの部屋が用意され、平民でも狭くはあるが水回りが付いた個室があるし食堂もある。タウンハウスには前もって注文した食事が魔道具で送ってくるが侍女と使用人は管理棟にいつでも食事ができる食堂があるのでそちらですませるようだ。
とりあえず、ラクアート様に「お会いしたいのでお時間取ってください」と貴族らしい言い回しのお手紙を書いた。と、直ぐに返事がきて翌日の放課後、管理棟のテラスでお会いする事になった。
できればずっと、顔を合わせたくないと思っていたが仕方がない。
朝、フルール様が中庭で所在なさげに景色を眺めていた。私が出てくるのを待っていたらしい。学年ごとに少しずつ始業時間がずらしてあるので通学路で他の学年の方と会う事はあまりない。
「おはようございます。フルール様」
「おはようございます。リーナさま。昨日はごめんなさい。私、男の方も派手な方もとても苦手にしておりますの。昨日は大丈夫でした?」
「ええ、たいした事はございませんでしたわ。昨日はわざわざ美味しいお菓子をありがとうございました。美味しくいただきました。昨日はラクアート様からお付き合いされている方をご紹介いただきましたの」
「えっ? お付き合い……。あの、ラクアート様ってリーナ様の婚約者ではなかったですか?」
「ラクアート様は私との婚約の前からお好きな方がいらっしゃったそうですの。あのピンクの髪の方らしいですわ。ピンクの髪の方が正妻で私は側妃になるらしいですよ」
「えっ!? そんな! 婚約は家と家との契約ですわ」
「よくわからないのですがピンクの方がそう言われていたので。それならそれで構いませんが、あのピンクの方の家名も加護も存じ上げませんので本日、ラクアート様にお尋ねするつもりですの」
「そ、そうですか」
「ピンクの方の意向も確認しておかなくてはと思っています」
「そうですか。そうですね。何か私に、いえ、私には何もできないですね。ごめんなさい」
それきり、フルール様は考え込んでしまったようだ。フルール様の口癖は「ごめんなさい」のような気がする。
教室でもフルール様は一日ボンヤリとしていた。
話しかけても反応が鈍いので、彼女が転生者かどうかはよくわからなかった。どのみち、フルール様は第一王子の婚約者ではないので、今のところ悪役令嬢ではないと思う。
むしろ、ラクアート様の婚約者になっている私のほうが悪役令嬢になる可能性が高いかもしれない。
悪役令嬢……悪役って響きはカッコイイかもしれない。でも、乙女ゲームの中の悪役令嬢は嫌がらせをしたり悪口をいったり、人を雇ってヒロインを襲わせたりするらしいから、それは私に向いてない。
お兄様がもし、悪役令嬢なら断罪シーンがあるから、その時は返り討ちにして殲滅すればいいと言っていたけど、それはちょっと、と思う。
精々、氷雨で皆を凍えさせてその間に逃げるくらいかな。
さて、放課後の管理棟のテラスにて、私たちは延々とラクアート様のお惚気を聞かされていた。彼に言わせると彼女、フレグランス・タチワルーイは可愛くて天真爛漫で純真でラクアート様の真実の愛をささげるべく現れた天使であるそうだ。
まだ、13歳なのに下品であざとい感じがすると思うけど、恋のフィルターがかかっているせいか目が、いや、脳がおかしくなっているとしか思えない。
実は3年前、10歳の時まで彼女は平民だったそうだ。だけど、勝手に加護の儀に乱入して水晶を触ったら凄い魔力量で加護も魔法関係の『みず魔』だった為、そこの領主タチワルーイ男爵の養女に迎えられた。
タチワルーイ男爵の領地は飛び地ではあるが、ウオーター公爵家の傘下に当たる為、魔法学園に入学する為の教育を兼ねた行儀見習いとして公爵家に預けられたという。
そこで彼らは運命の出会いをしたそうだ。
そして、彼女の加護はなんと『みず魔』この加護は水魔法の下位互換に当たるけど、進化すれば『みずの魔法』、さらには『水の魔法』にまで進化した人も過去にはいるそうだ。
えっ? その加護で公爵夫人になるって言っているの? 客観的にみて無理じゃない? とお話を聞いて思ったら、
「これは秘密の話なんだがフルーはいずれ聖女に成るんだ。そうしたら加護が『聖なる水魔法』になるから公爵夫人になるのに何も問題はない。だから、君はフルーを助けてやってくれ。フルーはあまり勉強が得意ではないみたいだから。あの子は君と仲良くしたいと言っているから是非、お茶に招いてほしい」
と言いう事でとりあえず、ピンクの彼女をお茶に招く事になった。
本音はあまり仲良くなりたくないけどね。
ラクアート様ってほんとに可笑しいと思う。
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