あなたを瞳にうつす

色無 音恋

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 私は自販機などが置かれている休憩スペースに来ていた。
 それも、直登くんと一緒に…。


「…。」
「…。」


 お互いに話したりはしない。
 ただ飲み物を片手にクレーンゲームを見つめているだけ。


「あのね、その…。」


 話を切り出したのは私だった。
 でも、直登くんを見つめることはちょっと緊張してしまう為視線は下に向けたままにする。


「今更なんだけど…私の事、“歩都里”って呼び捨てにしていいよ。」


「え。」


「“歩都里さん”って言いずらくないかな?」


「…まぁ、そうだな。」



 彼は驚くような表情をした後、直ぐに真面目な顔になった。
 そんな姿に胸がキュンと締め付けられた。


 なんでだろ…?


 独り、そんな事を思いながら直登くんの返答を待った。


「…じゃあ、俺の事も“直登”って呼べよ。俺だけ呼び捨てなんて可笑しいだろ?たから___歩都里、も。」


 ドキッ_____。


 不意に彼に見つめられた。
 名前を呼ばれただけでドキドキして…見つめられるともっとドキドキしちゃう。


「えっと…な、ななな直登___くん。」


「フッ…な、が多いな。」


「ちょっと、私には難易度が…。」


「ちゃんと言えよ?ほら、“直登”って。」


 なんだか最初より直登くんが迫ってきているような気がするのだけど…それは気のせい?

 顔の熱が集まってくる。
 今、私の顔はとても待っかな事だろう。
 直登くん…直登は私の事を待つかのようにじっと見つめてくるような気配を感じた。




「…なおと。」





 やっと出た声はとてつもなく情けなかった。


「今はそれでいい。今は、な?」

「え?」


 伏せていた顔を彼へと向けた。


「…。」

「…。」


 なんて、かっこいいのだろう?
 今更、本当に今更。

 彼がかっこよく見える。
 いや、元々かっこいいし友達も“イケメン”だなんて騒いでたし…とても魅力的。


 ドキッ…ドキッ…



「なんか、直登に見つめられるとドキドキする…。」


 思わすポロッとことばは転がって行った。
 それを聞いていたのか隣に座る彼は、これまた妖艶さをかんじさせる笑みを浮かべる。

 まるで、その時を待っていたかのように…。
 狙いを定めたかのように…。

 彼は深く微笑んだ。




「…俺も、歩都里を見ていると胸が締め付けられる。…なんでだろうな?」



 「なんで、なんだろうね?」



 そして、私は気付いてしまった。


 “私は彼に恋をしている”


 恋とは…こんなにも苦しくて甘くて幸せなんだね。
 好きって言いたくなるのも今なら分かる。


 この気持ちを伝えたい。


 伝えたいけど…彼はどうなのかな?
 私の事、好き…なのかな?


 でも、でもね…彼はダメなんだ。
 だってかっこいいしイケメンだし…彼のことが好きな人なんてきっと沢山いるに決まってる。



「…休憩は終わり。ほら、直登も行こう?」



 私は上手く笑えているだろうか?
 今、この気持ちを伝えるには…私の覚悟なんて全然足りない。

 憧れの的でもある直登。

 私は好きになってはいけない人を好きになってしまった。

 

 この想いはどこへ仕舞えばいいのかな…。



___________


更新が遅くなりましたすみませんでしたm(_ _)m

 まだ読んで頂けたら幸いです(*´ω`*)
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